痩せ型なのにコレステロールが上がる? 更年期女性の体で起きていることと整え方|管理栄養士がすすめる無理のない食べ方
更年期女性でLDLコレステロールが上がる理由を管理栄養士が解説。食事制限が逆効果になる仕組みと、体重を維持しながら整える食べ方・栄養バランス・腸内環境の整え方を紹介。
私自身、以前は「少しでも細く、軽くいること」がきれいでいることだと思っていました。
けれど、50代に入り、更年期を迎えてからは、体の反応がこれまでと同じではないと感じるようになりました。
「食べる量は増えていないのに、健診の数値が気になる」
「体重は増えていないのに、LDLコレステロールが高いと言われた」
こうした変化は、決して珍しいことではありません。
女性では、閉経前後からLDLコレステロールやnon-HDLコレステロールが上がりやすくなることが知られています。更年期の脂質変化は、体重だけでは説明できず、閉経に伴う体の変化も背景にあります。Source Source
なぜ「太っていないのに数値が気になる」のか
更年期には、加齢やホルモン変化、生活習慣の変化が重なり、脂質代謝のバランスが変わりやすくなります。
そのため、「食べすぎていないのに数値が上がった」と感じることがあります。
ここで大切なのは、数値の変化を体重だけで判断しないことです。
食事量を減らし続けることが、いつもよい結果につながるとは限りません。過度な制限は、栄養不足や体調不良につながりやすく、更年期の体ではかえって整えにくくなることがあります。
また、LDLコレステロールの上昇には、閉経だけでなく、甲状腺機能低下症など別の原因が隠れていることもあります。数値が高い状態が続く場合や、著しく高い場合は、医療機関で確認することも大切です。Source Source
どう整えていけばいいの?
血圧や糖代謝に大きな問題がない場合でも、まず意識したいのは、必要以上に減らしすぎないことです。
数値が気になると、さらに食事を減らしたくなるかもしれません。
ただ、食事摂取基準にある推定エネルギー必要量は、集団の目安です。個人にそのまま当てはめるのではなく、BMIやその後の体重変化を見ながら、「増えすぎず、減りすぎず、無理なく維持できる量」を探っていくことが大切です。
最初は不安に感じる方もいると思います。
私自身も、食事量を増やすことに怖さがありました。けれど、「減らし続ける」ことだけが正解ではないと気づいてからは、体調との付き合い方が少し楽になりました。体の反応には個人差がありますが、無理のない範囲で続けられることが何より大切です。
食事は「量」だけでなく「中身」も大切
整えるうえで大切なのは、食事の内容です。
- たんぱく質をしっかりとる
- 脂質は「量」より「質」を意識する
- 野菜、果物、未精製穀類、海藻、豆類などを取り入れ、食物繊維を増やす
特にLDLコレステロールが気になる場合は、脂質を全部減らすのではなく、飽和脂肪酸に偏りすぎないことが重要です。肉の脂身、バター、生クリーム、菓子類などに偏らず、魚や大豆製品、植物油などを上手に組み合わせていくほうが、実践的で続けやすい方法です。
日本動脈硬化学会でも、魚、大豆、野菜、未精製穀類、海藻を中心にした日本食パターンが勧められています。
発酵食品や腸内環境も、無理のない範囲で
腸内環境を意識して、発酵食品や食物繊維を日々の食事に取り入れることも一案です。
たとえば、味噌、納豆、ヨーグルトなどを、無理のない範囲で続けてみるのもよいでしょう。
なお、漬物は発酵していないものもあり、塩分が多くなりやすい食品でもあります。健康のために取り入れる場合も、「体によさそうだからたくさん」ではなく、量や塩分に気をつけることが大切です。
最後に
更年期は、若い頃と同じやり方が合わなくなる時期でもあります。
だからこそ、「減らして整える」だけではなく、必要なものを満たしながら整えるという視点が大切になります。
体重だけにとらわれず、体が安心して働ける状態をつくっていくこと。
それが、これからの毎日を少しずつ快適にしていく土台になります。
無理に若い頃の基準に戻そうとするのではなく、今の体に合った整え方を見つけていきましょう。
■ 参考文献
・World Health Organization. Healthy diet. 2020
・Hu FB et al. Dietary fat intake and risk of coronary heart disease. NEJM. 1997
・Mensink RP et al. Effects of dietary fatty acids on serum lipids. AJCN. 2003
・Estruch R et al. Mediterranean diet and cardiovascular risk. NEJM. 2013
・Mozaffarian D et al. Fish intake, contaminants, and human health. JAMA. 2006
・Slavin JL. Dietary fiber and body weight. Nutrition. 2005
・FAO/WHO. Carbohydrates in human nutrition. 1998
・日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン
・厚生労働省. 日本人の食事摂取基準
・The Menopause Society. Heart Health
・日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版(女性章)
・厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2025年版)
・健康ネット(厚労省系). 脂質異常症の食事
・日本内分泌学会. 続発性脂質異常症
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