フィジカルのプロがたどり着いた境地|竹下雄真が語る、ウェルネスの本質とスピリチュアル

フィジカルのプロがたどり着いた境地|竹下雄真が語る、ウェルネスの本質とスピリチュアル
Akira Honda(BeNATURAL)

名だたるアスリートやビジネスパーソンが通う会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」の代表・竹下雄真さん。ウェルネスを独自の視点で捉え、常に一歩先を見通す中で今思うことは、「フィジカルとスピリチュアルは切り離せないもの」だということだそう。一見相反するようなこの2つの言葉の意味を伺いました。

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自分の心に響くものを信仰すること

――一般的にスピリチュアルというと、フィジカルやトレーニングとは関係がなさそうなイメージです。

全米ウェルネス協会(National Wellness Institute)とミシガン大学が提唱している「ウェルネスのエイトダイメンション(8つの側面)」というものがあり、その中のひとつにスピリチュアルが入っています。僕もウェルネスについて日々勉強をしているわけですが、必ず「スピリチュアル」という言葉にあたるんですよね。

デポルターレ
デポルターレクラブ代表の竹下雄真さん

――竹下さんご自身が仕事をする中でも実感することはありますか?

この仕事を始めて、アスリートや経営者など、さまざまなジャンルの成功者に会ってきました。そして彼らの多くが、いわゆる「スピリチュアルなもの」を大事にしているということがわかりました。ここでいうスピリチュアルとは、神社に参拝に行ったり、先祖のお墓参りをしたり、願掛けをしたりすること。「なぜスピリチュアルがウェルネスに繋がるのか」と考えた結果、僕なりに、ひとつの結論に達しました。

――それはなんですか?

まず、ウェルネスに大切なものとして、僕が注目している3つのホルモンが挙げられます。ひとつ目が朝日を浴びることや、ウォーキングなどのリズム運動で分泌される幸せホルモン「セロトニン」。ふたつ目が、スキンシップをしたり絆を感じたときに分泌される愛情ホルモン「オキシトシン」。最後が、目標達成を期待するときに分泌される「ドーパミン」。スピリチュアルな体験をしているときというのは、この3つのホルモンが出やすい状況であることに気づいたんです。例えば、神社への参拝は、参道を歩き、朝の光と木々の香りを感じながら深呼吸することで、静けさを感じますし、複数人で行く場合は家族や仲間などと行くことが多いですよね。そして、そこで願掛けをするときは、何か目標があってその達成を願います。

――たしかに3つのホルモンが分泌される条件が整っています。

これが僕の考えるスピリチュアルです。オカルト的な意味合いとはまったく違って、自分が「好きだな」「落ち着くな」といった心に響くものを信仰すること。それが結果的に、体と心のウェルネスにつながると考えています。

日本の美や精神性を体系化した「SHINDO」

――会員制パーソナルジム「デポルターレクラブ」の代表を務める竹下さんですが、現在は「SHINDO」という新たなメソッドを開発中と伺いました。

僕は以前、ヨガスタジオの経営もしていました。ヨガはインド発祥のものですよね。スピリチュアルとウェルネスについて研究していくうちに、「インドにおけるヨガのような、日本ならではの新しいジャンルを構築したい」と思い始めたんです。そこで、会社のコンテンツとしてあった「SHINDO」をリブランディングしようと決めました。

――「SHINDO」とはどのようなものですか?

「SHINDO」には「身道」「心道」「神道」の意味が含まれています。現代の日本人は、「今に集中していない」とよく言われますよね。常に脳がフル回転していて、気づくと過去の後悔や未来の不安ばかり考えてしまう。「SHINDO」は「今」に集中するための手段です。少し難しくなりますが、神道における歴史観のひとつで「中今(なかいま)」という考えがあります。過去でも未来でもなく、今この瞬間を生きること、という考え方なのですが、この「中今」を「SHINDO」の核にしようと考えました。

デポルターレ

 

――日本古来の哲学や思想をウェルネスに取り込んだものが「SHINDO」ということですね。

はい。日本人ならではの精神性や美意識や文化、それらを凝縮しました。メソッドは、中今ダイヤログとして「いまこの瞬間の心」を共有することから始まり、その後、瞑想や日本の様式美を取り入れたエクササイズへと進みます。音響は厳格な呼吸法、躍動する御神楽、そして静寂の瞑想を一つの「宇宙」として構成しています。終了後は、まるで神社を参拝したあとの「心身が浄化された」感覚を得られると思います。

今後はこの「SHINDO」を学べるウェルネスツーリズムも計画していますし、インストラクターの養成講座も開設予定。出雲大社でのプレイベントも決定しています。

日本の様式美は、我々が思っている以上に海外から注目されています。それは見た目の美しさだけでなく、精神性や文化も含めて全部。その概念を凝縮した「SHINDO」を、ゆくゆくはパリやニューヨークなどで、まずはポップアップやワークショップのような形で広めていければと考えています。

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やりたいことだけをやる

 

――最後に竹下さん自身についてお聞かせください。他に類を見ない会員制パーソナルトレーニングジムの経営や「SHINDO」など、常に歩みを止めない竹下さんの哲学とはなんですか?

「やりたいことだけをやる」ということですかね。やりたくないことをやるのは苦痛でしかないじゃないですか。いやいややっても自分の成長につながりません。反対に、やりたいことや目標があって、そこに向かうプロセスの中に「きついこと」があったとしたら、それは頑張れますよね。

やりたいことを頑張ると、人から「すごいね」と褒められ自信がつきます。自信がつくと継続できる。その結果、プロフェッショナルになり人からお金をいただくこともできる。それは「進化」だと思うんです。

――やりたいことがない、長続きできない、という人もいます。

最近言われているのが、「現代人はドーパミンの報酬回路がおかしくなっている」ということ。欲しいものがすぐに手に入ったり、SNSやソーシャルゲーム特有の少ない努力で報酬が得られる環境に慣れてしまうことで、脳がより大きな刺激を求めるようになり、本来の「努力して成功した先に得られる達成感」を感じにくくなっている。それが諦めの早さにもつながっていると思います。

やりたいことや好きなことを続けた先に、大きな成果や喜び、達成感が得られると考え、僕自身も継続と進化を常に意識しています。

プロフィール:竹下雄真さん

デポルターレ

デポルターレクラブ代表。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員。

米シアトルでパーソナルトレーナー研修に参加。帰国後、都内パーソナルトレーニングジムにてトップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わる。2010年デポルターレクラブを立ち上げ、2011年にパーソナルトレーニングジム、2014年にコートヤードHIROOにてデポルターレヨガ、デポルターレケアをオープン。現在デポルターレクラブは、東京・港区の麻布台ヒルズに拠点を置き、フィットネスだけでなく、パーソナルトレーニングジムとクリニックを融合した「メディカルウェルネスコース」などを開設。会員のフィジカル、メンタル、ソーシャルを支えている。

*2026年4月18日(土)、SHINDOを体験できるウェルネスツアー「Spiritual Wellness Tour Meets SHINDO in出雲」を開催。神々が集う出雲の地で、自身のあり方を見つめ、整えるワンデーリトリートです。詳細はデポルターレクラブ公式サイトにて(有料/要申込・定員30名)。

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インタビュー・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/本多晃(BeNATURAL)

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