「◯◯を食べればがんが治る」その情報、信じて大丈夫?見分け方を医師が解説

「◯◯を食べればがんが治る」その情報、信じて大丈夫?見分け方を医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-09-08

ネットやSNSでは「◯◯を食べるとがんが治る」「毎日△△を飲めばがん予防に効く!」といった情報を山ほど目にしますが、中には、医学的に根拠がないものもたくさん混ざっています。そういった“危ない情報”の受け止め方について、医師が解説していきます。

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「◯◯を食べればがんが治る」その情報、信じて大丈夫?

実際、医療現場でも「ネットの情報を信じて、治療をやめてしまった」という患者さんに出会うことが少なくありません。その結果、病状が進んでしまうことも……。そういった“危ない情報”を見抜くためのポイントを挙げていきます。

「奇跡の食材」は存在しない

まず最初にハッキリ言っておきます。

「この食べ物だけでがんが治る」というものは、現時点では存在しません。

がんという病気はとても複雑で、原因も一つではありません。

遺伝的な要因、生活習慣、年齢、ホルモン、環境……いくつもの要素が絡み合って発症します。

ですから、「◯◯を食べたら治る!」と断言している情報は、ほぼ間違いなく怪しいと考えてください。

例えば、「ブロッコリーががんに効く」という話があります。

確かにブロッコリーに含まれるスルフォラファンという成分には、がん細胞の成長を抑える可能性があるという研究はあります。

ただし、それは実験室レベルの話。

実際に人が食べてがんが治る、という段階ではありません。

それなのに「ブロッコリーを毎日食べればがんが治る!」と書かれていたら、それはもう赤信号です。

信頼できる情報かどうかのチェックポイント

では、どうやって本物の情報と怪しい情報を見分けるのでしょうか?

簡単にチェックできるポイントをいくつかご紹介します。

CHECK① 情報源がはっきりしているか

「海外の大学の研究で発表されました」など、ざっくりした書き方は要注意です。どこの大学か、どんな研究か、論文名や学会名がきちんと記されているかを確認しましょう。

CHECK② 販売目的が絡んでいないか

その情報を読んだ後に、「だからこのサプリを買いましょう!」と宣伝されていたら、ほぼアウトです。最終的に物を売ることが目的なら、情報が偏っている可能性大です。

CHECK③ 体験談ばかりで医学的な説明がない

「私の母は◯◯を食べてがんが治りました」という体験談は、信頼性が低いです。人によって経過はさまざまで、「たまたま良くなった」可能性も否定できません。科学的な説明がなく、体験談ばかり並んでいる場合は特に注意しましょう。

医師がよく聞かれる「これ本当?」ランキング

医療現場でよく患者さんから質問される“食べ物情報”を少しご紹介します。

  • 「はちみつでがんが消えるって本当?」
  • 「青汁を毎日飲んだらがんが小さくなる?」
  • 「水素水が効くって聞いたけど…」
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これらはどれも科学的な根拠は薄く、がん治療の代わりになるものではありません。

「健康によさそうだから補助的に取り入れる」のは構いませんが、病院での治療をやめてまで続けるのは絶対NGです。

がんにならないための食事対策

「じゃあ結局、何を食べればいいの?」と思いますよね。

ここで大事なのは、“特定の食材”に頼るのではなく、全体的なバランスを整えることです。

がんは生活習慣と深く関わっているため、毎日の積み重ねが将来のリスクを左右します。

① 野菜と果物をしっかり

野菜や果物にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、がん予防に役立ちます。ただし、果物は糖分が多いので食べすぎには注意。目安は1日200g前後です。

② 加工肉や赤身肉はほどほどに

ソーセージやハムなどの加工肉は、食べすぎると大腸がんのリスクが上がるといわれています。完全にゼロにする必要はありませんが、回数や量を意識してみましょう。

③ お酒は控えめに

お酒の飲みすぎは、食道がんや肝臓がんのリスクを上げます。厚生労働省は「一日純アルコール20g以下」を目安としています。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合程度が目安です。

④ 体重管理も忘れずに

肥満はがんのリスク要因のひとつです。体重が増えすぎないよう、適度な運動と食事のバランスを心がけましょう。

まとめ

「◯◯を食べればがんが治る」という情報は、残念ながらほとんどが誇張か誤解です。

もし本当にそんな食べ物があるなら、世界中のがん治療のガイドラインにすぐ載るはずです。

がんと闘うために大切なのは、科学的根拠のある治療を続けつつ、食事や生活習慣を整えて体をサポートすることです。

ネットの情報に振り回されず、疑問に思ったら医師や専門家に相談してください。

「食事は薬の代わり」ではありませんが、「薬を支える力」にはなります。

毎日のごはんを楽しみながら、少しずつバランスを整えていくことが、がん予防の一番の近道です。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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