「自己肯定感を高めよう」実は逆効果!?仏教の思考に学ぶ、心の安定に必要な客観的視点とは?

「自己肯定感を高めよう」実は逆効果!?仏教の思考に学ぶ、心の安定に必要な客観的視点とは?
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今ある悩みを手放すには?苦しみと向き合ってきた禅僧である著者が、仏教の思考法に基づき、自分の心との向き合い方、負の感情の手放し方をお伝えしていきます。『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』(アスコム)より内容を一部抜粋して紹介します。

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自己肯定感を無理やり高めることはできない

同じ言葉でも受け止め方によって、救われることもあれば、逆にストレスを感じてしまうこともあります。
例えば、「自尊心 (自己肯定感) 」という言葉は、どちらかといえばプラスのイメージでとらえられることが多いでしょう。

最近は「自己肯定感を高めよう」ということがブームのようになり、逆に「自己肯定感が低い人は生きづらい」という風潮にもなっていました。
書店には自己肯定感を高めるための本がたくさん並び、セミナーなどもあちこちで開かれていましたよね。

心理学の研究によると、自己肯定感には潜在的なものと顕在的なものがあるのだそうです。

「無意識のうちにある自己肯定感」
「自分が意識している自己肯定感」

ひと口に自己肯定感といっても、その性質には大きな違いがあったのです。

潜在的な自己肯定感と、顕在的、つまり表向きの自己肯定感の両方がつねに高い人は、仏教的にいえば心が非常に安定している状態です

一方で、潜在的な自己肯定感が低いにもかかわらず、「自己肯定感を高く保とう!」と表向きの自己肯定感を強引に引き上げている人は自惚れやすく、俗にいうナルシストになりやすい傾向が見受けられます。これ見よがしに「自分は自己肯定感が高い人間です」という振る舞いをするわけです。

そのような人は、もし自分が傷つけられそうな出来事に遭遇したり、自分の評価が下がったりしそうになると、「私はすごいんだ!」「あの人よりも自分のほうが上なんだ!」という自己暗示のようなポジティブシンキングで、必死で自己肯定感を高く保とうとします。

要するに、自己肯定感が下がってしまうことを極端に恐れているため、意識的に表向きの自己肯定感を高めようとしており、無理をしてその努力をし続けている状態といえるでしょう。これはかなり病的な行為といっても差し支えなく、どうしても自己防衛的になってしまいますので、やはり心身の健康が崩れやすくなります。自己肯定感を高めようとする気持ちや努力は悪いことではありませんが、「人は無意識が9割」ともいわれるように、人間の根底は、簡単には変えられません。

つまり、いくら表向きに「自分はすごい!」「自分大好き!」と取り繕っても、潜在的な自己肯定感が低い、本当の意味で自分に自信がないままではボロが出てしまうということです。

ボロ
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仏教だけではなく、心理学的にもいわれていることですが、本当に潜在的な意識の部分から自分に対して自信を持っている方は、そもそも自惚れません。どこかに不安定な要素を持っている―例えば自分のどこかにコンプレックスを抱えているからこそ、それを克服しようと謙虚に努力するのでしょう。みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、自己肯定感は高めようと思って高められるものではないということ。

アファメーション (なりたい自分になるために肯定的な言葉で宣言をすること)的なものは一時的な効果こそありますが、あくまでも誰かとの比較によって成り立つ「慢」になりますので、つねに他人との優劣を考えているようでは一向に救われません。別に自分のことを肯定されようが、否定されようが、決して動じない。これが本当の意味での心の安定になります。無理やりポジティブシンキングをしている時点で、あなたの心は揺らいでしまっている証拠なのです。

まず、自惚れが「慢」であることに気づき、他人との比較にエネルギーを割かないことが大切。それに気づくことができれば、自ずと謙虚になっていきます。この謙虚というのは「いやいや、私なんか……」と卑下することではなく、自分ができることと自分ができないこと―これをきちんと分析して理解している状況。自分自身のことが客観的に見えている状態のことです。世の中で〝一流〟と呼ばれる人たちは、自分のできないことがわかっているからこそ、決して今の自分自身に満足することがないのでしょう。自分自身で「俺はすごい!」と豪語する一流はいませんよね。

飽くなき探求心があるからこそ、プロフェッショナルと呼ばれる存在になれるわけです。客観的に自分の強みも弱みも冷静に判断できる人は、成長します。自惚れている時点で三流であることに、まずは気づくべき。これを肝に銘じていただきたいと思います。

書影

『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』(アスコム)

この本の著者…大愚 元勝(たいぐ・げんしょう)

佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、何にもとらわれない自由な境地を表す。駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。僧侶、事業家、セラピスト、空手家と4つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。過食、拒食、リストカットを繰り返す少女の母親からの相談をきっかけに始めた、YouTubeのお悩み相談チャンネル「大愚和尚の一問一答」は、登録者75万人を超える。令和元年には、仏教の本質に立ち返り、「慈悲、智慧、佛性を育む」ことを宗旨とする佛心宗を興し、新たなスタートを切る。主な著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『仕事も人間関係もうまくいく 離れる力』(三笠書房)、『お金と宗教の歴史』(東洋経済新報社)などがある。

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