最新研究|実は“ガンと戦う栄養素”だった!ほうれん草や卵黄に含まれるゼアキサンチンの驚きの力

最新研究|実は“ガンと戦う栄養素”だった!ほうれん草や卵黄に含まれるゼアキサンチンの驚きの力
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山口華恵
山口華恵
2025-10-10

ほうれん草やトウモロコシ、卵黄などに多く含まれるカロテノイドの一種「ゼアキサンチン」。これまで“目に良い成分”として知られてきたこの成分に思わぬ力が見つかった。

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免疫細胞をより活発にし、がん細胞を攻撃できる状態に整える

私たちが普段食べている野菜や果物に含まれるある成分が、目の健康だけでなく、がんと闘う力を強める可能性があることが、米シカゴ大学の研究で明らかになった。今回、注目されているのは「ゼアキサンチン」と呼ばれる成分だ野菜や果物に多く含まれる天然の色素で、これまで視力や目の健康を守る栄養素として一般的に知られてきた。しかし、研究チームの調べで、ゼアキサンチンはがん細胞を攻撃する「CD8+ T細胞」という免疫細胞の働きを強化することがわかった。CD8+ T細胞は、体内でがん細胞を直接攻撃し、死滅させる重要な役割を持つ免疫細胞である。この免疫細胞がしっかり働くかどうかで、体ががんと戦う力が大きく変わると考えられている。

研究では、血液中に含まれる多くの栄養素を調べ、ゼアキサンチンがCD8+ T細胞の働きを高めることを確認した。免疫細胞には、がん細胞を見つけるための「アンテナ」のような働きをするT細胞受容体がある。ゼアキサンチンはこの受容体を安定させ、細胞内の信号を強くすることで、免疫細胞がより活発にがん細胞を攻撃できる状態に整える。研究責任者のジン・チェン教授は「ゼアキサンチンには目の健康以外の役割があるとは驚きました。日常の食事に取り入れるだけで、最先端のがん治療をサポートできる可能性があります」と述べている。実際、マウスにゼアキサンチンを多く含む食事を与えたところ、がんの腫瘍の成長が明らかに遅くなったことが確認された。さらに、免疫療法の一種である「免疫チェックポイント阻害剤」と組み合わせると、腫瘍を攻撃する力はさらに強化された。人間のT細胞を使った実験でも、ゼアキサンチンを与えることで、皮膚がん(メラノーマ)、多発性骨髄腫、脳のがん(膠芽腫)に対する攻撃力が高まり、がん治療への応用が期待されている。

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“そっくり成分”のルテインには効果なし

ちなみにゼアキサンチンは、ルテインと同じカロテノイドの仲間で構造もよく似ている。どちらもほうれん草や卵黄などに含まれ、ブルーライトなどから目を守る働きで知られている。しかし今回の実験では、ルテインには免疫を高める効果が見られなかったという。この違いは、分子構造の“ほんのわずかな差”にあるようだ。ゼアキサンチンは分子の両端が対称的な形をしており、そのバランスがT細胞の表面にある受容体に結びつきやすくしている可能性があると研究者は指摘する。

身近な食材やサプリで手軽に摂取可能

ゼアキサンチンはサプリはもちろん、私たちの身近な食材にも多く含まれている。色の濃い野菜や果物、卵などが代表的だ。特に黄色やオレンジ色、緑色の食材に多く含まれている。

主なゼアキサンチンを多く含む食材

  • トウモロコシ
  • ホウレンソウ
  • ケール
  • オレンジピーマン
  • 卵黄
  • マンゴー
  • パパイヤ

ゼアキサンチンは「目にいい栄養素」という枠を超え、私たちの体の中で“がんと戦う力”をサポートする可能性を秘めている。特別なことをしなくても、毎日の食事で少し意識して取り入れるだけで、免疫力の底上げにつながるかもしれない。色鮮やかな野菜や果物を食卓に加えることが、未来の健康への小さな投資になりそうだ。

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出典:

Common Nutrient Found To Supercharge Immune Cells Against Cancer
Common plant compound builds tougher cancer-fighting attack cells
Nutrient in Vegetables May Help the Body Fight Cancer

Zeaxanthin, Best Known For Eye Health, Boosts Cancer-Fighting Cells In Mouse Study

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