〈八ヶ岳高原移住〉幼い頃からの理想の暮らしを求めた子育て世代の地方移住 #暮らしの選択肢

〈八ヶ岳高原移住〉幼い頃からの理想の暮らしを求めた子育て世代の地方移住 #暮らしの選択肢
写真: ゆち

二拠点生活者のリアルな日常を深堀りする連載企画「#暮らしの選択肢」。今回は、番外編として、地方へ完全移住を選択された移住者へお話を伺います。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ」移住者たちが考える、魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回の「#暮らしの選択肢」は、番外編。長野県八ヶ岳の裾野のなだらかな傾斜地に広がる高原の村・原村に2024年に移住した、ゆちさんです。神戸に『無印良品の家』を建てて、満足のある暮らしを送っていたのが、一転。コロナ禍による周囲の環境の変化により、幼い頃からの夢であった自然の中で静かな暮らしをするという夢を叶えるため地方移住を決意します。ゆちさんの「#暮らしの選択肢」に迫ります。

〈プロフィール〉ゆち

兵庫県の『無印良品の木の家』→長野県八ヶ岳高原に移住。森を切りひらいて建築家と家を建てる。

著書『決めました。無印良品の家に』

Instagram: @sora_mori_house

家を建てて1年。大好きだった家を手放した理由

– 長野県八ヶ岳高原にある原村に移住して2年になると伺っています。ゆちさんは、神戸に『無印良品の木の家』を建てて暮らしていましたが、それを売却してまで移住をした最大の理由はなんだったのでしょうか。

ゆちさん: もっと自然豊かで、静かな場所に暮らすという夢を叶えたいというのが、移住の最大の理由です。私は、大阪の住宅街で生まれ育ったのですが、とても賑やかな場所でした。家の窓を開けたら、数センチ先に隣の家があり、常に人の気配が家の外にも感じられるような環境で。そのため、子供の頃は、「家=食べて、寝るだけの場所」だったのです。その反発で、子供ながらに、「将来は、森の中で人目を気にしない生活をしたい」と漠然と思っていました。結婚する時、夫にもそれを伝えたところ、彼もそれを受け入れてくれて、ゆくゆくは自然豊かな場所で暮らすというのが私たち夫婦の夢になりました。

– 幼い頃から、自然に囲まれて暮らしたかったわけですね。神戸での暮らしは、それが叶わなかったということでしょうか。 

ゆちさん: 家を建てた当初は、家はもちろんのこと周りの環境にも、とても満足はしていました。最初にお話した通り、静かな場所に住みたいという思いがあったので、もともと人気のない郊外エリアを選んだんです。ただ、しばらくするとコロナ禍に入ったことで、人が増えてしまったんです。それから、どんどん周りに家が建ってしまって、賑やかな場所になってしまいました。家自体はとても気に入っていたのですが、周囲の環境が理想とする生活からはかけ離れていってしまって…。

– それで、理想の環境を探すことを決意されたのですね。

ゆちさん: そうですね。ただ、「ちょっと違うな」と感じるようになったのは、家を建ててまだ1年ほどしか経っていませんでした。また長男も生まれたばかりだったので、すぐに家を手放すという決断は下せませんでした。けれど、そんな思いを夫に伝えたところ、彼も同じように感じていたようで。先にお話した通り、結婚当初から、ゆくゆくは自然豊かな場所で暮らすという話はしていたので、これを良い機会だと捉えて、思い切って移住計画を進めることにしました。

– 長野県を候補地としたのは、どうしてでしょうか?

ゆちさん: 私たち夫婦は、もともとカメラが趣味で全国いろいろ回っていたんです。それで、自然豊かなとこと言えば長野だよね、という話になり。ただ、やはり関西育ちの私たちには、雪深いエリアは無理だろうということで、エリアを絞り、最終的に、全く縁もゆかりもない長野県八ヶ岳高原の原村という場所にたどり着きました。

– 原村のどのようなところが気に入りましたか?

ゆちさん: 一番良いと思ったのは、雪の被害がほとんどないというところですね。もちろん雪は降るのですが、生活を脅かされるような降り方はこれまでになかったようです。また、原村は、第二の軽井沢とも言われていて、美しい景色が魅力の村です。一方で、軽井沢より土地が比較的安く手に入りやすく、最近は移住者に人気のあるエリア。移住支援があるわけではないのですが、移住者ウェルカムな雰囲気なんです。地元の方々が住んでいるエリアと移住者が住んでいるエリアが分かれているのも魅力に感じました。

– 地元の方々と移住者が住んでいるエリアが分かれているのは、面白い。ご近所の方々が移住者ですと、同じ価値観の輪の中で暮らすことができて、快適に暮らせそうですね。

ゆちさん: そうですね。また、自然豊かな田舎ではあるのですが、昔ながらの村という感じではないんです。移住者だけでなく東京との二拠点生活をされてる方や、外国人の方も多く、程よく自然なのにおしゃれな場所もいっぱいある街なのも気に入っているポイントです。ただ、移住者や二拠点生活社に人気なため、私たちが土地探しをしていた時は、良い土地が見つかってもすぐ売れてしまう状況でした。神戸から長野に行くのは月に一回来るのがやっとという状況だったので、土地探しには3年ほどかかりました。ただ、時間をかけたかいもあり、その後いい土地に巡り合うことができました。

 

神戸と長野の家のつくり方の違い

– 今の原村のご自宅は、森を切り開いて建てたんですよね。

ゆちさん: そうなんです。最初にお話した通り、森の中に住みたいという夢があったので、それを叶えるためには、森を切り開くしかないと思って。原村の中には、大きな森があるのですが、そこを四区画に売っている土地があったんです。どこからどこまでが自分の敷地か分からないような状態で購入をしたのですが、とにかく森を切り開いて、家を建てました。

– 家を建てるのに苦労したことはありましたか?

ゆちさん: 神戸で一回家を建ててはいたので、ある程度基礎知識を持っていたということは大きかったかもしれませんが、家を建てることについて特別に苦労したなという思いはありません。一方で、神戸と長野で家を建てる違いが想像以上にあることに驚きました。まず、例えば浄化槽は絶対にいれなくてはいけないということ。浄化槽がいくらするか、またそのメンテナンスだったり、日々のかかるランニングコストがどれくらいかかるのかということは全く知らなかったので、そういったことを調べるのに時間を割かなければいけませんでした。

 

– 逆に、家を建てることで、楽しかったことや嬉しかったことはありますか?

ゆちさん: 理想の家を建てられたということが一番嬉しかったことです。一軒目の家をもちろんとても気に入っていたのですが、やはり住宅地に建てたということで、我慢しなくてはいけないことも多かったんです。一方で、原村の家は、一軒目を建てた時に我慢したことをすべて詰め込んだ家にできました。例えば、家の南側に森を残して、南向きを全面窓にした家で、ずっと窓を開けられるようにしたり。

– 小さい頃から思い描いていた夢が叶った家造りができたわけですね。

ゆちさん: はい。また、義母といずれは同居するだろうと考えて設計したのですが、一緒に暮らすまでは自宅リビングの拡張として使用できるように、また空いてる時間は民泊として貸し出しができたら面白いかと思い、そのような設計にしたのも楽しかったです。

– いいですね。民泊の利用者はどういった方々が多くいらっしゃるのでしょうか?

ゆちさん: 大型犬や中型犬と一緒に泊まるという方が多いです。長野に遊びにいらっしゃる方々は、広大な自然があるからなのか、犬連れの方が多いんです。特に、東京から2時間とかで来れる距離なので、大型犬や中型犬を飼ってる方も多く。ただ、大型犬や中型犬と一緒に泊まれる宿が少ないんですよ。私たちも中型犬を飼っているのですが、家を建てる前は愛犬と泊まれる宿がほとんどなくて苦労しました。

 

– 確かに長野に愛犬を連れて遊びに行く方はとても多いイメージがあったので、中型犬以上の大きな犬と泊まれる宿が少ないというのは意外です。お子さんたちは、まだ小さいですが知らない人が出入りされることなどに何か反応はされていますか?

ゆちさん: 長男には、挨拶と受付を頼んでいます。とても楽しそうに交流しています。私たち夫婦の希望としても、子供たちには小さい内から知らない人ときちんと挨拶をしたり、色々な人と関わらせたいという思いがあったので、民泊というお仕事としての形で人とコミュニケーションをとれるのはとてもラッキーなことだと思います。

 

>>後編へつづく

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