コンプレックスは外からやってくる|プラスサイズモデル吉野なおの考える#ボディポジティブな生き方

 コンプレックスは外からやってくる|プラスサイズモデル吉野なおの考える#ボディポジティブな生き方
Nao Yoshino
吉野なお
吉野なお
2020-04-17
広告

フィジー島で摂食障害が増えた理由

イギリスの研究では、1995年にフィジー島にテレビが導入されてから3年後、摂食障害患者が明らかに増えた、という報告があります。
もともとフィジー島の女性は「ふくよかな体型」を肯定的に捉えられていましたが、テレビで欧米ドラマに出てくる細身の登場人物たちを見ているうちに、自分の体が「太りすぎている」と感じるようになり、食事制限から摂食障害につながっていったようです。

『自分の問題』だと思われていたものが、実は『社会からの影響』によるものかもしれない、という事を、わかり易く表していますよね。

そして、この研究当時は1995年の事なので、インターネットやSNSがより身近なものになった昨今では、より社会からの『こうあるべき』というメッセージや『他人の声』が個人に届きやすくなっていると思います。

「太った?痩せた?」は、百害あって一利なし

日本ではよく、他人に対して「あれ?ちょっと痩せた?/太った?」という事を言ったりしますよね。
自分が言われなくても、他人のそういった会話を耳にしたことがある人もいるはず。(ちなみにアメリカでは、こういった一言はタブーとされているそうです)

「指摘して自覚させれば本人が太りすぎを気をつけるだろう」というような、お節介な理由と、単なるコミュニケーションの一環としての何気ない一言だったり、痩せた=褒め言葉として言う人がいる場合もあるのが厄介なところ。

実は病気で痩せてしまったり、薬の副作用で太ってしまったり、すでに体型の変化を本人が気にしている場合もあるのですが、そう言った外見への指摘がトリガーとなって、他人からの評価が常に気になり、周りの声に振り回されていく場合があります。

ちなみに、不快感やストレスを感じ、ストレスホルモンが分泌されると、太りやすくなる場合があることも報告されている(※)ので、他人に対しての「太ったね」「痩せれば?」などの一言は、より相手の状況を苦しめる言葉であることは、もっと多くの人に認知されてほしい事実。

本当に相手の健康が心配なら、突然崖から突き落とすような急な指摘やアドバイスではなく、まず近況を聞いたり、会話や行動を通して相手に寄り添う関係性を作っていくことの方が大事なはずです。

同じ外見でも、髪の毛が薄毛になってしまう事に対してはデリケートなことだとわかるのに、なぜ体型のことになると、こんなにも誰かが誰かを早々にジャッジしてしまうのか、不思議だと思いませんか?

嫌な思いをする人が圧倒的に多いこの日本文化は、そろそろ古い価値観になるべきです。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告



RELATED関連記事