「最近背が縮んだかも?」は要注意!骨粗しょう症が進行するサイン|医師が解説
背中が丸くなってきた、「背が縮んだね」と周囲に言われるようになったら、注意が必要かもしれません。骨粗しょう症が進行するサインについて、医師が解説します。
「最近背が縮んだかも?」は要注意!
「年のせいかな」と見過ごしがちな“背が縮んだ”という変化。
これは、骨密度の低下や骨粗しょう症によって背骨が潰れる「圧迫骨折」が起きているサインかもしれません。
骨粗しょう症とは、骨の強度が低下して弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
主に女性ホルモンが不足する、あるいは運動不足などに関連する生活習慣が原因として考えられています。
一般的に認識されている骨粗しょう症では、加齢や女性ホルモンのエストロゲンが不足するため、特に閉経後の高齢女性が発症しやすくなっています。
骨粗しょう症になってしまうと些細なことで骨折しやすくなるだけでなく、身体全体の不調を招きかねない疾患ですので十分に注意することが必要です。
世界保健機関によると、「骨粗しょう症は低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴としており、骨の脆弱性が増大して骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。
一般的に、骨粗しょう症とは、骨の強度が低下することで引き起こされると考えられています。
骨の強度を規定する要因としては、骨密度と骨質が挙げられ、約70%が骨密度、残りの30%前後は骨質に影響されると言われています。
通常、骨粗しょう症の原因には、原発性と続発性の2種類があります。
原発性
原発性の骨粗しょう症では、その原因となる明らかな疾患などはありません。
主に女性ホルモンの低下や加齢によって引き起こされるものであり、全体の約9割を占めます。
健康な骨の維持には骨の形成や吸収といった代謝のバランスが鍵となります。
しかし、加齢に伴うビタミンDや副甲状腺ホルモンの働きの異常性変化によって骨の代謝のバランスが崩れていきます。
特に女性の場合には、閉経や加齢によって骨の分解を抑制するエストロゲンというホルモンの分泌が急速に低下していきます。
その結果、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、より骨が脆弱になる方向性へと傾くということです。
これら以外にも、無理なダイエットや偏食により栄養バランスが崩れてしまうと、カルシウムやタンパク質、ビタミン群などが不足して骨量が減りやすくなってしまうのです。
続発性
その一方で、続発性の骨粗しょう症とは特定の病気や薬の影響によって二次的に起こるとされています。
具体例には、甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの内分泌疾患、あるいは胃切除や吸収不良症候群など栄養に関連した疾患が影響している場合です。
それ以外にも、ステロイドなどの薬剤、先天性疾患など多種多様な原因によって続発的に骨粗しょう症が引き起こされます。
また、糖尿病を抱えている方では、同じ骨密度であっても骨折のリスクが高くなることが知られており、骨質の変化が発症に関わることが判明しています。
骨粗しょう症は女性に多い病気ですが、男性が発症した場合には生活習慣病が原因となっている場合が多く、症状が重くなりやすいとされています。
骨粗しょう症とは、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気であり、一度背骨に骨折が生じると、再骨折の危険性も上昇しますので、気になる症状があれば、放置せずに速やかに医療機関を受診しましょう。
特に、直近で4cm以上身長が縮んだ場合には、前向きに専門医療機関で骨密度検査やレントゲン検査を受けることが推奨されます。
骨粗しょう症は基本的に自覚症状が乏しく、背中が丸くなる、身長が縮むなどの症状が少しずつ認められていきます。
そのため、いわゆる「病気」と気付かずに放置する、あるいは気付いた時には病状がかなり進行していたということも多い疾患です。
年齢を重ねるごとに身長が縮むことはよくありますが、加齢の影響だけではなく、身長低下の主な原因は骨粗しょう症であると指摘されています。
骨粗しょう症では骨が弱くなり、背骨がつぶれてしまい身長が縮むことがあります。
骨粗しょう症における初期段階では、特に痛み症状も強くなく、外観などにも明らかな変化は見られません。
ですが、背中から腰部にかけて重苦しく疲れやすいという症状を自覚する場合があります。
これらの症状は、骨が減少するところを見ると、特に背骨に引き起こされやすくなっています。
弱くなった背骨の負担を周囲の筋肉で補おうとするために、異常な緊張がかかり筋肉の疲労が生じることによって症状が出るのです。
病状が進行すると腰、背部痛が出現して、外観的にも背中や腰が曲がって円背の姿勢になっていきます。
そのため、身長も低くなり、X線レントゲン検査でも明確に骨の粗鬆化、背骨の椎体の変形、あるいは背骨が上下から押しつぶされる圧迫骨折もよく見受けられるようになります。
骨粗しょう症により、高齢者が股の付け根を骨折すると治療に時間がかかり、その間に全身機能が衰弱して、寝たきり状態になるリスクもあります。
そして、軽く転んで尻もちをついただけで圧迫骨折が合併します。
圧迫骨折を起こすと通常であれば激しい疼痛症状を自覚しますが、特に高齢者においては痛みの感度が低く、症状に気付きにくいこともあるため注意が必要です。
骨粗しょう症かどうかが判断できるチェック方法としては、自分の背中が曲がっていないかどうかを確認してみて、まっすぐな正常な姿勢になり、鼻が胸より前方に突出していれば、背中が曲がっていて骨粗しょう症が隠れているかもしれません。
自覚症状がないまま進行する骨粗しょう症は、寝たきりの原因にもつながるため、早めの発見・治療が大切です。
骨折する前に知っておきたい、骨密度と女性ホルモンの話
女性は閉経後、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。
このホルモンは、骨を守る大切な役割を持っているため、骨密度が一気に低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
特に50代以降の女性は、「まだ大丈夫」と思っていても、知らないうちに骨がスカスカになっている恐れがあります。
「骨を守る力」は、女性ホルモンに支えられているのです。
骨粗しょう症は、骨の量(骨密度)が減って骨がもろくなる病気です。
その中でも、女性に多く見られるのは、女性ホルモン(エストロゲン)と深く関係しているからです。
エストロゲンは、骨の新陳代謝をコントロールし、骨の分解を抑える働きがあります。
ところが、閉経を迎えるとエストロゲンが激減し、骨密度も急激に低下。知らないうちに骨がもろくなり、ちょっとした転倒でも骨折してしまうリスクが高まります。
骨折を防ぐには、定期的に骨密度検査を受けること、カルシウム・ビタミンDを十分に摂取すること、適度な運動と日光浴を行う、必要に応じたホルモン補充療法を実施するなど、早めの対策が重要となります。
まとめ
「なんだか背が縮んできた気がする」場合には、加齢のせいだけではないかもしれません。
数年前より身長が2cm以上低くなった、軽い転倒やくしゃみで背中や腰が痛くなった、最近になって猫背がひどくなってきた(背中が丸くなってきた)、「背が縮んだね」と周囲に言われるようになった場合には、骨粗しょう症が疑われます。
骨粗しょう症を放置して、病状が進行すると、背骨の圧迫骨折が起き、痛みや姿勢の悪化、さらには寝たきりの原因になることも懸念されます。
顕著な症状が出る前に、骨密度検査などを受けて、病気を早期発見して、適切に対処することが重要です。
心配であれば、整形外科、産婦人科など、専門医療機関に相談しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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