静かなる警告?!最新研究結果で全てのヒト胎盤からマイクロプラスチックが見つかる

 静かなる警告?!最新研究結果で全てのヒト胎盤からマイクロプラスチックが見つかる
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山口華恵
山口華恵
2024-03-20

プラスチックごみが大量に放出されている今、マイクロプラスチックはエベレストの頂上から海の奥深くに至るまで地球全体を汚染している。さらに最新研究では調査対象となった全てのヒト胎盤にマイクロプラスチックが検出され、発達中の胎児に潜在的な健康影響を及ぼす可能性があることが懸念されている。

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マイクロプラスチックが発育中の胎児に影響

学術誌「Toxicological Sciences」の2024年2月17日発売号によると、ニューメキシコ大学健康科学センターの指導教授マシュー・キャンペン博士率いるチームは、分析した62の胎盤組織サンプルすべてにマイクロプラスチックが検出され、濃度は組織あたり6.5から790マイクログラムに及ぶことを明らかにした。最も多く見られたプラスチックはポリエチレンで、プラスチック袋やプラスチックボトルの製造に使用されているものである。プラスチックの使用は1950年代以来急速に増え、その生産量は今前例のないレベルに達している。

マシュー・キャンペン博士は、「これほどの濃度を引き起こす要因は分かっておらず、またその濃度が胎盤や胎児の成長および発達、また他の母体の健康への悪影響に寄与しているかどうかも現時点では明らかではありません。しかし、胎盤は母体の血液から多くの栄養を取り込むため、より強い影響を受ける可能性があります」と述べ、発育中の胎児に与える影響に警鐘を鳴らした。また、「胎盤に影響があれば、この惑星上のすべての哺乳動物に影響を及ぼしていることが考えられます。それは良いことではありません」と言い、マイクロプラスチックの影響が広範で深刻な状況を強調した。

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様々な健康問題増加の謎を解き明かす鍵?

さらに別の研究では、17のヒト動脈サンプル全てにマイクロプラスチックが検出され、これらの微粒子が血管の詰まりと関連している可能性が示唆され、さらには心臓発作や脳卒中のリスクと結びついている可能性が浮上している。キャンペン博士は、これらのマイクロプラスチック問題が、炎症性腸疾患(IBD)、50歳未満の大腸がん、精子数の減少など、健康問題の増加の謎を解き明かす鍵だと指摘している。

地球全体がマイクロプラスチックで汚染され、人々がこれを摂取している実態は深刻だ。研究者たちは食品や水を通じてだけでなく、呼吸によってもマイクロプラスチックを吸い込んでいることを指摘しており、これらの微粒子は赤ちゃんや成人の糞便にも検出されている。キャンペン博士は、「環境中のマイクロプラスチックの問題はますます悪化している。現在のままでは、2050年には環境中のプラスチックが3倍になるでしょう」と警告している。

これらの研究結果を踏まえ、私たちが今できることについて考える必要がある。プラスチックの使用を減らし、リサイクルを積極的に行うことは、個々の行動が環境への影響を軽減する一歩となる。また、科学的な研究や環境保護活動への支援も不可欠だ。地球全体で協力し、未来の世代に美しく健康な環境を残すために行動することが求められている。

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出典:
Microplastics found in every human placenta tested in study
Plastics from Bags and Bottles Found in Every Human Placenta, New Scientific Study Reveals

Microplastics in Every Human Placenta, New UNM Health Sciences Research Discovers

A silent warning? Microplastics found in every human placenta, reveals new study

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山口華恵

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。



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