ちゃんと寝たはずなのに朝が一番つらい理由。40代から増える「謎の疲労」の正体とは|医師が解説

ちゃんと寝たはずなのに朝が一番つらい理由。40代から増える「謎の疲労」の正体とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-12-25

「ちゃんと寝たはずなのに、朝からもう疲れている」「午前中に頭が働かず、気分もどんより」――こんな声は珍しくありません。多忙な人ほど「年齢のせいかな」と流してしまいますが、実は背景にストレスホルモン・コルチゾールの乱れが潜んでいることが多いのです。医師が解説します。

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朝から疲れているのは“気のせい”ではない

コルチゾールは、体を目覚めさせ、エンジンをかけるための“朝のスターター”。
これが上手く働かないと、どれだけ眠ってもスッキリ起きられません。

ある40代男性の例では、仕事の納期が続いた時期から、朝の倦怠感・だるさ・気力低下が強まりました。睡眠時間は6〜7時間取っているのに「朝が一番しんどい」。

生活習慣を見直し、コルチゾール分泌リズムを整えた途端、数週間で“朝の霧”が晴れるように楽になりました。

コルチゾールは“ストレスと戦う司令塔”

コルチゾールは副腎で作られるホルモン。その役割はかなり多く、“司令塔”の働きを担っています。

  • ストレスに対抗する
  • 血糖を調整して脳のエネルギー源を確保する
  • 体を活動モードに切り替える

特に重要なのは「朝に最も高く、夜にかけて下がる」というリズム(サーカディアンリズム)です。

このリズムが整っていると、“タフな体”に近づきます。

  • 朝シャキッと起きられる
  • 日中の集中力が安定
  • ストレスに対する耐性が高い

しかし、リズムが崩れると一気に逆方向へ。

コルチゾールが乱れると起きる不調

乱れる原因は、ストレス・寝不足・夜遅いスマホ・慢性的な疲労などさまざまです。
そして、以下のような症状がじわじわ現れてきます。

① 朝から疲れている

本来は朝にコルチゾールが最高潮になるはずが、
・上がりきらない(低すぎる)
・夜に高いまま残っている
このどちらかだと、“朝エンジンがかからない”状態に。

② 日中の集中力が続かない

コルチゾールが不安定だと、血糖コントロールも乱れやすく、脳のエネルギー切れが起こりやすくなります。

③ 気分が沈みやすい・イライラしやすい

長期間のストレスでコルチゾールの反応性が鈍くなると、メンタル面の疲労が表面化します。

ストレス
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④ 夜になっても寝つけない

夜にコルチゾールが下がらないと、身体は“活動モード”のまま。寝つきの悪さ・浅い眠りの原因になります。

⑤ 免疫力の低下

コルチゾールは免疫にも関わるため、乱れることで“なんとなく体調を崩しやすい”状態に。

コルチゾールを整えるためのシンプルな習慣

難しいことをしなくても、生活の“リズム”を整えるだけで改善します。

朝の光を浴びる(最重要)

朝の太陽光は、脳に「1日が始まったよ」と知らせるスイッチ。体内時計が整い、コルチゾールの分泌リズムがリセットされます。理想は起床後30分以内に5〜10分。

朝食にタンパク質を少しでも

卵・ヨーグルト・チーズ・納豆など。血糖が安定し、日中のコルチゾールも適切に働きやすくなります。

夜の“ブルーライトを減らす”

寝る前1時間だけでもスマホを控えると、夜のコルチゾールが自然に低下。眠りの質が高まります。

ちょっとしたストレス解放

深呼吸・軽いストレッチ・散歩などで副交感神経をオンにし、コルチゾールの過剰反応を防ぎます。

散歩
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睡眠時間より「睡眠のリズム」が重要

寝る時間・起きる時間をできる範囲で揃えるだけで、ホルモン分泌が整います。

まとめ

  • 朝から疲れているのは、コルチゾールのリズムが乱れているサイン
  • コルチゾールは“ストレスと戦う司令塔”で、乱れると体全体が不安定に
  • 朝の光・適度なたんぱく質・夜のスマホ調整など、小さな習慣が最も効果的
  • 生活リズムを整えることで、ストレス耐性は驚くほど改善する

「なんで朝からしんどいんだろう…」という悩みは、“心の問題”でも“体力の問題”でもなく、ホルモンリズムの乱れというごく自然なメカニズムが関係しています。

今日からできる小さな調整で、朝の重さがずいぶん変わるはずです。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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