週末は福島県郡山市の市場へ|鈴木農場のとうもろこしで作る“整うおにぎり”

週末は福島県郡山市の市場へ|鈴木農場のとうもろこしで作る“整うおにぎり”
石松佑梨
石松佑梨
2025-09-13

東京と郡山の二拠点暮らしを始めて気づいたのは、「野菜のおいしい食べ方は、育てた人に聞くのが一番!」ということ。 マルシェで出会った鈴木農場の野菜は、郡山市民だけでなく、東京をはじめ全国の料理人からも信頼を集めています。家庭でもシンプルに調理するだけで驚くほどおいしく、“整うごはん”につながるのが魅力です。 今回は、鈴木農場4代目・鈴木智哉さんに、絶品のとうもろこしご飯を教えていただきました。農家にとって朝ごはんは“一日を支えるはじまりのごはん”。そこには、現代人の体と心を整えるヒントが隠れています。

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「週末マルシェ」が暮らしに溶け込む町、郡山

開成マルシェ
開成マルシェ:震災復興の願いから始まり今年で11年目。
旬の野菜や加工品が並び、買い物だけでなく会話も楽しめる都市型市場。
(2025年開催予定:9/27 11/22 12/13|開成柏屋中庭|9:00〜14:00)
郡山ブランド野菜
あぐり市:鈴木農場と若手農家の思いから生まれた「郡山ブランド野菜」の発信拠点。
(2025年開催予定:9/21 10/19 11/16 12/14 12/21|うすい百貨店前|10:00〜16:00)

昨秋から東京と郡山の二拠点生活を始めて、「週末のマルシェ」が私の暮らしの一部になりました。郡山では春から秋にかけて、毎週のようにどこかで市場が開かれています。

その中で出会ったのが、鈴木農場の野菜です。東京のシェフからも厚い信頼を受ける一方で、鈴木農場は郡山のマルシェ文化を支える存在でもあります。

3代目・鈴木 光一さんの言葉が心に残りました。

「まず、郡山に住む人たちの幸せに貢献したい」

その想いの通り、鈴木農場の野菜は直売所やJA、マルシェなど、日常の中で手に取ることができます。県外での人気が高まっても、軸にあるのは「地元の暮らしを豊かにする」という姿勢です。

開成マルシェやあぐり市もまた、「地元の農産物を、生産者から直接届けたい」という想いから始まりました。生産者と消費者が対話できる、地産地消のプラットフォームとして、今も成長を続けています。

「農家の朝ごはん」が教えてくれた、“整う”感覚

智哉さん
鈴木農場4代目・鈴木智哉さん

市場の魅力は、野菜そのもの以上に、農家が教えてくれる「一番おいしい食べ方」にあります。

たとえば鈴木農場の冬の直売所では、長ネギだけで4種類。品種名だけでなく、品種の特徴や調理法まで丁寧に書かれています。

4代目・鈴木智哉さんはこう話します。

「野菜は、育てて終わりじゃない。おいしく食べてもらって初めて完成です。」

東京農業大学を卒業後、震災を機に郡山へ戻り、父・光一さんの想いを継承。料理人との交流や新品種開発にも取り組み、若い感性で“おいしさ”を探求し続けています。

今回は、鈴木農場オリジナル品種「とうみぎ丸」を使った混ぜ込みご飯を紹介してくれました。ちなみに「とうみぎ」とは、福島弁で“とうもろこし”のこと。

智哉さんは農家の朝をこう語ります。

「夏は朝食前から収穫作業に入ります。体力を使う仕事が続くので、甘じょっぱいおにぎりや大葉の香りに自然と手が伸びるんです。食欲がないときでも、大葉の爽やかさが助けてくれます」

農家にとっての朝ごはんは、まさに“一日を整えるごはん”です。

おいしいとうもろこしの選ぶコツ

トウモロコシ畑
鈴木農場のとうもろこし畑

レシピの前に、智哉さんにとうもろこし選びのポイントを伺いました。

「とうもろこしは、鮮度が落ちるにつれて糖度も下がります。また、収穫時間帯によって糖度の持ちも変わり、朝の涼しい時間帯に採れたものは、日中の暑い時間に収穫されたものより糖度が長く保たれやすいんです。そのため、私たちはいつも朝採りを心掛けています。

さらに、品種や生産者で選ぶことも重要です。天気予報を見て、4〜5日ほど雨が降らなかったタイミングで採れたとうもろこしは、比較的甘くなる傾向があります。

購入後はできるだけ早く食べるか調理して食べ切ることが大切です。少しでも鮮度の良い状態で味わってみてください」

つまり、

・鮮度が命。買ったらすぐ食べること

・朝採りは糖度が長持ちする

・晴れの日が続いた後のとうもろこしは甘い傾向

・信頼できる生産者・品種を選ぶこと

この4つを意識すれば、格段においしいとうもろこしに出会えます。

【レシピ】夏の整えご飯 “とうみぎ丸”の混ぜ込みご飯

とうもろこしご飯
大葉が香る“とうみぎ丸”の混ぜ込みご飯

次に教えていただいたのが、鈴木農場オリジナル品種「とうみぎ丸」を使った混ぜ込みご飯。2017年に「郡山ブランド野菜」として認定された自慢のとうもろこしです。

「とうみぎ丸の魅力が一番引き立つのは、シンプルに茹でたり蒸したりすること。バターコーンや天ぷらなどもおすすめです。少し塩を加えることで、より甘みのインパクトを感じられると思います。」

材料

とうもろこし、米、大葉、オリーブオイル、塩、めんつゆ

作り方

  1. とうもろこしから実を削ぎ、芯と実に分ける

  2. 米を炊くときに芯も一緒に入れる

  3. フライパンにオリーブオイルを熱し、実を少量の塩で炒める

  4. 焼き目がついたらめんつゆを回しかけ、やや濃いめに味付け
    (ご飯とこの後混ぜるので、少し濃いめの味付けに)

  5. 炊き上がったご飯から芯を取り出し、⒋を混ぜこむ

  6. 刻んだ大葉を加えて完成

炊きたてはもちろん、おにぎりにしても格別。さらに、コーンスープ、チヂミ、フリッタータ、サラダなど、アレンジも自在です。

管理栄養士 石松佑梨の【取材メモ】

直売所
畑の“今”をそのまま受け取れる、鈴木農場の直売所

鈴木農場の直売所は、畑の“今”をそのまま受け取れる場所です。旬の野菜には、その季節に必要な栄養が自然と含まれています。難しく考えず旬を選ぶだけで、体はシンプルに整います。

とうもろこしは余分な水分を排出し、むくみや夏のだるさを和らげる食材。胃腸を整え、食欲が落ちやすい時期にも優しいサポートになります。

市場は単なる買い物の場ではなく「出会い」の場。「これ、どうやって食べるんですか?」という一言から会話が広がり、人と食べものの距離が縮まります。

郡山には開成マルシェやあぐり市に加え、今年50周年を迎える「おはよう市場」も。朝5時に始まり、7時にはほとんど売り切れるほどの活気です。

出会えるのは、特別なグルメではなく、誰かの暮らしから生まれた“おいしい日常”。野菜との距離が近くなるだけで、心がふっとやわらぎます。

週末、郡山の市場に出かけてみませんか?

教えてくれたのは……鈴木農場・伊東種苗店 4代目 鈴木智哉さん

鈴木農場|直売所

“郡山ブランド野菜”は安全性はもちろんのこと、おいしさや栄養価も折り紙つき。
郡山の風土に合った品種を、200~300種類の中から吟味して選び抜かれています。

〒963-0201 福島県郡山市大槻町北寺18
Tel:024-951-1814
営業時間:9:00〜17:00
Instagram:@suzuki_nojo
※最新情報はインスタのストーリーで!

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※ウェルビーイングとは?
WHO憲章(1948年)によれば、「病気でないことや虚弱でないことにとどまらず、身体的・精神的・社会的にすべてが満たされた状態」と定義されています。“健康”と“ウェルビーイング”が並んで語られる今、どちらも揃って、ようやく“本当の健康”なのかもしれません。

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