アーユルヴェーダで喜びをふるまおう!心を豊かにする「植物ベースのごちそう料理」

 アーユルヴェーダで喜びをふるまおう!心を豊かにする「植物ベースのごちそう料理」
Ashton Ray Hanson

ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!アーユルヴェーダのアンバサダーであり、プラントベース料理のシェフ、ラディ・デヴルキア=シェティは、人生の目的を探し求め続けている。

広告

ラディ・デヴルキア゠シェティは、120万人いるインスタグラムのフォロワーのひとりから届いたばかりのDMを読み上げた。「私の街に来ているのですね!さっき友人たちがランチであなたを見かけたんです!」。私たちは、デンバーにある人気のヴィーガンレストランでランチを終えたところだった(彼女は〝生まれながらの〞ベジタリアンだが、ジョナサン・サフラン・フォーが書いたニューヨークタイムズのベストセラー『Eating Animals』を読んだ後にヴィーガンになった)。そこで20代の2人組が声をかけてきた。2人はインターネットで知った31歳のアーユルヴェーダのアンバサダー、プラントベース料理のシェフと写真を撮りたがっていた。「あなたとジェイの大ファンなのよ」とふたりは打ち明け、インターネットで熱烈なファンになった人と偶然会った証拠を写真に撮ろうと、コロナ禍にもかかわらず近づいてきた。
ジェイとは、ラディの夫であり、ライフコーチ、ベストセラー『Think Like a Monk』の著者、ポッドキャスト番組「On Purpose」のホストのジェイ・シェティのことだ。5年前にふたりが結婚した時、ジェイは既にメディアのパーソナリティとして、人々を動かす前向きで目的意識のあるメッセージを発信し、国際的な名声が高まっていた。
結婚当初は「ジェイの妻」として広く知られていたとラディは言う。だが今では、レシピ、すっきりと美しくなるための習慣、ソーシャルメディアやウェブサイトで発信するウェルネスの教えを通じ、シェフ、アーユルヴェーダのスペシャリストとして彼女自身の名が知られるようになってきている。彼女のオンラインでの活動は、自分の目的を周囲にシェアし、世界へ発信する仕事を知ってもらおうと、コロナ禍につくり上げたものだ。

生き生きとして自信にあふれ、おもしろおかしい動画の彼女からはわからないだろう。だが、彼女は長いこと、自分を過小評価してしまうインポスター症候群に悩まされていた。家族に代々伝わる教えや、栄養学と食事療法の学位、アーユルヴェーダ教育からの学びを伝え、社会に奉仕するという人生の目的を、本当の意味で実践できるようになったのはごく最近のことだとラディは言う。
子供の頃にいじめにあい、外見をからかわれるなどして、自信のない大人になったことも原因なのだろう。「私には自分への気づきが欠けていたの。教えるのに十分な知識なんて、自分にはないと思ってたわ」 と彼女は言う。「自分の仕事も能力も信用できず、ほかの人のほうがよくできるんだっていつも思ってたの」
そういう気持ちは、「私たちはみんな〝橋〞でしかないんだ」という、瞑想の先生の言葉を聞くまで続いた。「これを聞いた時、なんて美しいのかしらと思ったわ。スペシャリストになったり、一番になったりする必要はない。橋渡しをする存在となって、幸運にも自分が経験できたことを、まわりにシェアすればいいだけなの。完全なスペシャリストでなくても、一緒に同じ橋を渡りながら教えを紹介し、自分より詳しい人のところへ導いてあげるのよ」。この哲学を実践して生きてみたら、気負わずにこれまでの学びをオンラインでシェアしたり、生活で使える実践的なヒントを伝えられるようになったと彼女は話す。

最も人気のあるラディの動画は、ファンがレジで待っていたり、街で見かけたりする彼女をつかまえ、彼女の教えによって水の飲み方が変わったことを、切れ目なく話し続ける映像だ。アーユルヴェーダの教えによると、水は食事の前後30分は避け、常温で座って飲むものだ。立ったまま水を飲むと、重力が働いて、内臓器官や組織に栄養が行き渡る間もなく、体を通り抜けていってしまう、とラディは言う。ただ、動画の中で視聴者に最も衝撃を与えたのは、水は常温で飲む、ということだ。沸騰させた水だとよりいい。水は沸騰させると成分が変わり、スクシュマという体に浸透しやすい状態になる。すると、水分の吸収がよくなってクレンジング作用が強まり、消化機能の手助けをするのだ。「みんなが前とは大違いだと言ってくれるの」と彼女は言う。

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 

進む道を見いだす

インポスター症候群は現代社会で増えつつあり(世界の人口の82%の人が経験しているとする研究もある)、ラディが、彼女自身の専門分野において知識が不十分であるということではまったくない。ロンドン郊外のインド人家庭に育ちながら、アーユルヴェーダの伝統に触れた彼女は、その道を進む決意を固め、2020年に正式な認定を受けた。「アーユルヴェーダの原則は私が育った生活環境に深く根付いていたわ。それがアーユルヴェーダと呼ばれることを知らなかっただけなの」と、彼女は話す。「私が病気になると、母は必ずお湯にアシュワガンダ(免疫機能を高めるスーパーフード)を混ぜて飲ませてくれたけど、今ではその理由がわかるわ。アーユルヴェーダはこんなふうに、まったく新しい生活スタイルと、自然との関わり方を知るための扉を開いてくれたの」
18歳の時、彼女は母のすすめでノッティンガム大学で栄養学を学んだ。「家族のなかで、私が一番年下だったの」彼女は言う。「大きなことでも小さなことでも何かを決めるときや、シャイだった私が電話をかける時なども、困ったら必ず家族が愛を持って助けてくれることに、私は慣れきっていたの」。大学で何を勉強するかも、ラディが自分自身の声を見つける前に、人の助けを借りて決めたことだった。
彼女は食べることも料理も好きだったから、母親の助言も自然な選択のように思えた。ただ、栄養学を勉強しても、それがどんなキャリアへとつながるのかは考えもしなかったと彼女は認める。病院やそのほかの医療機関で患者と接しながら働きたいと考えた時、2つ目の学位として食事療法を学ぶ必要があるとわかり、彼女はもう3年大学に通った。2011年にロンドンで瞑想と『バガッヴァッド・ギーター』を学ぶクラスに通い、そこで教えていたジェイと付き合い始めたのもその頃だ。「彼は最高にかっこいい人だと思ったわ」と、すっかり冷めたトリュフのフライをバスケットからつまみながら彼女は話した。「ジェイの持つ深い精神性に魅力を感じたの」と彼女は言う。それは友人たちがドラッグやアルコール(彼女はそのどちらも試したことがない)を始めた時にも揺らがなかった、生まれて以来、彼女が最も価値を置いているものだ。「私たちの関係が特別なのは、スピリチュアルなつながりが土台になっているから。〝彼、あのジャケットが似合ってて素敵だわ〞という関係ではないの。彼は以前、ぶかぶかのローブを着てたわ。着飾るどころか、すべてを脱ぎ捨て、本質だけを身に纏うという感じよ」

ジェイは、ふたりが付き合い始める前、共に寄付を募る活動をした時のことを振り返る。「彼女は親切で優しく、みんなと仲が良く、たくさんのスマートなアイデアを持ち、すべてに前向きだった。何の期待もされていない自分の世界の中に、素晴らしいスピリットとエネルギーを持っている、そんな彼女の姿に僕は大きな魅力を感じたんだ」
ふたりは2016年に結婚し、今後ずっと続いていくラディの幸せな暮らしが始まるように見えた。彼女はワトフォード総合病院で食事療法士として活躍していた。「アレルギーのある子供や、食事が適切にとれない人たちに関わる仕事をしていたの」と、彼女は話す。「自分らしさを失わずに、人の役に立てる場所があることがわかったわ」。またふたりは、ワトフォードのラディの家族のもとから3キロほどの場所に家を購入したばかりだった。「結婚する時のたったひとつの約束が、母と姉のそばに住むということだったの」と彼女は言う。「家で過ごすのが大好きだったのよ。ジェイとのデートでも、家で私の両親とともに過ごすことが多かったわ」。ふたりは親しい友人たちを招いてハウスウォーミングパーティーを開いた。数週間が過ぎた後も、たくさんのダンボール箱が開けられずに置いてあった。

ジェイがアリアナ・ハフィントンから、ニューヨークシティのハフポスト本部で働く仕事のオファーの電話を受けた時、ふたりはまだ床に置いたマットレスの上で寝ていた。「国を離れるなんて想像したこともなかったわ」と、ラディは打ち明ける。彼女は自分の家族を深く愛し、頼り、有意義でやりがいのある仕事に精いっぱい取り組んでいた。ジェイは妻の困惑に理解を示していた。引っ越す必要はないと、彼は彼女に言った。ふたりは少しの間、ふたつの大陸で離れて暮らすことになるだけだ。「3日間その話には触れずにいたわ。それが私の気持ちの整理の仕方なの」。彼女は言う。「その後私は、ニューヨークスカイラインの模様のベッドカバーを買って、ベッドにかけたの。彼は〝これはどういう意味?ニューヨークの仕事をロンドンでするということ?それとも、僕たちがニューヨークへ行くということ?〞と聞いたわ。私は言ったの、〝私たちがニューヨークへ行くのよ〞と」

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
photo by  Ashton Ray Hanson 
広告

by Lindsay Tucker
photos by Ashton Ray Hanson
recipe by Radhi Devlukia-Shetty
translation by YUKO
yoga Journal日本版Vol.77掲載

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部ロゴ

ヨガジャーナル日本版編集部

ヨガジャーナル 日本版編集部



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう
アーユルヴェーダで喜びをふるまおう