知っているようで知らない「関節リウマチ」どんな人に起こりやすい?兆候は?

 知っているようで知らない「関節リウマチ」どんな人に起こりやすい?兆候は?
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-04-25

関節リウマチとはどのような病気?どんな人に起こりやすい?その兆候とは? 医師が解説します。

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「関節リウマチ」とはどのような病気か

関節リウマチという疾患は、生体に自己免疫反応の異常が引き起こされることによって、関節内部を覆っている滑膜と呼ばれる場所に炎症が惹起されるものです。

現在のところ、関節リウマチはわが国では人口の約1%程度の方々が罹患すると言われている全身性の自己免疫疾患であり、男女比はおよそ1:3であり女性のほうが男性より多くかかりやすい病気と言われています。

朝の手のこわばりや関節の腫れなどの症状が特徴の「関節リウマチ」は、早期的に専門外来を受診して、適切に治療を行うことが大切な病気です。

現在は、関節リウマチに対する治療薬が大きく進歩しており、症状の寛解を維持できるようになってきました。

膠原病のひとつである関節リウマチは、一般的に女性に起こりやすい病気と思われがちですが、実際には男性にも発症しうる病気です。

関節リウマチとは、免疫の異常で炎症が起こる自己免疫疾患であり、身体の関節の部位に炎症が起こるため、関節の痛みや腫れなどの症状が起こります。

関節に激しい痛みを伴うのが特徴で、関節を動かさなくても痛みが起こるとともに、軟骨や骨が破壊されるため、進行すると関節が変形したり、機能障害を引き起こす場合があります。

関節の強い痛みがあるために、日常生活や仕事場面などに支障をきたすこともありますが、「手がこわばって動かずに、関節が腫れて痛い」などの自覚症状を訴えても、周囲の方々から十分な理解を得られにくいことも考えられる病気のひとつです。

「関節リウマチ」はどんな人に起こりやすいのか?その兆候は?

リウマチ
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関節リウマチの原因はまだよくわかっていませんが、ウイルスや細菌の感染や、過労、ストレス、ケガ、喫煙、出産、遺伝などがきっかけとなって発症する場合があります。

関節リウマチにおいては、本来であれば自己を守って保護するはずの免疫機能が何らかの異常過程によって生体の一部分である関節部位に対して攻撃的に働き、同部の疼痛や炎症をひきおこすと考えられています。

関節リウマチの発症

関節リウマチが発症する明確な原因は、現代においても明確になってはいませんが、先天性の遺伝的要因と周辺の環境的要素が複雑に組み合わさって罹患するものと想定されます。

昨今の研究によりますと、関節リウマチの発症に関しては遺伝的要因がおよそ10%程度関与しており、白血球の遺伝子であるHLA-DRB1などを筆頭に関節リウマチに罹患しやすい遺伝子がだいたい100種類程度存在すると考えられております。

また、関節リウマチの発症リスクという観点から環境的要素として重要視されているのは喫煙歴です。

それ以外にも歯周病や慢性呼吸器感染症など免疫機構が関与して活性的に賦活化される要因が挙げられています。

一般的には、関節リウマチの病態として自己免疫異常の中でも抗シトルリン化ペプチドタンパク抗体などのいわゆる自己抗体の存在による関連性が知られています。

したがって、関節リウマチの血液検査ではリウマトイド因子や抗シトルリン化ペプチドタンパク抗体などを含む自己抗体検査が通常では行われます。

関節リウマチの症状

関節リウマチは大きく関節に起こる症状と、全身に起こる症状に分けられます。

早期に現れやすい症状には、朝の関節のこわばり関節の痛みや腫れなどの症状のほかに、倦怠感や微熱食欲不振などがあります。

関節リウマチは、初期のうちは両方の足や指の関節が対称的に腫れるのが特徴であり、特に、朝に手の関節のこわばりを自覚しやすく、朝起きてから30分以内に症状が現れ、30分以上症状が続きます。

関節リウマチでは、自己免疫学的な機序によって滑膜部に炎症が起こってしまうと、滑膜が増殖して周囲の軟骨や骨組織を溶解することによって関節患部に長期に渡って炎症性変化が継続して遷延化するため、関節変形や関節内癒合など関節機能に様々な障害が現れます。

症状の進行

場合によっては、股関節や膝関節など大きな関節にも病変が進み、症状が進行すると、膝関節や股関節に水が溜まって動きにくくなるため、日常生活に支障をきたす場面があります。

全身の関節に進行していくタイプの患者さんの場合には、指や手首の関節が破壊されて、指が短くなる場合や、関節が脱臼して足の指が変形することがあります。

全身性に起こる症状は、貧血や倦怠感、食欲不振、微熱などがあり、これらの予兆サインがあれば、関節リウマチを疑って、専門医療機関を受診しましょう。

まとめ

関節リウマチという病気は自己免疫疾患のひとつとして捉えられており、例えば手指や手関節部に炎症が起きて、同部に疼痛や変形を認める病気です。

関節リウマチによる障害によって、滑膜炎が慢性的に遷延して患部の疼痛や腫脹、そして関節破壊など身体的に構造異常をきたして、日常生活活動が制限されて、社会活動への参加を余儀なく制約させられることがあります。

一般的によく知られている関節リウマチの主な症状としては、関節のこわばりや関節部の疼痛、腫れなどが挙げられます。

関節のこわばりがあれば、整形外科を受診することを推奨しますし、倦怠感や微熱、食欲不振などの全身症状があれば、まずは内科(できれば膠原病内科)を受診してください。

関節リウマチは、他のリウマチ性疾患の症状と似ているため、リウマチ専門医による診断が必要です。

気になる症状や特徴があれば、診察の際に担当医に詳しく伝えて、関節リウマチが強く疑われる場合は専門医に紹介状を書いてもらい、リウマチ専門医を受診しましょう。

リウマチ専門医が在籍している可能性があるのは、「リウマチ科」、「膠原病科」、「内科」、「整形外科」などが知られています。

実際に医療機関などで患者さんが関節リウマチを疑われた際には、血液検査や画像検査を施行して、これらの諸検査結果と自覚的な症状を評価して総合的に専門医が判断することになります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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