つらいときこそ本当の自分と向き合うチャンス。「無意識の思い込み」を敵ではなく味方にする方法

つらいときこそ本当の自分と向き合うチャンス。「無意識の思い込み」を敵ではなく味方にする方法
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『私は私を幸せにできる 脳が作り出す「無意識の思い込み」にさよなら』(KADOKAWA)の著者で、マインドトレーナーである田中よしこさんにお話を伺いました。自分を守ってくれている部分もある「無意識の思い込み」とどう向き合えばいいのでしょうか。田中さんは「良くない自分を直そうなどと思わなくていい」と語ります。後編では、無意識との具体的な付き合い方や、自己肯定感より取り組みやすい「自己効力感」を高める方法について伺いました。つらいときこそ、本当の自分と向き合える大チャンスかもしれません。

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「無意識」との付き合い方

——本書によると、無意識が自分を守ってくれている面もあるとのことです。無意識とは、どう付き合っていけばいいのでしょうか。

無意識は自分を守るために動いてくれているものです。付き合い方として一番大切なことは、良くないものを取ろうとか、良くない自分を直そうなどと思わなくていいということです。

「どうしてこうやって考えているんだろう」と見てあげることで、フラットな感情で自分と関われるんです。

あと人間は、絶好調のときには自分と向き合えないものです。人の言うことも聞かないですし、自分が正しいって思いがちです。つらいときの方が、本当の自分と向き合ったり、本質を見ることができるときでもあります。なので、自分と向き合う大チャンスを逃してほしくないとも思います。

——悩んでいるときは苦しいので、この苦しみから早く解放されたいと思いますが、新しいステップに進めるかもしれない、チャンスの時期でもあるのですね。

そうですね。「私の無意識が、こんなにつらい思いをさせて、気づかせたいことがあるんだな」と見ていただくといいかと思います。

「私はこうならなければならない、こうしなければならない、これはダメだ」と思ったときに、「じゃあ私はどうしてそう思ってるんだろう」と、そちらに焦点を当ててみてください。

表面的にほしいと思っているものの先に、本当に求めているものがある。だから「ほしい」という感情を否定しなくていいんです。多くの人は、表面的にほしいと思っている(つまり真実の答えではない)ものの前で止まってしまうので、だんだんと自分のことがわからなくなってしまうんです。

「ほしい」という思いが湧き上がったときに、「ダメだ」と言われても、ほしい感情自体はなくなりません。なので、一度全部自分が思ってることは認めてあげる必要があります。これは他人がやってくれることではなく、自分で向き合っていくものです。

——思い込みを手放す過程で、多くの方がつまずきやすいポイントや、注意した方がいいことはありますか?

悪いものを取ろうとすると、大元から違う方向に進んでしまうので、この先に自分が本当に求めてるものがある、その手前のとこで今つまずいてるという認識を持っていただき、少し視野を広く持っていただくといいかと思います。

「つらいから取り除きたい」となると、それも自分の無意識が何を伝えたいかというとこから目をそらしてしまうので、無理やり消そうとか上書きするものではなくて、静かに掘り下げていくものという解釈に変えていただくのが一番わかりやすいかと思います。

そうやって分析していくと見えてくるものがあるんです。だいぶ前から同じようなことを考えているはずで、「幼少期のときから、自分が教えてくれていることなんだ」と、ずっと繰り返し自分が言ってくれていたサインであったことに気づくと、悪いものではないという感覚になるのではないでしょうか。

——ネガティブになってしまう方には真面目な人も多いと思います。真面目な人ほど難しく考えて悩んでしまいそうですが、真面目な人の無意識には、どういった思い込みが隠れていることが多いでしょうか。

真面目な人は「完璧になろう」と考えていて、常に頑張ろうとしてしまう方が多いです。本人は優しさベースでやってるつもりですが、「頑張らないと愛されない」「怒られたくない」「迷惑をかけたくない」という思いがあります。

一見、他者のことを考えているように見えるのですが、思い込みは「あなたは迷惑をかける存在なのだから、これぐらいちゃんとしなさい」といったように、自分には否定的な言葉がセットになっている場合が多いです。

相手を大事にして、自分をないがしろにする思考パターンになっていることが多いので、ぜひ、他者だけでなく、自分にも優しく思いやりを持っていただきたいです。

——無意識に自分を後回しにする癖がついてしまってるということでしょうか。

そうですね。それが「良いこと」になっていたりとか、そうやって我慢をしないとバランスを保てなくなっていたりします。でも「本当は自分はどうなんだろう」というところに目を向けていくと、変わることができます。

——状況によっては、今現在、自分の中の見たくないものと向き合うエネルギーを持っていない方もいらっしゃると思います。それでも自分を幸せにしていくために、取り組みやすいことはありますか?

「見たくないもの」と思っているうちは、脳が「自分の中に悪いものがある」という解釈をしているので、ずっと不快なんです。なので、まずは思ってることを認める練習をしていただきたいです。

あくまで「思っていること」なので、事実ではないんです。「私は今ダメな人間だと思っているんだな」といった感じで、自分が思っていることを受け止めてみてください。

また、スマホを見る姿勢は落ち込みやすいので、空を見ながら試してみてください。「(事実ではなくて)今そう思ってるだけなんだ」と、空に飛ばすイメージで、日光を浴びながらやっていただくといいと思います。

自己効力感が大切な理由

——本書では、自己効力感の重要性について繰り返し書かれていることが印象に残っています。自己肯定感よりも自己効力感に目を向けた方が良い理由について、ご説明をお願いできますでしょうか。

単純に、自己肯定感を持つよりも自己効力感にフォーカスした方が簡単だから、という面があります。

自己肯定感とは「ありのままの自分の存在が素晴らしい」と思えているような見方なのですが、長い間、自分のことを否定してきた人が、いきなりそう思うのは非常にハードルが高いんです。

自己効力感は「未来の私はこれができるかもしれない」と思う力なので、自己肯定感とは少し違います。「これだったらできるかもしれない」と、具体的な行動を探しやすくなるんです。

——自己効力感の方が自分でもできたことを確認しやすいということでしょうか。

そうですね。「自分にもこれならできそう」とか、成功者を見て、その人みたいになるのは無理と思うかもしれませんが、その人がした行動のうちこれだったらできるかもしれない、とか。どれだったらできるのだろう・私はどれがやりたいのだろうと自然に考える脳の回路ができるので、練習がしやすいんです。

それに、自分でやると決めたことを実行してできるってすごく気持ちがいいんです。自分軸を育てるのにもとても有効ですし、自己効力感を高めていくと、自然と未来志向にもなるし、自己肯定感にも直結していきます。

『私は私を幸せにできる 脳が作り出す「無意識の思い込み」にさよなら』(KADOKAWA)
『私は私を幸せにできる 脳が作り出す「無意識の思い込み」にさよなら』(KADOKAWA)

【プロフィール】
田中よしこ

マインドトレーナー、株式会社コレット代表取締役。
自分自身が生きづらさを抱え、本当の自分と向き合った30年間の経験をベースに、心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。
個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。現在まで、約7000人以上の人たちの、本当の自分らしさを手に入れるサポートをしている。

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