【最新研究】老化や寿命に関わる要因の約7割が“遺伝”ではなく、“環境”に起因していたことが判明!


私たちはどれくらい生きられるのか——この疑問に対し、科学は長年"遺伝”と“環境”のどちらがより大きな影響を持つのかを議論してきた。しかし、最新の研究によれば、私たちの寿命は遺伝ではなく、生活環境やライフスタイルに圧倒的に左右されることが示された。
老化の進行、意外にも遺伝の影響は小さい?!
英オックスフォード大学の研究チームは英国の大規模な健康データベース「UKバイオバンク」を用いて、約50万人の生活習慣や遺伝情報を分析した。さらに、そのうち4万5千人以上の血液サンプルを用いて、分子レベルでの老化の進行を調べた。その結果、老化や寿命に関わる要因の約7割が生活環境に起因することが判明した。つまり、遺伝が果たす役割はごくわずかであり、むしろ環境要因の方が決定的な影響を持つことが明らかになったのだ。特に心臓病や糖尿病などの生活習慣病は、遺伝による影響よりも環境による影響の方がはるかに大きいことが分かった。
また、今回の研究では、単に誕生日から計算される「実年齢」ではなく、体内のタンパク質の変化から導き出される「生物学的年齢」にも注目した。例えば、同じ50歳でも、健康的な生活を送る人の生物学的年齢は45歳相当、逆に不健康な生活を送る人は55歳相当にもなり、日頃の生活習慣の違いが老化スピードの明暗を分けることが明らかになった。

健康寿命を延ばすためのポイント
研究チームは、老化や死亡リスクに関わる164の環境要因を分析し、特に影響が大きい25の要因を特定した。その中でも、以下のようなライフスタイルが寿命を大きく左右することが示された。
- 食生活:バランスの取れた食事が長寿に貢献
- 運動:定期的な運動は老化を遅らせる
- 睡眠:質の高い睡眠が健康寿命を延ばす
- 喫煙・飲酒:どちらも老化を加速させる要因
- 社会的つながり:孤独は早死にのリスクを高める
また、経済状況、教育レベル、職業、住環境などの「社会経済的要因」が寿命に与える影響は極めて大きいことも判明した。これらの要因は遺伝とは無関係であり、私たちの選択や社会政策によって変えられるものである。

遺伝は「サイコロ」、環境は「プレイヤー」
この研究に関与していないケンブリッジ大学の生物統計学者、スティーブン・バージェス博士は、「遺伝はサイコロを振るようなものだが、どのようにプレイするかは私たち次第だ」とコメントしている。つまり、遺伝によってある程度の傾向は決まるものの、実際の健康状態や寿命は私たちの行動や環境によって大きく変わると言える。「どれだけ長く生きるか」は、もはや遺伝だけで決まるものではない。私たちの毎日の選択と環境こそが、健康的で充実した人生を送るカギなのだ。

出典:
Scientists find lifestyle and living conditions have greater impact on healthy ageing than genes
What’s the secret to a long life? This study shows your choices matter more than your genes
Environmental factors, lifestyle choices have greater impact on health than genes, study finds
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