【睡眠中に香りを嗅ぐだけで記憶力が大幅アップ!?】研究結果が示す「嗅覚と記憶の関係」

 【睡眠中に香りを嗅ぐだけで記憶力が大幅アップ!?】研究結果が示す「嗅覚と記憶の関係」
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HIDEMI
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2024-06-07

研究者たちは、高齢者が毎晩さまざまな香りに触れることで、記憶力が目に見えて向上することを発見した。

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高齢者の寝室に6ヶ月間毎晩2時間香りを漂わせたところ、記憶力が急上昇した。

カリフォルニア大学アーバイン校の神経科学者たちによるこの研究では、60歳から85歳までの43人の成人を対象とした。全員が健康で、認知に問題のある人はいなかった。それぞれの参加者には、寝室に置くための香りのディフューザーが配られた。研究者が用意した様々な液体を入れると、毎晩2時間、参加者が眠っている間、寝室全体に香りが広がる。

参加者は無作為に2つのグループに分けられた。全員にディフューザーと7つのカートリッジが配布され、それぞれに異なる天然オイルが1種類ずつ入っていた。一方のグループには微量の香りを含むカートリッジが配られ、もう一方のグループには、より高濃度の香りが含まれたカートリッジが配られた。研究期間中、参加者全員がローズ、オレンジ、ユーカリ、レモン、ペパーミント、ローズマリー、ラベンダー、計7種類の香りをローテーションで使用した。

6 ヶ月の研究期間の終わりに、研究開始時に行ったのと同様の記憶力テストを行ったところ、より強い濃度の香りを毎晩浴びたグループは、テスト結果が以前に比べ226%改善した。脳スキャンにおいても、左の鉤状束と呼ばれる脳の経路の統合性が向上していることが明らかになった。この経路は、内側側頭葉と意思決定を行う前頭前皮質とをつなぐもので、加齢とともにその機能が低下する微量の香りを入れただけのグループには、同様の改善は見られなかった。参加者はまた、より熟睡できたと報告した。

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嗅覚の喪失が神経や精神の疾患の予兆となる

科学者たちの間では、嗅覚能力の喪失が約70種類もの神経疾患や、精神疾患の発症の予兆となることが長い間知られていた。アルツハイマー病やその他の認知症、パーキンソン病、統合失調症、アルコール依存症などである。

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嗅覚は脳の記憶回路に直結する

なぜ香りと記憶が結びついているのかについては、解剖学的な要因が関係しているようだ。

鼻から香りの信号を受け取る脳の部位は嗅球と呼ばれる。嗅球はその信号を解読し、近接した大脳辺縁系と共有する。大脳辺縁系は、感情や気分、そして記憶に関与していることがわかっている。

「嗅覚は、脳の記憶回路に直結するという特権を持っています」と、共同研究者であるマイケル・ヤッサ教授は語る。

「他のすべての感覚は、まず視床を経由します。香りが昔の記憶を呼び起こすのにいかに強力であるかは、誰もが経験したことがあるでしょう。しかし、眼鏡で対処する視覚の変化や、補聴器で補う聴覚とは異なり、嗅覚の喪失に対するアプローチはありません」

研究チームは次に、認知機能低下と診断された人々に対するこの技術の効果を研究したいと考えている。また、この発見が記憶障害に対する嗅覚療法のさらなる研究につながることを期待しているという。

出典:

https://news.uci.edu/2023/08/01/sweet-smell-of-success-simple-fragrance-method-produces-major-memory-boost/

https://www.uclahealth.org/news/article/scent-therapies-may-help-preservation-memory

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ヨガ講師 /ヨガ翻訳・通訳者 色、音、言葉が好き。同志社大学国文学科在学中は日本語学を学び、中学生の頃から独自に英語の学びを深める。サロンモデルをしながら、ジュエリーブランド、コスメブランド勤務を経て、2015年よりヨガの指導を始める。外国人講師のWSやTTの通訳、テキスト翻訳等、ヨガ関係の通訳/翻訳業も行う。



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