低用量でも慎重に!話題のCBD、一部の人に肝機能障害を引き起こす可能性|研究から明らかに
近年、CBD(カンナビジオール)はサプリやグミ、オイル、ローションなど、さまざまな形で手軽に手に入るようになり、アメリカでは一般的な健康食品のひとつとして人気を集めている。
低用量CBDを服用した約5%の人の肝酵素が著しく上昇
アメリカではCBDを痛みや不安、不眠症の緩和を目的に自宅で手軽に摂取する人も増え、成人の約20%が過去1年間に何らかのCBD製品を使用した経験があるという調査もある。しかし、最新の臨床試験が示すところによれば、たとえ「低用量」とされるCBDであっても、一部の人に肝機能障害を引き起こす可能性があることが明らかになった。
米食品医薬品局(FDA)の規制科学部門は、健康な中年男女201人を対象に、低用量CBDが肝臓に与える影響を調べるランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。参加者は体重1キログラムあたり5mgのCBD(約70kgの人なら350mg程度)またはプラセボを4週間にわたって服用した。これは市販されているCBD製品の一般的な用量に相当する。期間中は毎週、血液検査で肝機能がチェックされた。その結果、ほとんどの参加者には異常は見られなかったものの、約5%の人の肝酵素(アミノトランスフェラーゼ)が著しく上昇した。この酵素は肝細胞の損傷や炎症の指標とされており、上昇は肝障害の可能性を示す。特に女性の方が影響を受けやすい傾向が見られた。幸い、CBDの服用を中止すると1~2週間で肝酵素は正常値に戻ったが、7人の参加者は臨床的に肝障害の兆候が見られたため試験から外れた。
CBDは本当に安全?
「CBD自体が、他の薬剤と併用しなくても肝機能に影響を及ぼす可能性があることを示す重要な発見」と語るのは、カンナビノイド心理薬理学を研究するキングス・カレッジ・ロンドンのアミール・イングランド氏だ。多くの人はCBDを完全に安全だと考えているが、この試験結果は「過信は禁物」であることを示唆している。過去の研究でも、特に小児てんかん治療用CBDの臨床試験で肝酵素の上昇が確認されており、同じく肝障害のリスクが報告されている。当時の参加者は他の抗てんかん薬を服用していたことからCBD単独の影響かどうかは不明だったが、今回のFDA試験ではCBD単独での影響が示された点が重要である。また、肝酵素の上昇は自覚症状が出ないことが多く、今回の試験でも肝酵素が3倍以上上がった8人のうち、症状を自覚した人は1人だけだった。そのため、長期間の使用や高用量での摂取では、知らず知らずのうちに肝障害が進行する可能性がある。
なぜ一部の人だけに影響が出るの?
CBDが肝臓で特定の酵素の働きを抑えることが知られており、薬の代謝に関与するこれらの酵素の活性が低下すると、肝細胞に負担がかかることがある。また、今回のFDA試験では、肝障害が見られた参加者の多くに「好酸球増多症」という免疫の異常反応も確認された。遺伝的な要因や免疫系の違いが、個人差の一因と考えられている。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のポール・ワトキンス教授は、CBDの影響が鎮痛剤のアセトアミノフェンと似ていることも指摘する。「健康な成人が繰り返し治療用量のアセトアミノフェンを服用すると肝酵素が上昇することがあります。同様に、CBDも肝臓にストレスを与える場合があるのです」と述べる。
今回のFDAによる臨床試験は、CBDが「無害」とは限らないことを示した。低用量であっても、肝酵素の上昇や潜在的な肝障害のリスクがあるため、自己判断での長期・高用量の使用は避けるべきである。健康志向やストレス緩和の手段として魅力的なCBDだが、「少量だから安全」という過信は禁物。特にサプリや飲用タイプのCBDを日常的に利用する人は、肝臓への影響に注意しながら、安全に楽しむことが求められる。
出典:
CBD is becoming more popular. But even low doses may harm some people’s health, researchers warn
Even low doses of CBD may cause harm to the liver in some people, FDA study finds
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