【座って、立つ。それが寿命の予測になる可能性!?】身体テストの研究結果からわかったこととは?
手軽な身体テストが、早期死亡のリスクを示す可能性があるという研究結果が示された。
座って立つテスト(Sitting-Rising Test / SRT)の点数と死亡率
この研究には、1998年から2023年の間にブラジルのリオデジャネイロのクリニックを訪れた46歳から75歳までの成人4,000人以上が参加した。参加者の約2/3は男性で、健康状態の検査後、テスト(Sitting-Rising Test / SRT )を実施した。このテストにおいて参加者は、なるべく手や膝などでサポートすることなく、立っている状態から床に脚を組んだ状態で座り、その状態からまた立ち上がり直すよう指示を受けた。座る動作、立つ動作、各5点満点とし、何にも触れることなくできた場合は満点、手や肘、膝など、それぞれ片方使用毎にマイナス1点、ふらついた場合はマイナス0.5点とし、上限10点で2つのスコアを合算した。平均約12年の追跡期間中、約700人が死亡した。COVID-19や事故などの外部要因による死亡は除外し、自然死や心血管疾患による死亡に焦点が当てられた。
結果、10点満点を獲得した人のほとんどは、追跡調査時にも生存が確認された。さらに研究者は、テストのスコアの低下に伴い、死亡リスクが著しく高まることを発見した。10点満点の人々の死亡率は3.7%、8点では死亡率11.1%、4点以下では死亡率42.1%となった。年齢、性別、体格指数(BMI)、既存の健康状態を考慮し調整した後でも、4点以下の人は、10点満点を獲得した人と比べて、心臓病による死亡リスクが6倍高く、自然死のリスクが4倍高かった。
ただし、著者らは、研究の参加者は主に高所得層および高学歴層から構成されていたため、結果がより広い層に適用されない可能性があると注記し、このテストで10点満点であることが必ずしも長寿に直結するわけではないとしている。しかし、予測としては十分に合理的だと述べる。今回の研究結果は、寿命研究の分野で急速に発展している研究領域の一部となるものとなる。最近発表された別の研究では、片足で10秒間立っていられなかった人は、立っていられた人に比べ、その後の10年間での死亡率がほぼ2倍高いという結果が示されたものもあるのだ。
様々な身体能力の必要性
このテストは、筋力、バランス力、柔軟性、連携性という、異なる身体能力を必要とする。バランス力と柔軟性の低下は、高齢者の転倒のリスクを高め、重大な怪我や死亡につながる可能性がある。脚の筋力低下は、椅子から立ち上がる、階段を上る、買い物袋を運ぶなどの日常的な動作を困難にする。ランナーなら走る、ウェイトリフターならウェイトを上げる、といった風に、多くの人は自分が既に得意な活動にのみ焦点を当てがちだと、CLINIMEXの医師で今回の研究の筆頭著者クラウディオ・ギル・アラウージョ博士は指摘する。「ですが、弱い部分を改善することは、全般的な健康や寿命に大きな影響を与える可能性があります。」と言う。
スコアが低い場合は?
自宅で行う場合は必ず、平らで滑りにくい床で行い、バランスを崩して転倒することを防ぐために、近くでサポートをしてくれる補助者がいる状態で行う。スコアが低いからといって未来がないというわけではなく、それは適切な運動による改善箇所があることを示すものとなる。重要なのはその要因が筋力不足、柔軟性不足、バランス力不足、またはそれらの組み合わせによるもの、どれなのかを特定することだとアラウージョ博士は説明する。これは理学療法士やパーソナルトレーナーが分析を行うことができるだろう。スコアは年齢とともに低下するが、40歳未満の人は10点満点が望ましいとアラウージョ博士は助言する。
このテストの動作に苦戦する人は、運動習慣を優先すべきだと、ミシガン州立大学運動科学准教授ニコラス・モートンセン博士は述べ、例えば階段の上り下りを定期的に行うだけでも、脚の筋力と全身の連携性を養うのに役立つと言う。また、研究では、椅子に座り、再び立ち上がる動作が「極めて有益」と示されている。モートンセン博士によると、これは、座る・立つ方法を習得し、今回の研究で行われたテストの動作で使う筋肉を、より小さく安全な可動域で強化できるからだ。そして明確なのは、有酸素運動と無酸素運動の両方を定期的なルーティンに取り入れることが、長期的な健康維持に不可欠ということだと述べている。
出典
https://www.health.com/this-fitness-test-could-predict-your-longevity-11758686
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