セックスが気持ちよくなく苦痛に感じる...どうすればもっと楽しめるの?【女医・富永喜代が教える!大人の性とからだ相談室】

セックスが気持ちよくなく苦痛に感じる...どうすればもっと楽しめるの?【女医・富永喜代が教える!大人の性とからだ相談室】
竹田歩未
竹田歩未
2025-12-22

体の健康についてはさまざまな情報があふれているのに、「性のお悩み」だけは正解が見つけづらい…。家族や友人には相談しにくく、誰に聞けばいいのかわからない――そんなもやもやを抱えていませんか? この連載では、これまでに24万人の痛みや悩みに寄り添ってきた“性の名医”・富永喜代先生が、「大人の性とからだ」のお悩みに丁寧にアドバイス。セックスやセルフプレジャー、カラダや心のことを一緒に考えながら、自分らしいセクシャルウェルネスを育むヒントをお届けします。

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Q.今回のお悩み

男性パートナーとのセックスがあまり気持ちよくなく苦痛に感じることも...どうすればもっとセックスを楽しめるの?

富永喜代先生の回答

パートナーとのセックスを楽しむためには、自分の気持ちいいポイントを相手に伝えることが重要。そのためにも、まずは自分の身体の感覚を知ることが大切です。

男女で異なる性的興奮

ーーー性的な興奮について、女性と男性ではどのような違いがありますか?

女性と男性では、ドーパミンが放出される場面が大きく異なります。まず女性は、セックスの満足度を結果評価で決定します。一連の流れが終わった後、オルガズムに至るまでのすべての過程を総合的に評価し、その結果に対してドーパミンが分泌されるんです。なので、第一印象が良くない男性でも、セックス中に丁寧に接してくれてピロートークも良ければ、結果的に満足度が高くなるということが起こり得る。

一方、男性の場合は、女性に性行為の誘いを持ちかけている段階ですでにドーパミンが放出されています。夫が妻をセックスに誘ったのに断られて、男性側はひどく気落ちして拗ねた、というエピソードを聞いたことはありませんか?男性がそれだけ激しく拗ねるのには理由があります。彼らは「今晩やりたいな、誘おうかな」と考えている段階ですでにドーパミンが出ているから。女性を誘っている間も期待がどんどん膨らんでいるのに、最後に拒否されたら、そこでドーパミンの分泌が一気にストップ。男性がセックスを拒否されることに対する落ち込み度合いが激しいのは、男女の脳のドーパミン分泌の引き金の違いから生まれます。

男性のオルガズムの仕組み

ーーーでは、男性のオルガズムはどのような仕組みで起こるのでしょうか?

男性のオルガズムは女性に比べて仕組みがシンプルです。女性はトータルの条件でオルガズムに達するかどうかが決まりますが、男性の場合はその他の条件はあまり影響せず、ペニスが外部刺激を得てから射精に至るまでの流れが直線的。物理的な射精=ほぼオルガズムと考えられます。

具体的なプロセスとしては、男性のペニスの亀頭を刺激すると、陰部神経を通って、仙髄に伝わります。その刺激は脊髄から大脳に伝わり、島皮質(性中枢)や大脳辺縁系、視床下部、小脳などが興奮して、オルガズムを迎えます。

また男性は、視覚的な刺激によって脳が反応しやすい傾向にあります。男性が比較的ポルノ動画を好むのもこの理由。セックスの時に部屋を明るくして相手の身体を見たいのも男性の方が多いのではないでしょうか。

パートナーをより気持ちよくさせるには?

相手に身体を触られたとき、その感触が性的な刺激かどうかを脳に伝える感覚神経は、C線維と呼ばれる神経です。C線維は伝達速度が遅く、ゆっくりとした深い刺激を伝えるのが得意です。撫でられたときにとろけるような感覚が生まれるのも、C線維によるもの。このC線維が最大に活性化するのは毎秒5~8cmかつ、柔らかくソフトな撫で方であることが研究により明らかになっています。上手な撫で方で的確に刺激できると、脳の中では情動の火がついて性的なスイッチが入るのです。反対に、痛みを伴うような激しい触り方では、C線維以外の痛みを伝える神経が働いてしまい、脳が性的刺激ではないと判断し、気持ちよく感じられません。

ーーーC線維とは、いわゆる「性感帯」のことでしょうか?

性感帯そのものではありません。C線維は、生まれつき全身に分布しています。特に豊富に分布するエリア(唇、うなじ、乳首、クリトリスなど)は、過去には性的に感じやすい部位として知られており、性感帯と呼ばれていた歴史があります。後の研究で、これらのエリア一帯にC線維の密度が高いことが明らかになったという流れです。

自分の身体を知ることがセックスコミュニケーションの第一歩

女性の中には、性的な興奮ポイントやオルガズムは相手の男性によって開発されるものだと思い込んでいる方もいるかもしれません。ですが、自分自身でオルガズムに達したことない女性が、セックスで挿入されたらいきなり達することができるケースは稀。なぜなら、男性側も手探りでやっているので、そう簡単に相手の女性の気持ちいいポイントを察知できるわけではありませんから。そのため、女性が自分から気持ちいいポイントを伝えなければオルガズムに至ることは難しくなります。

人間関係と同じく、自分のことを知らずして相手とのコミュニケーションは取りづらいもの。自分の気持ちいいポイントを伝え合うことはお互いを思いやる気持ちの表れであり、そこに二人だけのセックスが成り立つ。わたしは、これも一種のセックスコミュニケーションだと考えています。なので、まずは女性が自分の感覚を知るためにも、セルフプレジャーは有効な方法なんですよ。

大人の性とからだ相談室
24万人の痛みや悩みに寄り添ってきた“性の名医”・富永喜代先生が、「大人の性とからだ」のお悩みに丁寧にアドバイス!過去のお悩みはこちら→https://yogajournal.jp/feature/123

ご回答いただいたのは...富永喜代先生

富永喜代

富永ペインクリニック院長。医学博士。愛媛県松山市にて富永ペインクリニックを開院。性の悩み専門の性交痛外来を開設し、全国から1万人以上がオンライン診断を受ける。YouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』は、中高年の性事情に特化した内容で登録者数29万人、総再生回数は7400万回超。SNS総フォロワー数45万人。セクシャルウェルネス世界トップ企業ラブハニーグループの日本初『Pleasure Journey』に登壇。コラボしたウーマナイザー機能搭載『モンアミフィンガー富永喜代モデル』も好評発売中。著書に『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)など、著者累計100万部超。

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イラスト/mio.matsumoto

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