「腟がゆるいと言われた…改善する方法はある?~Part2」【女医・富永喜代が教える!大人の性とからだ相談室(2)】

「腟がゆるいと言われた…改善する方法はある?~Part2」【女医・富永喜代が教える!大人の性とからだ相談室(2)】
竹田歩未
竹田歩未
2025-11-07

体の健康についてはさまざまな情報があふれているのに、「性のお悩み」だけは正解が見つけづらい…。家族や友人には相談しにくく、誰に聞けばいいのかわからない――そんなもやもやを抱えていませんか? この連載では、これまでに24万人の痛みや悩みに寄り添ってきた“性の名医”・富永喜代先生が、「大人の性とからだ」のお悩みに丁寧にアドバイス。セックスやセルフプレジャー、カラダや心のことを一緒に考えながら、自分らしいセクシャルウェルネスを育むヒントをお届けします。

広告

Q.今回のお悩み

最近、セックスのときに挿入される感覚があまりなく、パートナーにも「ゆるい」と言われてしまいました。腟のゆるみを改善する方法はありますか?

大人の性とからだ相談室

富永喜代先生の回答

加齢や女性ホルモンの低下により腟内のヒダが薄くなり、潤いや弾力が減ると挿入時の感覚が変わるため、男性側に「ゆるい」と感じられることがあります。改善のポイントは骨盤底筋を鍛えること。

加齢によって腟内のヒダが変化

出産経験の有無にかかわらず、女性ホルモンの主要活性物質エストロゲンが減少すると、腟の粘膜は少しずつ薄くなり、潤いも減っていきます。実は、腟の内側にはヒダがあり、これが弾力と潤いによる摩擦を生み出して、男性側の挿入時の心地よさを支えています。ところが、このヒダも年齢とともに少しずつ薄くなっていくもの。

若い頃の腟粘膜を、厚みがありドレープの多いカーテンにたとえるなら、年齢を重ねた腟粘膜は、薄く平らなカーテン。ヒダがしっかりしていると、ふわっとした感触で男性器を包み込みますが、ハリがなくなるとその感触も変わってくるのです。その結果、挿入時の感覚が以前とは変わり、パートナーから「ゆるんだ」と誤解されることもあります。ただし、腟のほとんどは感覚が鈍いため、自分でヒダの状態を正確に自覚することはほとんどできません。

骨盤底筋がゆるみ防止のカギ

経産婦の腟が出産経験のない人に比べてゆるんでいることは想像しやすいと思います。経腟分娩の場合、赤ちゃんが産道を通るときに骨盤底筋が断裂し、強く損傷を受けます。すると腟を取り囲む骨盤底筋は加齢とともにたるみやすくなり、収縮力が低下。これにより腟圧が下がってしまうんです。

ただ一つ言えるのは、骨盤底筋が発達していれば出産経験の有無はあまり関係がありません。もし未産婦であっても運動不足で筋力が不足してゆるんでいるというケースも大いにありますから。そのため、意識すべき点は一つ、腟を取り囲む筋肉、骨盤底筋を鍛えること。自分の腟がゆるんでいるかどうかの指標は、日常的に尿漏れがあるかどうか、湯船に浸かった後に腟からお湯が垂れるお湯漏れの有無ですね。もし骨盤底筋を引き締めたいのであれば、自分に合った方法でトレーニングを始めてみるとよいでしょう。

オーガズム時、腟の中で何が起こる?

女性がオルガズムに達した瞬間、太ももが少し痙攣するとか、じんわり汗をかくなどの目に見える変化や、骨盤低筋がリズミカルに収縮するなどの反応が起こります。では腟の中では何が起こるのか?

実は、腟の入り口が収縮して奥が広がる「バルーン現象」というものが起こります。多くの人が、オルガズムに達した瞬間、腟の奥がぎゅっと締まると認識しているかもしれませんが、実は逆で奥の方は広がるんです。すると、男性からするとペニスの先端の方が急に解放されたような感覚になる。その瞬間、ゆるく感じることがあるかもしれません。人間の身体がオルガズムに達したときの変化を正しく知っておくと、パートナー同士の誤解も減るのではないでしょうか。

ゆるみを指摘するパートナーの心理

もう一つ、みなさんに伝えておきたいことがあります。このお悩みを持つ女性の中には、パートナーに腟のゆるさを指摘されたという方もいるでしょう。しかし、実は男性の中には、本当に腟がゆるいかどうかに関係なく、相手にコンプレックスを植えつけるためにわざとそのような発言をするふとどき者もいるんです。他には、わざと「ヒダが黒い」とか「乳首が黒い」と言ってくるなど、女性の自信を奪い、恋愛の駆け引きに使う発言が見られることがあります。

これは相手を支配したいという気持ちの現れで、女性に「自分はダメなんだ」「この男性はこんな私でも受け入れてくれる」と思わせ、相手にコンプレックスを植え付けることでより優位に立とうとする心理的作戦。腟の状態や見た目は他人と比べられないため、女性が不安を抱きやすい部分であることを利用しているわけです。必ずしも全ての男性が当てはまるわけではないですが、私はこのような可能性があることを知っておくべきだと思っています。

▶Part1「腟は使いすぎるとゆるむ…?確かめる方法は?~Part1」【女医・富永喜代が教える!大人の性とからだ相談室(1)】こちら

ご回答いただいたのは...富永喜代先生

富永喜代

富永ペインクリニック院長。医学博士。愛媛県松山市にて富永ペインクリニックを開院。性の悩み専門の性交痛外来を開設し、全国から1万人以上がオンライン診断を受ける。YouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』は、中高年の性事情に特化した内容で登録者数29万人、総再生回数は7400万回超。SNS総フォロワー数45万人。セクシャルウェルネス世界トップ企業ラブハニーグループの日本初『Pleasure Journey』に登壇。コラボしたウーマナイザー機能搭載『モンアミフィンガー富永喜代モデル』も好評発売中。著書に『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)など、著者累計100万部超。

広告

イラスト/mio.matsumoto

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

大人の性とからだ相談室
富永喜代