ヨガ起業家必見!「スタジオ経営」成功の秘訣とは?
ヨガスタジオを開いて成功させるには何が必要か考えたことがあるだろうか。第一級のヨガ指導者から経験に裏付けられたアドバイスを受けながら、ヨガに打ち込むカップルがヨガスタジオを開設するまでの経緯を追ってみよう。
ブリー・ガリシナオとアリシア・ヘンドリックスはカリフォルニア州サンタ・バーバラに今まさにヨガスタジオをオープンしようとしている。ところが、細部の調整が難しく、一筋縄ではいかないのだ。
「単に始めるだけで大変でした。会計担当者と一緒に銀行に行き、不動産物件の賃貸意向書を提出し、著作権について詳しく調べ、建築請負業者や設備の納入業者と連絡を取り… スタジオ用の物件を探すだけで、丸1年かかりましたよ」とガリシナオは話す。(この記事が発表される時点でも、ガリシナオとヘンデリクスは、2018年4月のオープンを目指して、いまだに賃貸契約の交渉を行っている。)ガリシナオとヘンデリクスのふたりは共に、ティファニー・クルクシャンクの指導を受けたYoga Medicineのティーチャーであると同時に、全米スポーツ医学アカデミーの正式な資格を有したパーソナルトレーナーであり、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のソフトボールチームのコーチも務めている。ふたりは数年前から自分たちのヨガスタジを開きたいと考えていたが、ふたりそろって頭部の怪我からヨガによって回復を果たして以来(ソフトボールはほんとうにソフトというわけではないのだ)、その気持ちが確かなものになった。
ヘンデリクスは2年前、打撃練習用のバッティングケージで投球していたところ、ライナーがケージに跳ね返って、額を強打した。脳震とう、そしてのちに脳震とう後症候群と診断され、数ヵ月にわたって体力の低下に苦しんだ。ヘンデリクスはこのように回想している。「連日、ひどい頭痛に吐き気、めまい、認知機能の低下に苦しみました。最もつらかったのは、どうしたらこういった症状を改善できるのか、いつになったら回復するのか、まったく示してもらえなかったことです。医師の能力には限界があったし、保険会社は客観的な証拠や検査結果を求めようとしました。友人たちも私がどのくらい苦しんでいるのかわからなかったようです。一見するとまったく悪いところがないように見えたからです。」熱心にヨガを行っていたヘンデリクスは、呼吸法と幾つかの座位のポーズを組み合わせたルーティンを始めることにした。少しずつ体調が回復していって、1時間の練習をできるまでになった。「6ヶ月間は運動といえばヨガしかできませんでした。ひどく緊張している部分に息を入れながら、心拍数を下げて、頭痛を軽減させることができました。特に呼吸法によって、私の出発点ができたというか、体をリセットできました。そして、回復の過程で浮き沈みがあってもいいのだと思えるようになりました。また、ヨガで自分の限界を試すこともできましたし、脳のリハビリもできました。そのおかげで情報を処理して、怪我をする前の速さで話せるようになりました」とヘンデリクスは語った。
ヘンデリクスがソフトボールの練習中に脳震とうを起こした後のことだが、昨年の春にはガリシナオも同じような経験をした。「ヨガが回復に役立ちました。ヨガのおかげで、いらいらしたり、疲れたり、光と音に対する過敏症が軽減しました。この過敏症は屋外スポーツの指導者には特に厄介でしたよ。」
ふたりは今、頭部に外傷を負ったスポーツ選手のほか、メンタル面の改善を望む人や脳の機能全般を改善させたいと考えている人にヨガを届けようと決めている。ふたりは自らの回復過程で、医療の分野(神経科医とそのほかの脳外傷を扱う医療従事者の間)の架け橋になるものや、スポーツ選手の復帰を助けられるものが限られていることを実感し、自分たちならこの現実的なニーズを満たすことができるはずだと考えた。10年以上に及ぶ経験に裏付けられた運動に関する知識と、サンタ・バーバラで脳外傷を扱う医療関係者との深いつながり、さらにはヘンデリクスの広範囲に及ぶビジネス経験(ヘンデリクスはアップルとタイガー・ウッズ・ファンデーションに財務担当者として勤務していた)を武器に、MindShift Studioを開く計画を進めている。ヨガとサイクリングのほか、特別な体力強化と調整トレーニングを提供するスタジオになる予定だ。特に、ヨガのクラスでは、バランスのポーズと呼吸法によって認知機能を高めることに重点が置かれる。また、室内でできるサイクリングも提供する計画を立てている。というのも、ふたりはサイクリングが心肺機能を高めて、脳震とう後症候群を悪化させずに脳に血液を届ける安全な方法だと考えているからだ。路上でのランニングやサイクリングでは頭部が上下に弾むのに対して、頭部が静止しているためだ。
スタジオの狙いについては自信があるふたりだが、スタジオを成功させるためには学ぶべきことがたくさんあることを承知している。ヨガジャーナルは今回、ふたりを応援するべくビジネス経験が豊富のヨガ指導者たちの力をお借りした。ふたりの事業計画に目を通してもらい、次の段階にすべきことについて指導してもらったのだ。みなさんもこれを読んで、スタジオを開設するには何が必要で、ビジネスを始める時に何が最も賢明な選択なのか理解を深めていただきたい。
第1段階:事業の構想と戦略を立てる 助言者:ティファニー・クルクシャンク(ヨガメディスンの創設者)
ティファニー・クルクシャンクは20年以上、解剖学と生体力学に重点を置いたスタイルのヨガ(ヨガメディスン)を教えてきた。また、この12年間は指導者養成にも携わってきた。この間、何百人というかつての教え子たちが自分のスタジオを開設している。実際、ヨガメディスンのインストラクターの1/3は自分のスタジオを経営しているため、クルクシャンクは成功例も失敗例も目の当たりにしてきた。クルクシャンクはガリシナオとヘンデリクスにヨガを指導してきたため、起業の計画段階からその輪の中にいたのだ。
クルクシャンクは特に、新たにスタジオを経営する人たちが最初に直面する大きな問題について助言した。明確な事業目標を立てるということだ。クルクシャンクによれば、ふたりはこの点で慎重にならなければならないという。認知機能と脳の機能に焦点を合わせるという目標が、特にサイクリングのなかで失なわれないように注意が必要だと話している。「有酸素運動に重点を置きすぎると、ヨガのお客さまを失ってしまう可能性があります。特に、サンタ・バーバラにはヨガスタジオが数多くありますからね」と注意を促している。ガリシナオとヘンデリクスは、スタジオの主力はヨガにすることにして、サイクリングではマインドフルネスと脳の機能に焦点を絞って、標準的なサイクリンスタジオやジムよりも柔らかい照明と音楽を使う予定だと話している。75分のビンヤサヨガクラスと30分と45分のサイクリングクラスを行った後、瞑想を指導する予定だという。
サンタ・バーバラのような大都市では、(認知機能と回復を専門にするなど)ニッチ市場をターゲットにした方がうまくいくだろう。一方、ほとんど選択肢がない小さな町では、幅広いものを扱うスタジオにする必要がある。ガリシナオとヘンデリクスは、サンタ・バーバラにヨガスタジオが多数あることを承知しているが、事前の調査結果を踏まえて、ほかに類を見ない脳の健康に焦点を当てたスタジオがうまくやっていく余地は大いにあると信じている。特に、彼らには医師とのつながりがあって、そこから紹介を受けることができる点に強みがあると考えている。クルクシャンクは、医療従事者との関係を築くことが成功の決めてになるとみている。そして、手始めにできる最も簡単なことのひとつが、近隣の医療機関にハガキを郵送して無料レッスンを提供することだという。また、ふたりのコーチとしての実力を活かして、アマチュアも含めて、サンタ・バーバラのスポーツ人口とつながることも勧めている。「ふたりは結局のところ、気分も競技成績も良くしたいと思っている人たちのために仕事をしたいと思っているのですから」とクルクシャンクは話を締めくくった。
第2段階:指導力と組織の運営力を高める 助言者:バロン・バプティスト(バプティストインスティチュート経営者)
バロン・バプティストは生まれてからずっとヨガビジネスのなかにいる。「両親は私が生まれる前の1952年に最初のヨガスクールを開いたんです。場所はサンフランシスコでした。ヨガスクールのなかで成長してきたことはラッキーでしたね。ヨガを中心としたビジネスを経営するのに必要なものを人知れず手に入れることができましたから。」
1990年代の中頃、バプティストは両親から受けついだものを継承するという目標を胸に、最初のスタジオを開設した。その一方で、一般の人にもっとヨガを利用してもらおうと必死に活動していた。活動拠点は当初、フィラデルフィアの郊外で、数年してボストンに移した。現在、バプティストインスティチュートと提携しているスタジオの数は100を超えており、サンフランシスコとボストンの2箇所ではバプティストヨガスクールも経営している。資格のあるバプティストのヨガティーチャーは600人以上を数える。
バプティストはこのような活動を通して、事業経営のかぎを握るものをいくつか学んだ。単にお金にまつわることではなく、心がまえに関することだ。バプティストはこう語っている。「私は周囲の人と比べて特に優秀なわけではありません。最初は、小さなこともすべて自分が対処しなければという気持ちを手放すことを学ばなければなりませんでした。練習を自分のものにしていて、大きなビジョンをもった人を指導的な役職につけなければいけません。そうすることによって、自分がいちばん好きなこと、つまり教えることに注意を向けられるようになるのです。」
スタッフのやる気を起こさせるということについては、「話しを聞かせて惹きつける」ことが重要だと常に考えてきた。バプティストによれば、ガリシナオとヘンデリクスは、そもそもなぜヨガを初めたのか、なぜヨガに戻ってきたのか、ということをふたりでよく考えて、その物語をスタッフに伝えるべきだという。「人は本物の話を感じ取れるものです。明確なビジョンをもって、スタジオ内外のチームにそれを頻繁に話すことが大切です。それがうまくできるようになれば、事業をよくわかってもらえるようになるでしょう。」ガリシナオとヘンデリクスはどちらも、大学時代に厳しい競技生活を補ってバランスを取るためにヨガを始めた。「当時は経験の浅いプロ選手でストレスを感じていて、安らぎの場としてヨガを求めていました」とガリシナオは回想する。のちに、ふたりとも脳震とうによる認知機能の低下を改善するためにヨガを行うようになり、ヨガが回復の重要な手段になった。「私たちはこの治癒の道のりをほかの人たちにも届けたいのです。」
事業が行き詰まった時や、成功する見通しが立たなくなった時には、ヨガの実践と原則を応用するのがいちばんだ。「今にとどまり、呼吸をして、順応し、調整しながら進んでいくことです」とバプティストは説く。「3ヶ月に1度はスタッフを集めて、すべてを見直すことです。そうすれば、うまくいっていることとうまくいっていないことがかなり早い段階でわかる。」バプティストはこう話した後、定期的に確認することによって実際、自分のチーム内のコミュニケーションの問題を解消できたと付け加えた。「レッスンに遅刻するインストラクターや、インストラクターとうまくやっていけないマネージャーと向き合わなければならない時がありました。私自身がもっとうまく、みんなを同じビジョンに結びつけておく必要があったと悟りました。いったんポーズから出て、立て直す必要があったということですね。」
最後に、無私の奉仕について考えてみよう。つまり、いかに地域社会に還元して、そこのリーダー的存在になっていくのかという問題だ。バプティストはどんな事業をするにしても、それが重要な柱になるはずだと考えている。「マットの上でもマットを下りても、無私の奉仕によって気持ちを高めることができ、満たすことができます。無私の奉仕によって、自分の存在よりももっと崇高でもっと大きなものの一部になれるのです」とバプティストは説く。バプティストはこれまで、危険な状態にある若者たちや退役軍人に無償でレッスンをすることに、感銘を受けたという。そのほか、アフリカヨガプロジェクトの共同創始者としてケニヤなど地域社会でも同じように活動してきた。しかし、バプティストはこの活動の対象者をそれだけに限ってはこなかった。ガリシアオとヘンデリクスは、脳の機能というテーマに沿う形で、認知症やアルツハイマー病のために資金を集めるほか、患者さんたちに低価格でヨガや瞑想のレッスンをする可能性を検討したいと話している。
第3段階:マーケティングと宣伝の計画を立てる 助言者:アヴァ・テイラー(YAMA Talent創設者でありCEO)
ヨガの世界では今、起業家としての直感を生かして、独特の指導方法や哲学を中心に、あらゆるサービスを提供するブランドを生み出しているヨガティーチャーが増えてきている。そういったビッグネームの後ろに、YAMA (Yoga Artist Management Agency)Talentを立ち上げてCEOを務めているアヴァ・テイラーがいる。今回テイラーは道案内を申し出てくれた。この10年間、マーケティングと宣伝のプロが、チェルシー・ジャクソン・ロバーツやセディー・ナルディーニ、クリスティン・マギー、フェイス・ハンター、ラグナス・カミノフ、レスリー・カミノフのようなヨガティーチャーや、さまざまなスタジオとブランドに力を貸して、ヨガの世界で存在感を増すのに一役買ってきた。テイラーには気づいたことがある。ヨギが苦労しがちなことのひとつは、誠実なヨガの世界ともっと冷徹でドライなビジネスの世界の切り替えをすることだという。「ヨギは自分の仕事を好きになりすぎることがよくあります。そのために、お粗末な決断をしたり、寛容になりすぎたり、物事を個人的に受け止めたり、境界線をうまく引けなかったり、物事を客観視できないという問題が起きます」とテイラーは話している。テイラーによれば、ヨギは情緒的に決断を下す名人なので、過剰に反応し、きちんと事実を見ることができないという。「これでは、事業の順調な経営に必要なことをうまくできません。新たにスタジオを開いた人たちは、ビジネスをするのは簡単だと考え、自分が正しくやっていればほかの人も正しくやってくれるはずだと思いがちです。しかし、事業を行うということは充実感も生みますが、それが人生の全てになってしまうような大変なことでもあるのです」
ヘンデリクスは幸い、ビジネスと企業の財務に関する経験が豊富だが、事業を成功させるには、ふたりが今は営業職でもあり、サービスを売っているという事実を受け入れることも必要だ。そしてそのサービスを、明確に提示して宣伝し、常時提供していかなければならない。「遠慮なく意見を言って、マーケティングのあらゆる段階に参加しなければいけません。つまり、ネットワークを構築し、人と会い、カードやちらしを配り、宣伝活動を行い、メールによるマーケティングの内容を作成し、紹介者にお礼をする、などなどすべきことは山ほどあります」とテイラーは語った。SNSに投稿することも重要だが、SNSに頼りすぎてもいけない。「SNSは生徒たちと連絡を取り、情報を提供できるお金がかからない方法ですが、へたをすると時間がいくらあっても足りなくなります。SNSに投稿する時には前もって計画を立てて、ブランド強化につながる重要な会話を選ぶべきです」とテイラーや勧める。
しかし、マーケティングの鍵は、そもそもこのようなことを始める以前に、次の質問に簡潔かつ明確に答えられるかどうかにかかってくる。「あなたのスタジオは何のために存在するのですか、スタジオは何を目指していますか」テイラーによれば「いわば、それがこれから築き上げる物の屋根」になるのだそうだ。テイラーは、マインドシフトスタジオの場合は、運営会社が何であり、何を目指しているのかかなりはっきりしていると見ている。「ただし、人はあなたがしていることに納得して買うのではなく、あなたが何のためにこれをしているのかに納得して買うのです。私はふたりに、なぜマインドシフトスタジオが重要で、スポーツをする人にとってアマチュアでも競技者でも、怪我をしていても怪我をしていなくても脳の健康が重要なのか、潜在的な顧客層にしっかり理解してもらうことを求めました。脳の健康は、誰にとっても重要だということをわかってもらわなければなりません。」健康なスポーツ選手は、ふたりのビジネスモデルの一部なので、マーケティングをしていくなかで「なんのために」という問題に明確に答えていく必要がある。
また、マーケティングは単に印刷物を出すとか、レッスンについて知ってもらうということではない。マーケティングは会社のあらゆる人にかかわってくる。スタジオの受付から、インストラクターまでひとり残らず、スタジオの使命を明確に伝えることができなければいけない。ひとりひとりがブランドの「大使」なのだ。電話を受ける時や、スタジオについて話す時には、最も説得力のある形で大使を務めなければならない。
テイラーは最後に、新たにスタジオを開く人は、現実をよく見て辛抱強くならなければならないと忠告した。どんなことでも思ったほど早く実現しないかもしれないし、多くの人がスタジオに入ってくるにはしばらく時間がかかるかもしれないのだ。テイラーによると、長ければ2年ほどかかることもよくあるそうだ。
第4段階:資金計画を立てよう 助言者:ブレント・ケッセル(資産運用・コンサルティング会社創設者)
私たちはヨガで起業しようとする人をさらに応援するために、ブレント・ケッセルに助言を求めた。カリフォルニア州サンタモニカのアバカス・ウェルス・パートナーズの創設者で、ヨギと頻繁に仕事をしており、スタジオ起業に関するワークショップを開いている。今回はしっかりした資金計画を立てるのに必要な情報を提供してくれた。
スタッフをフリーランスのスタッフと従業員とに大別しよう。州によってガイドラインは異なるが、カリフォルニア州では、あなたがスタッフのスケジュールを管理し、仕事のしかたを管理するとしたら、そのスタッフは従業員ということになる。給与から所得税を源泉徴収しなかった場合の罰金は一般に、源泉徴収しなければならなかった金額の50%に上る。このため、雇用問題を専門とする弁護士か公認会計士と一緒にチェックすることが重要になる。
有限会社として登録しよう。ガリシナオとヘンデリクスはマインドシフトスタジオを有限会社にしている。こうすれば、万が一事業に法的な問題が起きても、個人的な責任を問われることは免れる。
しっかりした事業計画を立てよう。1年ごとの事業計画を基に、しっかりした資金計画を立て、競合他社の分析を行う。これを少なくとも3年間先まで行おう。
収益が出るには思ったより時間がかかることを覚悟しよう。なぜなら、あらゆることが起こるからだ。インストラクターが計画していたより高額を請求するかもしれないし、生徒が受講期間を延長しないかもしれない。予算では収益は低めに、支出は高めに見積もろう。
ほかの人のお金を使っても構わない。(銀行であっても知人であっても)ほかの人からに投資を求めるとなると、投資者が利益を得られると思えるように、次のような厳しい質問に答える必要がある。「どうやって優秀なインストラクターを揃えるのですか。」「ヨガ市場が飽和状態にあるのに、どうやってこの町で競っていくのですか。」自己資金でまかなうのであれば、このような段階を省くことができる。
自分自身に市場の相場の給与を支払おう。スタジオを開く人は、節約するためにこれを諦めることが多いが、同じ仕事をほかの人がした場合に支払う金額を必ず自分に払うべきだ。どこかの時点でそうする必要があるからだ(病気にでもなったらどうする?)資金計画では自分の給与を計算に入れておこう。
第5段階:物件選びのコツ 助言者:マリア・トゥルコ(オナーヨガスタジオの創設者)
「スタジオは立地が良くないと成功しません。」ニュージャージー州のオナーヨガスタジオの創設者、マリア・トゥルコは語る。トゥルコは、自ら経営している11のスタジオの賃貸契約をすべて管理している。今回、物件を選んで契約を分析するために、すべきこととしてはならないことを列挙してくれた。
スタジオの賃貸料は収入の20%未満にすべき。これは、サンタ・バーバラのような物価が高い場所では難しいだろう。しかし、このことは事業計画のなかでも、投資家から出資してもらう場合でも、ローンとして借り入れる場合でも、考慮しておくべきだ。
賃貸条件を交渉する時には、改装費用について話題にすべき。つまり、あなたが引っ越す前に家主が物件を改装するということだ。最低でも、壁を塗り、床を張り、備品を取り付けるだけで入居可能な、冷暖房完備の空っぽの空間にしておいてもらう必要がある。
メジャー(ヨガマットでOK)を用意しよう。というのも、ヨガスタジオということになると、魅力的な幅は6メートルだ。ひとり当たり2.7〜3.2㎡必要なので、55㎡ならば15〜20人を入れることができる。事業計画で1クラスに必要な人数を割り出したら、確実にその人数が入るスタジオにしなければならない。
駐車場の重要性を過小評価してはならない。近くに丁度良い駐車場がなければ、それに代わるものを得るために必要なことをしよう。家主は車庫をもっているかもしれない。その車庫を駐車料金割引計画の対象にするように交渉できるだろう。あるいは、銀行やレストランなど、近隣の店舗から駐車場を借りることもできる。
賃貸契約の個人保証には注意しよう。個人保証とは、万が一事業が失敗した時に、あなたの自宅か投資が請求される訴訟を起こされる可能性があるということだ。保証を求めないようにしよう。信用供与限度を決めるか、前もってもっとたくさんの資金を融通しよう。あるいは、契約にいわゆる「good guy条項」を入れるのもよい。これは、スタジオを閉める場合には物件をすぐに明け渡すことを明言した条項だ。
賃貸契約に権利譲渡の条項を求めよう。この条項があると、事業を第三者に売りたい時にその人に賃貸条件を譲渡することが可能になる。こうすることによって、賃貸契約は負債ではなく資産になる。あなたは事業を買いたい人にこの契約を得ることができるし、事業を買う人の方は、賃貸借契約が満期になるまで賃貸契約を再交渉する必要もなくなる。
最もよいのは5年または10年延長という選択肢も用意したうえで、5年間の賃貸契約を結ぶことだ。事業が成功すれば、その場所にしばらくとどまりたいと思うだろう。しかし、すぐにスペースを広くしたくなる可能性があると思うならば、契約期間を2年間にして5年間延長可能という条件にすればよい。
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