炭水化物を控えると寿命が短縮することも!炭水化物がからだに悪くない理由【管理栄養士が解説】

 炭水化物を控えると寿命が短縮することも!炭水化物がからだに悪くない理由【管理栄養士が解説】
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ダイエットや健康の大敵とされる「炭水化物」ですが、正しく理解して摂ることで、太らない・疲れない ・寝つきがよくなる生活を送れるようになる、と語るのは文教大学教授・管理栄養士の笠岡 誠一さん。笠岡さんの著書である『9割の人が間違っている炭水化物の摂り方』(アスコム)より、炭水化物の本当に正しい食べ方について一部抜粋してお届けします。

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炭水化物はからだに悪いは、 大きな間違い

糖質制限ダイエットがブームとなり、糖質を含んだ「ご飯」はダイエット・健康の大敵と誤解している人がとても多いのが気になります。そして、あたかも糖質(炭水化物)そのものが、「からだに悪いもの」と見なされています。しかし、それは間違いです。炭水化物は「からだに悪いもの」ではなく「からだに絶対必要なもの」。炭水化物を食べなければ、人は健康になれません。「炭水化物を食べて健康になる」と聞いて、 腑に落ちない方もいるでしょう。しかし、もしあなたが今、からだに不調や病気を抱えていたり、なかなか体重が減らなかったりと悩んでいたら、 ご飯やそば、 パスタやうどん、 ジャガイモといった炭水化物を、 たっぷり食べていないことが原因かもしれないのです。

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炭水化物を食べないことによる健康的悪影響を示す報告は、枚挙にいとまがありません。アメリカのスコット・サロモン博士らが25年にわたって15万人に行った調査では、炭水化物(糖質)の摂取量が総カロリーの40%に達しない人たちは、死亡リスクが高まり、寿命が短縮することが示されました。また、炭水化物の摂取を大幅に減らすと、動脈硬化のリスクが高まり、心臓病による死亡率が50%近くも増加するとの報告もあります。さらには、がんによる死亡率の増加や脳梗塞への影響も指摘されています。

名古屋大学大学院医学系研究科予防医学分野の研究グループが約8.1万人のおよそ9年間の追跡調査によって、日本人の炭水化物の摂取量と死亡リスクとの関連について調べた研究報告があります。低炭水化物食が体重減少や血糖値の改善などを促し、私たちの生活習慣病の予防に有用だと喧伝されていますが、長期的な生命予後(長生きできるかどうか)について明らかでないことから、調査したものです。その結果、男性では炭水化物が極端に少ない人で、女性では炭水化物が極端に多い人で死亡リスクが高くなる傾向であることが示されました。つまり、摂りすぎもよくないですが、摂らないのもよくないということ。極端な食習慣は寿命に影響を与えると指摘し、死亡リスクを考える上で食事のバランスの重要性を提言しています。

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こうしたことからも、 「炭水化物を食べないのは危険」であることがご理解いただけると思います。大切なのは、「炭水化物の摂り方」です。どれくらい、どのように炭水化物を摂るかを知ることです。「炭水化物は摂らないほうがいい!」という理解の方は、言い方は非常に厳しいですが、炭水化物についての知識や、その知識を活用する力=炭水化物リテラシーが低い状態です。炭水化物リテラシーを身につけることが、 一生モノの健康につながっていくのです。

『9割の人が間違っている炭水化物の摂り方』
『9割の人が間違っている炭水化物の摂り方』(アスコム)

この本の著者/笠岡 誠一

文教大学健康栄養学部教授。管理栄養士。博士(農学)。
1967年広島県三原市生まれ。1993年東京農業大学大学院修了後、山之内製薬(現・アステラス製薬)を経て、2000年より文教大学専任講師。2014年より現職。専門分野は栄養生理学、食品化学。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の性質を兼ね備えた「レジスタントスターチ」に早くから注目し、腸内環境を改善する”腸活”を多方面で世に広める。著書は、『炭水化物は冷まして食べなさい。』(アスコム)、『脳と体がみるみる若返る 30の食習慣』(高橋書店)など多数。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

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ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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