職場の人間関係でストレスを感じる原因と解消方法とは【ストレスチェックあり】

職場の人間関係でストレスを感じる原因と解消方法とは【ストレスチェックあり】
AdobeStock

「職場の人間関係でストレスが限界……」「対人関係がつらくて仕事を辞めたい……」など、職場の人間関係で悩むあまり、精神的につらくなっていませんか。 周りに迷惑をかけないように頑張らないと!と無理をするあまり、つらい思いを抱えている人はとても多いのです。大切なのは、ストレスを上手に解消し長く健康に働くこと。 今回は、職場の人間関係でストレスを感じる原因と解消方法をご紹介します。ストレスチェックについても解説していますので参考にしてください。

広告

人間関係のストレスの原因

ストレスの感じ方は人それぞれですので個人差はありますが、職場での人間関係によるストレスには、主に3つの原因があります。これらの原因を理解することがストレス解消の第一歩です。

それぞれの原因について、詳しくみていきましょう。

原因①:人付き合いからくるストレス

人付き合いからくるストレスは、職場で最もよくみられる原因の一つです。たとえば、以下のような状況があげられます。

  • 上司や同僚から酷い態度で接される
  • チームメンバーからの協力が得られない
  • 職場内のコミュニケーションが不足している
  • 陰口や噂話が飛び交っている
  • 同僚との関係がギスギスしている

これらの状況は、個人の精神的苦痛を伴うだけでなく、職場環境にも悪影響をおよぼします。職場の雰囲気が悪化したり、作業効率が下がったりするので、社員の不満がたまりやすくなるでしょう。

原因②:相手との価値観のギャップからくるストレス

価値観のギャップは、職場での人間関係ストレスの大きな要因です。たとえば、次のような場合に価値観のギャップを抱えやすくなります。

  • 結果重視の自分と、プロセス重視の同僚との間で生じる摩擦
  • 仕事に対する優先順位や重要度の認識の違い
  • 時間管理や締め切りに対する考え方の相違
  • 仕事とプライベートの境界線の引き方の違い

さまざまな背景をもつメンバーが集まって仕事をしていると、このような摩擦が起こることはめずらしくありません。しかし、お互いへの配慮や理解が足りない職場では、耐えきれない程のストレスになる場合もあるのです。

原因③:人に気を遣いすぎたり、自分を過小評価してしまうことからくるストレス

周囲に対する過度な気遣いや自分への過小評価も大きなストレス要因です。具体的には、以下のような行動パターンがあげられます。

  • 常に周囲の機嫌を伺い、自分の本当の気持ちを言えない
  • 自分の能力を過小評価し、挑戦を避けてしまう
  • 他人の評価を過度に気にするあまり、自分らしさを失う
  • 「ノー」と言えず、過剰な仕事を抱え込む

これらの行動によって、短期的な関係では円滑な人間関係が築けるかもしれません。しかし、根本的なモヤモヤは解消されず、長期的に大きなストレスを抱えがちです。

人間関係 モヤモヤ
photo by Adobe Stock

人間関係のストレスからくる症状

職場の人間関係によるストレスは、心身にさまざまな影響をおよぼします。以下の代表的な症状のうち、自分に当てはまる症状がないかチェックしてみましょう(※1)。

【身体的な症状】

  • 頭が重く痛む
  • お腹がムカムカする、胃腸が不調
  • 筋肉がこる、肩こりがひどくなる
  • 夜なかなか眠れない、熟睡できない
  • 風邪をよくひく
  • 血圧が高くなる
  • どきどきする、息があがる
  • 食欲が低下する
  • 便秘や下痢症状が続く
  • 体重の増減が激しい

【精神的な症状】

  • 落ち着かない気持ち、いらいらする
  • ひどく気分が沈む
  • すぐにかっとなる
  • 集中力がない
  • やる気が起きない
  • 自分が嫌いになる
  • ずっと気分が落ち込んでいる
  • 急にパニックになる
  • 人と会うのが怖くなる
  • ちょっとしたことで涙が出る

【行動面の症状】

  • 以前より消極的になる
  • 周りとの交流を避けるようになる
  • 飲酒、喫煙量が増える
  • 服装や化粧などの身だしなみにかまわなくなる
  • 落ち着きがなくなる

これらの症状が長く続いている場合は、医療機関などに相談することが必要な場合もあります。受診するべきか迷っている場合は、次に紹介する「ストレスチェック」で自分の状態を把握してみましょう。

職場の人間関係によるストレスに気づくチェックリスト

職場の人間関係によるストレスと上手に付き合うためには、「自分のストレスに気づく」ことが大切です(※1)。自分が感じているストレスの原因は何か、どのような状況や出来事にストレスを感じるのかを把握します。

ストレスを把握するための方法の一つが「ストレスチェック」です。従業員が50名以上の事業所ではストレスチェック制度が義務化されており、調査票によるチェックが年に1回行われます(※2)。

職場でストレスチェックを行っていない人、自宅で簡単にストレスチェックをしたい人は、厚生労働省のホームページでセルフチェックをしてみましょう(※3)。

実際の労働環境や仕事の悩みを思い浮かべながらチェックを行うことで、自らのストレス状況について「気づき」が得られます。

人間関係 ストレス
photo by Adobe Stock

人間関係のストレス解消法

では、職場の人間関係によるストレスはどのように解消すれば良いのでしょうか。次のような3つの方法を組み合わせることで、効果的なストレス解消が期待できます。ぜひ試してみてください。

①アサーション

「嫌だな」と思っても、相手との関係にひびが入るのが心配で、自分の気持ちを相手に伝えられずモヤモヤした経験はありませんか。

アサーションとは、自分も相手も大切にするコミュニケーションです(※4)。互いに素直に自分の気持ちを伝え合い聴き合うことで、より豊かな相互交流を目指します。

アサーションの実践は次のような点を意識すると効果的です(※5)。

  • 自分の気持ちを大切にする
  • アイメッセージ(主語を私にする)を用いる
  • DESC法で伝える

DESC法はアサーションの代表的なトレーニング法であり、対人スキルコミュニケーションの獲得に有効です。

アサーションについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もお読みください。

②人間関係に対する考え方の幅を広げる

人間関係のストレスを軽減するには、考え方の幅を広げることも重要です。そのためには、ネガティブな感情や行動に気づきを向け、考え方の修正や検討を行う必要があります。

人間関係に対する考え方を変えるのに役立つのが、認知再構成法です。ある出来事が起こったときに瞬間的に浮かぶ考えである「自動思考」とは別の考え方を持つことを目標とします。

認知再構成法では、次のような流れでバランスのとれた柔軟な思考を身につけていきます(※6)。

  1. 出来事を思い出す
  2. そのときに湧き上がった感情と強さを書く
  3. 自動思考を書き出す
  4. 自動思考の根拠を書く
  5. 自動思考に反する証拠を書き出す
  6. 自動思考に代わる新たな思考を生み出す
  7. 最後に、新たな思考を取り入れたことによって生じた感情と強さを書く

③リラクセーション

リラクセーションは、リラックス状態のときの筋肉の弛緩状態を作り出し、身体をゆるめることで不安や緊張もゆるめていく方法です。とくに効果的な方法として、次のような技法があります。

  • 呼吸法:ゆっくりと深く呼吸することでリラックスする
  • 自律訓練法:段階的に全身の緊張を解いていく
  • 漸進的筋弛緩法:筋肉の弛緩と緊張を行うことでリラックス状態を作りだす

これらの方法を日常的に実践することで、ストレス耐性を高め、心の安定と精神的な強さが得られます。

④コーピング

職場での人間関係によるストレス解消には、運動や趣味などの気分転換も欠かせません。いざストレスを感じたときに、気持ちを切り替えられるような方法をいくつか持っておくと安心です。
自分のストレスが少しでも楽になる方法をリスト化したものが、コーピングリストです。ストレスへの対処法は「コーピング」と呼ばれ、コーピングをできるだけ多く持っている方がストレスを解消しやすいといわれています(※7)。

たとえば、日常的に実践しやすいコーピングには次のような行動があります。

  • 散歩をする
  • ジムで汗を流す
  • 温かい紅茶を飲む
  • 音楽を聴く
  • ストレッチをする
  • 友だちとおしゃべりをする
  • 喧嘩した友人との仲直りの方法を考える
  • 仕事のタスクを効率的に終わらせる方法を考える

自分が好きなこと、趣味につながることなど、気分転換につながる行動をリストアップしておくと、人間関係に悩んだときに素早く対処できるようになります。

⑤十分な休養とリフレッシュ

人間関係に疲れたときは、十分な休養とリフレッシュを意識してください。

心の不調は集中力や判断力の低下をまねくので、作業効率に支障が出る場合もあります(※8)。そのため「職場に迷惑をかけられない」と休日出勤をしたり、自宅でも仕事をしたりと無理を抱えてしまう人もいるでしょう。

ストレスを上手に解消するには、仕事とプライベートをしっかりと割り切り、自分の時間を過ごすことが大切です。好きなことをしてリラックスしたり、自分を見つめる時間を作ったりすることで、心身の疲労を回復させ活力のある状態に戻します(※9)。

自分に合った対処法を見つけて、健やかな毎日を

職場の人間関係のストレスは、多くの人が抱える悩みですが、一人で抱え込む必要はありません。今回ご紹介したように、ストレスの原因を客観的に理解し、アサーションやリラクセーションといった具体的な対処スキルを身につけることで、心への負担は大きく軽減できます。

まずは、ご自身のストレスのサインに気づくことから始めてみませんか。そして、この記事で紹介したヒントの中から、ご自身が「これならできそう」と思えるものを、一つでも試してみてください。その小さな一歩が、より健やかで、自分らしい働き方へと繋がっていくはずです。

※この記事はAIメンタルパートナーアプリ「アウェアファイ」と連携しています

【参考文献】

※1 ストレスへの気づき:こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※2 厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム

※3 5分でできる職場のストレスセルフチェック|こころの耳

※4 平木典子(2021)「アサーショントレーニング」日精研

※5 アサーションとは?トレーニング方法やロールプレイ事例を解説 

※6 丹野義彦ほか(2018)「臨床心理学」有斐閣

※7 コーピングリストとは?作り方や200個の具体例、コーピング実践アプリをご紹介

※8 メンタル不調の治療と休業:こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※9 休養・こころの健康|厚生労働省

広告

RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

人間関係 モヤモヤ
人間関係 ストレス