老化の原因は慢性炎症?【医学博士が教える】ポリアミンの抗炎症作用

老化の原因は慢性炎症?【医学博士が教える】ポリアミンの抗炎症作用
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私たちの体は歳を重ねると、細胞レベルで少しずつ衰えていきます。その細胞の衰えに働きかける成分として注目されているのが「ポリアミン」という長生き成分です。毎日の食事を少し見直すことが、あなたの未来の体を、そして人生を、大きく変えていきます。ポリアミン研究の第一人者である著者松藤千弥(まつふじ・せんや) さんの著書『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(アスコム)より、内容を一部抜粋して紹介します。

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ポリアミンの大切な仕事 老化につながる慢性炎症の火消し役

炎症は、原因となる異物が体の中に入ることをきっかけに始まります。本来は、原因が取り除かれれば炎症は治まりますが、免疫細胞が暴走すると、外敵がいなくなってからも炎症が不必要に続いてしまいます。

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この免疫細胞の暴走は、ポリアミンにより抑えられることが知られています。ポリアミンは、免疫細胞のひとつであるマクロファージにはたらきかけ、炎症性物質(サイトカイン)を放出するのを抑えます。また、単球からマクロファージが分化するとき、ポリアミンは炎症をしずめる「抗炎症型マクロファージ」への分化を促す一方、炎症を強める「炎症型マクロファージ」への分化を抑制します。つまり、ポリアミンは炎症のブレーキ役としてはたらいているのです。さらに、老化した細胞は、「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」によって炎症を引き起こす物質を放出することがあります。老化した細胞が増えると、このSASPによって、周囲に炎症が拡がり、慢性炎症につながる悪循環が起こると考えられます。ポリアミンは「細胞の老化」を抑えるので、SASPを通した慢性炎症の進行を食いとめることが期待されるのです。

【もっとくわしく! ポリアミンの抗炎症作用について】

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早田邦康さん(自治医科大学の研究グループに所属)らは、ポリアミンの抗炎症作用を世界に先駆けて報告しています。まず、ポリアミンが免疫細胞であるマクロファージからの炎症性サイトカインの分泌を抑えることを明らかにしました。これは炎症反応そのものの勢いを弱めるはたらきです。さらにポリアミンが、免疫細胞の表面にあるLFA-1という分子を減らすことも見いだしました。

この分子は、免疫細胞がはたらくときに表面に出てきて、血管の壁にくっついて、目的とする場所に集まるために役立ちます。ポリアミンによりLFA-1が減ると、免疫細胞が炎症部位に集まりにくくなり、炎症が起こりにくく、また長引きにくくなると考えられます。ポリアミンがマクロファージの分化を通じて、抗炎症作用を示す研究結果もあります。マウスを使った実験では、腸内細菌がつくるポリアミンによって、腸管の壁に存在するマクロファージが抗炎症型へ分化しやすくなり、薬剤によって引き起こされた腸炎が抑えられたということです。このようにポリアミンは、細胞の老化につながる慢性炎症の火種を、さまざまな手段で消してくれているのです。

『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(アスコム)
『あなたの中でいつの間にか進んでいる「老い」に負けない食事術』(アスコム)

この本の著者…松藤千弥(まつふじ・せんや) 

東京慈恵会医科大学学長。医学博士。1958年、東京都生まれ。1983年、東京慈恵会医科大学医学部卒業。同大学附属病院内科研修医、同大学大学院を経て、1989年、同大学栄養学教室助手。1992~1995年、米国ユタ大学人類遺伝学研究所留学。2001年、東京慈恵会医科大学生化学講座第2教授。2007年、同分子生物学講座担当教授。2013年より学長。また2018~2024年、日本ポリアミン学会会長を務める。専門分野は遺伝子発現調節およびポリアミンに関する生化学・分子生物学である。


 

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