【バードウオッチャーは脳が若い?!】専門性が脳の若さを保つ可能性を最新研究が示唆
趣味や特定の分野で専門性を持つことが、認知機能の低下を緩やかにする可能性が示された。
生涯にわたって学び続けることは、年齢を重ねても思考の鋭さを保ち、脳の神経の変性を防ぐ可能性があることがこれまでの研究でも示されている。そして新たな研究は、知覚や注意、記憶を使う趣味で専門性を持つことも、認知機能の維持につながる可能性があると示した。この研究では、鳥の識別に熟達した人の脳において、注意や知覚に関わる領域に構造的な違いがみられた。研究者らはこうした違いが加齢に伴う認知機能の低下を抑える可能性があるとしている。
バードウォッチャーを研究対象に
カナダのヨーク大学研究員エリック・ウイング氏が率いるチームが研究対象にバードウォッチャーを選んだのは、野生の鳥を観察して識別する過程が、細かな識別や視覚的な探索、周囲への注意、動きやパターンの認識、さらには関連する種を頭の中で結び付けるなど、複数の認知機能を組み合わせる活動だからだという。この研究では熟練者29人(24歳〜75歳)、初心者(22歳〜79歳)29人のバードウォッチャー計58人を対象とした。専門性は経験年数ではなく、鳥の識別能力を測るテストの結果で判断された。
バードウォッチ熟練者の脳にみられた構造と活動の違い
参加者の脳の調査には、拡散MRIと機能的MRIの2種類が用いられた。拡散MRIでは脳の構造を測定した。その結果、熟練者の脳は、ワーキングメモリや空間認識、物体認識などに関わる領域でより密であることが分かった。これは神経組織がより緻密であることを示しており、一般に若い脳にみられる性質とされる。機能的MRIでは、鳥の識別課題中にどの脳領域が活動しているかを観察した。その結果、熟練者では、密度が高くなっていた領域が課題中にも活性化しており、とくに外来種の鳥を識別する際に顕著だった。長年にわたり鳥の識別を学んできた人は、脳の構造と脳活動の両方に違いがみられた。とくに注意や視覚的認識を支える領域で顕著だった。
加齢で衰えやすい脳領域にみられた変化
神経放射線科医エマー・マクスウィーニー氏によると、熟練したバードウォッチャーで健康的に見えた脳の領域は、注意や記憶、パターン認識に関わる領域と重なるという。これらは集中力や情報の保持、見たものの意味を理解を担うが、加齢に伴い比較的早い段階で衰えやすい部分でもある。「日常的な思考にとって非常に重要な領域であるため、構造的に強い状態を保つことは、脳が効率よく働き、加齢に伴う変化にうまく対処する助けになる可能性がある」と述べている。
生涯の学びが認知機能を支える可能性
ウイング氏は、今回の研究ではバードウォッチング経験と脳の変化の因果関係を証明することはできないと注意を促している。その一方で、生涯にわたって積み重ねてきた専門的な知識が高齢の記憶機能の維持に役立つ可能性が様々な研究によって示されているという。また今回の研究は、特定の技能を磨くことで生じた脳の変化が高齢期まで続き、そうした技能に関わる認知機能も生涯にわたって保たれる可能性を示唆している。チームは、この手法を用いることで、ほかの複雑な技能でも脳の再編成が起こるのかを調べられる可能性があるとしている。
「関心や経験、とくに何時間、何百時間、あるいは何十年も打ち込んできたことは、脳の構造に痕跡を残します」「そうして蓄積された知識が、生涯にわたる認知機能をどのように支えるのかを明らかにできるかもしれません」とウイング氏は語っている。
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