「ヘルシーっぽい」で決めてない?努力の空回りに導く勘違いは毎日の買い物に隠されていた

 「ヘルシーっぽい」で決めてない?努力の空回りに導く勘違いは毎日の買い物に隠されていた
mikiko
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2023-05-17

ダイエットの現場で「努力の空回り」に苦しんできた多くの人々を成功に導いてきたパーソナルトレーナーmikikoが、頑張り屋さんを失敗に導く「よくある勘違い」の裏側を解説します。

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ダイエットに失敗する人の多くが、「ダイエットが続かない」ではなく「頑張ってるのに結果が出ない」が理由でつまづきます。その努力の空回りの中でも特によく耳にするのが「ヘルシーな食べ物を積極的に選んでるのに痩せない」という悩み。

実際の例で言えば、『おから』のお菓子を選んでいる、『糖質減』『0カロリー』『たんぱく質たっぷり』の食品を選ぶようにしている、などがあります。実は、こうした“ヘルシーっぽい食品選び”に努力の空回りの原因が隠れていたりするのです。

「ヘルシーっぽい」マーケティングに気をつけよう

食品に「ヘルシーっぽい印象」を与えるためによく好んで使われる言葉があります。

  • ナチュラル
  • ヘルシー
  • 自然をそのまま(raw)
  • 身体にやさしい
  • たんぱく質たっぷり
  • ビーガン
  • 植物由来
  • 糖質減
  • シュガーフリー
  • 0カロリー

こうしたフレーズは、もちろん嘘を表示している訳ではありません。本当のことだけを伝えているけれど、大々的に伝えたいことは表に堂々と表示し、あまり堂々と伝えたくないことは裏の食品成分表や原材料に小さく表示してあるのです。これはマーケティングの手法で、伝え方を工夫することで商品に「ヘルシーっぽい印象」を与えることができます。こうした「ヘルシーっぽさ」について考えて購入する消費者はかなりの少数派で、実際のメリットよりも言葉のイメージや好感度で商品を選ぶのが圧倒的に多数派。

「ヘルシーっぽい」「伝え方を工夫する」ってどういうこと?と疑問に思う人も多いと思うので、具体的にこうしたフレーズを別の視点から見るための解説をしてみましょう。

①ナチュラル、ヘルシー、自然そのまま、身体にやさしい

これらは、パッと見は身体に良さそうだけど「なぜ良いのか?」が曖昧な言葉たちです。例えば、『ナチュラル』の何がどう身体にいい効果をもたらすのかを知っているでしょうか?『身体にやさしい』とは、具体的にはどんなメリットのことを指すのでしょうか?畑から取ってきて野菜をそのままかじるのではなく、工場で加工されてるものを『自然そのまま』と呼ぶのはなぜでしょうか?よく聞くフレーズだけど、「それっぽさ」で選んでいたことにハッとさせられる言葉たちの代表格です。

②たんぱく質たっぷり

ここ10年ほどで人気が出てきてよく使われるようになったフレーズ。たしかに『たんぱく質』も入っているれど、数字を見てみるとたんぱく質よりも炭水化物や脂質の方が多く入っていたりします(1日に必要な量と比較して)。ナッツバーおからスイーツはその典型例。「 たんぱく質も入ってるけど、美味しくするために砂糖やシロップも足してますよ。なんなら糖質や脂質の方がたんぱく質よりも入ってますよ」なんてことは堂々と注意書きはしないのです。本当に身体にメリットのあるたんぱく質たっぷり商品に隠れて「ヘルシーっぽい」商品が混ざっているので、食品成分表示までしっかりチェックして判断しましょう。

③ビーガン、植物由来

『植物由来』の食品は身体に良さそうなイメージですが、必ずしもそうとは限らないものです。健康への影響が懸念されているサラダ油やココナッツオイルも植物由来。酒やタバコだって植物から出来ています。もちろん、植物由来の食品のメリットもたくさんありますが、『植物由来=ヘルシー』とは限らないので要注意。美味しくするために、植物性の食品のメリットが台無しになってしまうほど脂や塩をたっぷり入れて味を濃くしていたりする食品も出回っています。ビーガンバーガーやベジタリアンラーメンはいい例で、塩分・脂肪・添加物がたっぷり入っています。

④糖質減、シュガーフリー、0カロリー

いま流行りの糖質制限は、体重減の即効性が立証される一方で、長期的な健康の懸念や摂食障害の引き金になるといった問題点も抱えており、実はまだまだ賛否両論のある方法です。しかし、『ダイエット=糖質制限』という高い認知度からこのフレーズを利用するサービスや商品は増えてきています。

甘さを残したまま砂糖を減らすために使われる甘味料も賛否両論。「添加物が安全であること(=safe、健康を害さない)」と「身体にいいこと(=good、健康を促進する)」は別物だということを私たちは忘れがちで、甘味料を使った食品を積極的に摂るように促す専門家も多くいます。私は、現場で指導をしていて「ダイエット飲料をやめて水を飲み始めたら食欲が安定して体重が落ち始めた」というケースを何度も目にしているので、『0カロリー』『シュガーフリー』を推し出す商品は慎重に扱って良し悪しを判断しています。

「知っててそれでも選ぶ」と「知らずに選ぶ」の違い

ヘルシーだろうとヘルシーじゃなかろうと、それでもその食品の味が好きで自分が食べたいと思うのであれば、買って食べることにもちろん問題はありませんし、罪悪感を感じる必要もありません。でも、身体にいいと勘違いして、良かれと思って、裏に小さく書いてある情報を知らないまま“わざわざ”選んでいるのなら、それは問題視するべきでしょう。「知っててそれでも選ぶ」のと「知らずに選ぶ」では全く意味が異なるからです。こうした日々の勘違いが積み重なり「頑張ってるのに結果が出ない」に繋がります。

情報と物が溢れる社会では、商品の売れ行きはマーケティングで決まります。そのマーケティングに振り回されて、実際に身体にいいものではなく『ヘルシーっぽい印象』に流されていないでしょうか?

もしあなたが、空回りの努力を重ねて「ジタバタしているだけで前に進めていない」と感じているのであれば、一旦努力の方向転換をして、マーケティングについて学んでみるのもいいかもしれません。ダイエットに限らず、今私たちが生きる社会で本当に自分にメリットのある情報を見極めて取捨選択しながら生きていくためには、一見遠回りに見えるけれど、こうした知識の武装をしていくことが「とにかく努力を重ねること」よりもずっと人生をいい方向に導いていってくれるからです。

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パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞



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