心臓はかなり“頭のいい臓器”。だからこそ…「心臓が疲れる」と起こることとは?医師が解説

心臓はかなり“頭のいい臓器”。だからこそ…「心臓が疲れる」と起こることとは?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-05-29

心臓はかなり“頭のいい臓器”です。「ちょっとした不調」にも、実は心臓が指令を出して体内の調整を行っていることも。医師が解説します。

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「心臓=血液を送るポンプ」というイメージ

心臓というと、多くの人が「全身に血液を送るポンプ」を思い浮かべると思います。

もちろん、それは間違いではありません。

実際、心臓は24時間休まず動き続け、全身へ血液を送り出しています。

ただ、医療の世界では、心臓は単なるポンプではないことが知られています。

実は心臓は、“ホルモンを分泌する臓器”でもあるんです。

「え? ホルモンって脳とか甲状腺じゃないの?」と思う方も多いのですが、心臓もちゃんと内分泌器官として働いています。

心臓が出している「血圧を下げるホルモン」

代表的なのが、心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンです。

名前が長いので、医療現場では「ANP」と略されることが多いです。

ANP

簡単に言うと、「血圧を下げる方向に働くホルモン」です。
心臓に血液が増えすぎて負担がかかると、心房という部分からANPが分泌されます。

すると体は、
・塩分を外に出す
・尿を増やす
・血管を広げる
といった反応を起こします。

つまり、「血液が多すぎるから減らそう」と、心臓自身が指令を出しているわけです。

心臓は「血液量のセンサー」でもある

ここが面白いところなんですが、心臓は単に血液を送るだけではなく、「今どのくらい血液が多いか」まで感知しています。

例えば、塩分を取りすぎると体の水分量が増えます。
すると心臓は「ちょっと多すぎるな」と感じ、ANPを出します。

かなり賢いシステムです。

実際、人の体って、血圧や水分量をかなり細かく調整しています。

少しでもズレると、めまいやむくみ、血圧異常につながるためです。

「心臓が疲れる」とホルモンも変わる

ここで重要なのが、心臓に負担がかかる状態です。

例えば、心不全では、心臓がかなり頑張って血液を送り出しています。

するとANPや、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)というホルモンが大量に出るようになります。

BNP

実際の診療でもかなり重要です。
血液検査で測定し、「心臓にどのくらい負担がかかっているか」の目安として使われています。

外来でも、息切れやむくみがある患者さんでBNPが高いと、「心臓がしんどそうだな」という判断材料になります。

ケース①「ただの年齢のせい」ではなかった70代男性

印象的だったのは、70代の男性です。

「最近ちょっと息切れするけど、年齢のせいかなと思って」という理由で来院されました。

詳しく検査するとBNPがかなり高値。

結果的に心不全が見つかりました。

本人は「ただ疲れやすくなっただけ」と思っていたそうですが、心臓はかなり無理をしていた状態でした。

ケース②「足のむくみ」で分かった心臓の異変

60代女性で、「夕方になると靴下の跡が残る」という相談もありました。

最初は「年齢的なむくみかな」と思われていましたが、検査するとBNP上昇。

軽度の心機能低下が背景にありました。

心臓がうまく働けなくなると、水分調整もうまくいかなくなります。

その結果、むくみとして現れることがあります。

「ホルモンを出す心臓」という視点

一般の方にとって、「心臓がホルモンを出している」というのは意外かもしれません。

でも実際には、心臓はかなり“頭のいい臓器”です。

・血液量を感知する
・血圧を調整する
・水分量をコントロールする

こうした働きまで担っています。

つまり、単なる機械的なポンプではなく、全身のバランスを整える司令塔の一面も持っているんです。

塩分・血圧・心臓は全部つながっている

だからこそ、

・塩分の取りすぎ
・高血圧の放置
・睡眠不足
・ストレス

こうした生活習慣は、じわじわ心臓に負担をかけます。

生活習慣
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最初は自覚症状がなくても、長年続くと心臓は無理をし続けることになります。

医師として伝えたいこと

外来でよく感じるのは、「心臓=胸が痛くなる病気」と思っている方が多いことです。

でも実際には、
・息切れ
・疲れやすさ
・むくみ
こういった、一見地味な症状で始まることも少なくありません。

そして、その裏では心臓がホルモンを使いながら、必死に全身のバランスを保とうとしている。

そう考えると、心臓ってかなり働き者なんですよね。

「血圧」だけ見ても本当は足りない

血圧の数字だけに注目しがちですが、その背景では心臓・腎臓・ホルモンが複雑に連携しています。

つまり、人の体はかなり精密です。

だからこそ、「ちょっとした不調」を軽く見ないこと。

それが、結果的に心臓を守ることにつながっていきます。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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