痩せにくい&太りやすいのは「炭水化物ダイエット」が原因?糖質摂取で知っておきたい2つのポイント
炭水化物ダイエット(もしくは糖質制限)は、短期的に体重を減らすことができる方法として広く知られている方法です。しかし、メリットばかり切り抜きした情報が広まり、デメリットの部分はあまりスポットライトが当たりません。糖質制限がきっかけでダイエット迷子になった人々を多く指導してきたトレーナーmikikoが、炭水化物を摂取することの大切さと注意点を解説します。
専門家の中でも意見が割れる分野ではありますが、私は糖質制限ダイエットには短期的なメリットよりも長期的なデメリットの方が大きいと考えています。
基礎知識
- 炭水化物=糖質+食物繊維
- 食卓に上がるお米やパンなどの食品は「炭水化物」で、それが身体の中で食物繊維と分けられて「糖質」になり、さらに小さく分解されて「糖類」になる
炭水化物を避けた生活を続けていると、少し食べただけで身体が蓄えやすくなっていきます。友達とのおでかけでアイスを食べたり、誕生日にケーキを食べたり、お米たっぷりのお弁当を食べるなどの「ちょっとした糖質摂取」に身体が上手に対応できなくなってしまうのです。つまり、長期的な目線でみてみれば糖質制限をすることで逆に太りやすくなるということ。
いわゆる「痩せやすい身体」「太りにくい身体」を目指すのであれば、炭水化物を避けた生活は、目的地と逆方向に全力疾走しているような努力と言ってもいいでしょう。
人間の身体は糖質を使うように進化した
人間は、唾液に糖質を消化する酵素を持つように、何万年もかけて進化してきました。口に食べ物を入れた瞬間から糖質を血中に取り込む準備を始めているということです。なぜなら、それだけ糖質が身体にとって重要な役割を果たすから。
筋肉を動かすのには糖質が必要です。脳が働くのにも糖質が必要。その糖質は炭水化物として食事の中に含まれています。十分な糖質の供給がないまま急に筋肉を使えば、低血糖になって、脳がシャットダウン(失神)することもあります。このシャットダウンは、糖質の使用で優先順位の高い脳が最低限の供給を確保するために、身体動作を強制終了する機能です。
しばらく糖質制限食を続けていると、筋肉が減ったり、血糖をコントロールする能力が落ちたり、血中脂肪に悪影響が出たり、健康を害するリスクが報告されています。
といっても、炭水化物をなんでも好きに食べればいいというものではありません。炭水化物と仲良く生きていくために、摂取するときに注意するべきなのが「タイミング」と「質」です。
タイミング
身体が糖質を使う能力を高めるためには、糖質を摂取し、それを燃料に運動することを普段の生活で繰り返すことが効果的です。糖質を避けた生活ではこの能力が衰えるため、ちょっとした糖質摂取で血糖値が爆上がりしやすくなってしまうのです。
諸説ありますが、炭水化物を積極的に摂りたいタイミングは、運動の30分〜1時間半ほど前がベストと言われています。幅があるのは、食べるものによって消化の速度に差があるため。
おにぎりのような「食物繊維が少なく、炭水化物がほとんどのもの」は消化が早く、玄米定食のような「食物繊維が多く、他の栄養素もバランスよく入っているもの」は消化が比較的ゆっくりになります。
特に運動の強度が高い場合は、気持ち悪くならないように消化に時間がかかるものは避け、運動の直前に食事をしないようにしましょう。
質
普段から血糖値が爆上がりしにくい茶色い炭水化物(玄米、全粒子のパン、オートミールなど)を摂るように心がけましょう。含まれる食物繊維が少ない白い炭水化物(白米、うどん、食パンなど)は血糖に溶け込まれやすく、スイーツ同様に血糖が急激に上がりやすいです。
しかし、白い炭水化物やスイーツを完全に避けた生活というのもちょっと寂しいので、血糖値を上げやすい食事をする場合は、その30分ほど後に運動する(=血糖を使う)予定があるタイミングを選ぶのがおすすめです。
炭水化物の知識を正しく使って、苦しいダイエットを卒業しよう
「努力」とか「我慢」とか「やる気」いう言葉で自分を追い込みながら、炭水化物を避ける生活を続けてるうちに、少しでも食べるたびに罪悪感や恐怖心を感じるようになってしまう人がたくさんいます。
『ダイエット=苦しいもの』というイメージを持ち、一生懸命苦しい努力を重ねているのです。そんな食生活で効果が出たって、心は満たされません。満たすどころか、頑張るほど欠けていくばかり。短期的な欲ばかりを満たすような方法に振り回されるのはやめて、炭水化物の正しい知識を身につけることでこの情報社会で自分の身を守っていきましょうね。
AUTHOR
mikiko
パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く