「覚醒に役立つと思っていた…」【スヌーズ機能】の使用は深い睡眠を損なう可能性!?研究結果が示唆
スヌーズ機能は覚醒に役立つわけではなく、むしろ深い睡眠を損なう可能性があると専門家は警告している。
スマートフォンの普及により、スヌーズ機能の使用はこれまで以上に容易になったが、睡眠の専門家は、スヌーズ機能は目を覚ますのに役立たず、むしろ深い睡眠を損なう可能性があると警告している。
スマートフォンユーザーのスヌーズ機能の利用傾向
研究者らは、睡眠追跡スマートフォンアプリ「SleepCycle」の約2万1千人のユーザーから睡眠データを収集し分析を行った。参加者は男女ほぼ同数で、約半数が米国在住だった。
結果、分析対象の300万件の睡眠データのうち、56%が起床時にスヌーズ機能を使用する形で終了していた。スヌーズボタンは平均で2.5回押され、総スヌーズ時間は10.8分だった。週末よりも平日にスヌーズ機能を使う傾向が強く、また、毎日異なる時間に寝起きするなどといった不規則な睡眠習慣を持つ人は、スヌーズ機能を使う傾向が強くみられた。被験者の約半数である45%が「スヌーズのヘビーユーザー」と分類され、これらの人は週の80%以上の朝にスヌーズボタンを押しており、1日平均20分のスヌーズ時間が確認された。
スヌーズ機能は使わない方が良い?
スヌーズ機能の健康への影響は、長年議論が続いており、過去の一部の研究ではポジティブな影響を示唆するものもある。しかし、今回の研究の著者で、ハーバード大学医学部准教授の睡眠科学者レベッカ・ロビンス博士によると、多くの睡眠の専門家は、スヌーズ機能の繰り返しの使用が睡眠に悪影響を及ぼす可能性があると考えているという。その主な理由は、スヌーズ機能を複数回使うと、朝の深い睡眠を妨げる可能性があるからだ。
スヌーズアラームは、覚醒前の数時間に起こるレム(急速眼球運動)睡眠を含む、睡眠の最も重要な段階の一部を妨げるとロビンス博士は述べ、「スヌーズアラームによって重要な睡眠の段階が中断され、アラームとアラームの間に得られるのは浅い睡眠だけになります。」と説明する。つまり、レム睡眠の時間を削り、回復効果が低い短い睡眠の断片が繰り返されることになり、意味ある形で睡眠の量を増やすことにはならないという。
スヌーズ機能の使用は睡眠を乱す可能性があるが、日中のパフォーマンスや健康への影響を明確にするためには、今後の研究が必要だと研究の著者たちは記している。
眠気がしばらく取れないのは自然なこと
睡眠慣性(起床後の一過性のだるさや眠気)は、人がスヌーズ機能に頼る理由の一つだとロビンス博士は言う。睡眠慣性は目覚めの自然なプロセスの一部で、通常、目覚めてから15~60分ほど続くが、やがて消える。「スッキリ目覚めてすぐに元気いっぱい、というのは実は珍しいのです。ほとんどの人には移行期間があります。」とロビンス博士は話す。そのため、良い睡眠を取った後でも、目覚めてからしばらく休みたいと感じるのは自然なことだ。「私たちは皆、目覚めた瞬間に完璧な状態になるわけではありません。一日を始めるのに時間がかかるものです。」とロビンス博士は言う。
スヌーズ機能を使わずに目覚めるためのヒント
スヌーズ機能の使用を減らし、睡眠の質を向上させるためには、睡眠の専門家たちによる以下の対策を試してみよう。
- アラームをできる限り遅い時間に設定する:現実的な範囲内で、起きなければならない最も遅い時間にアラームを設定することで、より集中した中断のないレム睡眠を得ることができる。
- アラームをベッドから離れた場所に置く:アラームを止めるために物理的に起き上がる必要があるため、スヌーズボタンを繰り返し押す誘惑を減らすことができる。
- 睡眠習慣を全般的に改善する:カフェインやアルコール、就寝前のソーシャルメディアの使用を避ける、就寝時間と起床時間を一定に保つなどといった習慣は、どれも良い睡眠を促すのに役立つ。
- 日光を浴びる:「日光に当たることは、脳内のメラトニンの分泌を抑制し、一日を始めるための準備を整えます。」とロビンス博士は説明する。外に出られない場合は、窓辺に立ってみよう。
生活習慣を変更してもなお、複数のアラームをかけても起きられない、起床が困難、または日中に疲労感がある場合は、医療従事者の相談を受けることが最善だと、米国ガイシンガー医療センターで睡眠医学の研究に携わるアン・マリー・モース博士は述べている。
出典
https://www.health.com/what-hitting-snooze-does-to-your-sleep-11744810
https://www.today.com/health/sleep/how-to-stop-snoozing-rcna206805
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