「冷え性体質」だと思っていたら実は…?医師が教える〈血流障害が招く意外な病気〉とは
「昔から手足が冷たい体質だから」、「冷え性は女性なら普通でしょ?」なんて思っていませんか?確かに、冷え性は女性に多い症状のひとつ。 でも実は、この“冷え”をただの体質だと片付けてしまうのはちょっと危険です。 冷えが長く続いていたり、急に悪化したりする場合、その裏で血流のトラブルが進んでいる可能性があります。医師が解説します。
「冷え性体質」だと思っていたら実は…
“冷え”をただの体質だと片付けてしまうのはちょっと危険です。なぜなら、冷えが長く続いていたり、急に悪化したりするのは、血液が体のすみずみまでうまく流れていない状態だからです。
血液は酸素や栄養を体中に運ぶ大事な役割を持っています。
それが滞るということは、臓器や筋肉が必要なエネルギーを受け取れなくなるということ。
これが長引くと、体のあちこちで不調が出始めます。
特に怖いのは、「血管が狭くなる」「詰まる」タイプの病気です。
例えば、手足の冷えやしびれを放置していたら、実は動脈硬化が進んでいて、脳や心臓の血管にも問題が出ていた…なんてことも。
「冷えはただの“冷え”じゃなかった!」と後から気づいても手遅れにならないよう、普段から自分の体のサインに耳を傾けることが大切です。
手足の冷えから見抜く血液トラブル
では、どんな冷え方が“ただの冷え性”ではなく、血流障害のサインかを見ていきましょう。
片側だけが冷たい場合
もし右手だけ、または左足だけが極端に冷たく感じる場合は注意です。
体質的な冷え性は、基本的に両手両足が同じように冷えます。
片側だけ冷たい場合は、血管の一部に狭まりや詰まりがあるかもしれません。
例えば「閉塞性動脈硬化症」という病気では、脚の血管が細くなり血液が届きにくくなるため、片足だけ冷えたり、歩くと足が痛くなったりします。
こうした症状があるなら、早めに循環器内科を受診しましょう。
冷えと一緒に“しびれ”や“痛み”がある
単なる冷え性なら、冷たくはなるけれど、痛みやしびれまでは起こりません。
でも、血流障害が原因の場合は、血液が届かないことで神経がダメージを受け、しびれや痛みを感じることがあります。
特に夜寝ている時や少し歩いただけで足がジンジンするようなら要注意。
これは血液が不足しているサインかもしれません。
冷えが急に悪化した
「昔から冷え性だったけど、最近急に冷えが強くなった」という人も危険信号です。
年齢とともに血管は少しずつ硬くなりますが、急な悪化は血管にトラブルが起きている可能性が高いです。
例えば、更年期以降の女性は女性ホルモンが減少することで血管がもろくなり、動脈硬化が進みやすくなります。
「年齢のせいだから仕方ない」で済ませず、体の変化にしっかり目を向けましょう。
手足の色が変わる
冷え性の人でも手足が白くなることはありますが、血流障害がある場合は色の変化がはっきり出ます。
- 白っぽくなる→血液が届いていないサイン
- 青紫色になる→血液が停滞している
- 赤く腫れる→血管が炎症を起こしている
こんな変化があれば、早めの受診をおすすめします。
むくみがなかなか取れない
冷えとむくみはセットで起こりがちですが、むくみが何日も取れないのは、血流やリンパの流れが悪くなっている証拠かもしれません。
特に片足だけむくむ場合は、血管に血の塊(血栓)ができている可能性もあります。
放置すると肺に血栓が飛んで「肺塞栓症」になることもあるため、すぐに受診しましょう。
まとめ
冷え性は、「女性ならよくあること」「体質だから仕方ない」と思いがちですよね。
でも、その冷えの裏には、実は血流障害という深刻な原因が隠れていることもあります。
特に、下記のようなサインがある場合は要注意です。
- 片側だけ冷える
- 冷えと一緒にしびれや痛みがある
- 冷えが急に悪化した
- 手足の色が変わる
- むくみが続く
血流障害を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる病気につながることもあります。
「冷えだから大丈夫」と自己判断せず、少しでも違和感を覚えたら、循環器内科や血管外科で相談してみましょう。
自分の体は自分が一番よく知っているはず。
でも、ときには“冷え”という小さなサインが、命を守る大きなヒントになることもあるのです。
冷えを軽く見ず、体が送るSOSを見逃さないようにしていきましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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