落ち込みやすい人が不足している“意外なもの”とは?管理栄養士が解説

落ち込む人
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栄養花子
栄養花子
2025-12-11

以前よりもなんだか気分が落ち込みやすくなった、と感じる時って皆さんないですか?そんな時によく振り返るのは、最近バタバタして疲れがたまってなかったかな、きちんと睡眠時間は確保できていたかな、などではないでしょうか。もちろん生活を振り返ることも大事ですが、同じように食事を振り返ってみることも実はポイントになります。もしかしたら、こんな栄養素が不足していないか、管理栄養士が解説します。

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トリプトファン

幸せホルモンと言われているセロトニンをつくる唯一の材料です。セロトニンは気分や感情を調整しています。また、トリプトファンは体の中ではつくることができない栄養素(必須アミノ酸)のため、食品からの摂取が必須です。セロトニンを効率よく作るためには、トリプトファンを含む食品を炭水化物(ごはん、パンなど)やビタミンB6と一緒に摂ることが大切です。朝食で意識して摂ると、日中の心の安定につながり、夜の睡眠ホルモン(メラトニン)の材料にもなります。

多く含む食品:肉(鶏むね肉など)、魚、卵、大豆・大豆製品、乳・乳製品

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オメガ3系脂肪酸(特にEPA、DHA)

セロトニンの働きを促し、気分を安定させる役割を持ちます。これも体の中では十分につくれない栄養素(必須脂肪酸)のため、食品からの摂取が必要です。

多く含む食品:サバ、いわしなどの青魚、鮭、亜麻仁油、えごま油

ビタミンB群

体の中でエネルギーをつくるのをサポートしてくれる栄養素の集りで、脳や神経を正常に保つ役割をもちます。特にビタミンB6は、トリプトファンをセロトニンに変換する際に欠かせません。

多く含む食品:豚肉、レバー、卵、大豆製品、緑黄色野菜

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ビタミンD

骨を丈夫にしてくれるビタミンで知られていますが、神経伝達やホルモンのバランスを整えており、不足すると、セロトニンが減りやすくなります。

 多く含む食品:きのこ類、魚 ※1日15分程度の日光浴でも体内でつくられます。

ミネラル(マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄、カルシウムなど)

体の中ではつくることができない栄養素で、色々な体の働きをサポートしています。その中でも、脳や神経がスムーズに働くための電気信号を支える役割を持ちます。

多く含む食品:緑黄色野菜、海藻類、大豆製品、小魚、ナッツ類、乳製品

食品
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逆に控えるとよい食品

揚げ物、ファストフード、加工肉や加工食品、お菓子、甘い飲み物などは控えましょう。 これらの食品を摂り過ぎると、腸内環境の乱れや、急激な血糖値の乱高下を招き、結果として心理的ストレスのリスクが高まる傾向にあるとされています。

最後に

最近、足りてなかった食品や反対に摂り過ぎていた食品はあったでしょうか。いずれの食品も、少なすぎても多すぎても気分が落ち込んでしまう原因に繋がります。日々の生活の中でご自身の食事を振り返っていただくことは、頑張っている自分自身を優しく労り、心と体を守るためにできる最も身近な行動の1つです。

 

【参考文献】

1:栄養と行動健康障害:うつ病と不安 ペニー・M・クリス・イーサートン、クリスティーナ・S・ピーターセン、ジョセフ・R・ヒッベルン、ダニエル・ハーレー、ヴァレリー・コリック、セベトラ・ピープルズ、ナンシー・ロドリゲス、ゲイル・ウッドワード・ロペス

2:食事中の栄養素欠乏とうつ病のリスク(レビュー記事 2018-2023) マグダレーナ・ジェリンスカ 、 エディタ・ウシュツキ 、 カタジナ・デレン 

3:食からメンタルヘルスを考えるー栄養精神医学の役割と可能性ー松岡豊、浜崎景

4:厚生労働省、e-ヘルスネット、栄養・食生活 / 栄養素と食品成分
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