ピザは“ヨガ的”な食べ物?アウトドアピザを通して得られる「食への気づき」

ピザは“ヨガ的”な食べ物?アウトドアピザを通して得られる「食への気づき」
Sheri Giblin

夏の夜、アウトドアでピザを焼いてみない?トッピングのアイデアを交換しおしゃべりしながら焼き上がりを待つ…そんな贅沢な時間は、食べる行為を本能的に楽しむことや人との結びつきをもたらしてくれる。記事の最後にニューヨークスタイルのピザ生地&ピザソースのレシピもあるので、あわせてチェックしてみよう。

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ピザを楽しむ。その選択肢は無限大

カリフォルニア州、ソノマ・カウンティ。気温は24℃、木製のデッキで108 エーカーの農場を見渡しながら、ヨガのクラスを終えたばかりだ。遠くの方で、太陽がゆっくりと海に沈んでいく。空気中には薪が燃える匂いが漂い、ハーブガーデンからパティオの方へと自然に足が向いていく。パティオにはパチパチと音を立てているピザを焼くアウトドアのオーブンがあり、その中のれんがでできた炉はちょうどいい温度になっている。
長テーブルに並べられた丸い器には、トッピングが山盛りになっている。ローストしたニンニク、キャラメリゼしたタマネギ、おろして粉にしたフォンティーナチーズ、収穫したばかりのホウレンソウ、リコッタチーズを詰めたスクウォッシュの花。ヨガの先生が巧みにピザの生地をのばし、頭の上に放り投げるのを見ようとみんなが集まってくるころ、表面にぷっくりした気泡ができている、黄金色に焼けた最初のピザがオーブンから取り出される。そんなとき、心の中で思うのはこんなことだ。「夏が大好きでたまらない」
オクシデンタルのジェネー・マーティンの家族農場にようこそ。彼女はここで「おいしい趣向」をこらした夏季のヨガリトリートを行っている。その趣向とは、夜のプラクティス後に行うピザパーティのことだ。「私は、イタリア系アメリカ人。だから、家族にとって、ピザはごく普通のものなの」とマーティンは言う。「それにピザは、みんなの好みに合わせることができるから、大勢の人たちをもてなすのに最高よ。フレッシュコーンやアルギュラ、タマネギ、ニンニクを使ったヘルシーなものもできるし、乳製品抜きがよければ、それも可能。グルテンなしのクラストもつくれるわ。アーユルヴェーダ的にバランスの整ったピザもね。選択肢は無限よ」
ずっと昔からある、安らぎを与えてくれる食べ物、ピザは、工夫をこらしたパンやピザを食卓に再び紹介した、国中のシェフやパン職人たちの情熱のおかげで、近年のルネッサンス期を迎えている。最近では、多くの高級レストランのキッチンで薪オーブンが使われ、メニューには、全粒粉を使ったクラストや、農家から届いたばかりの素材をトッピングしたベジタリアンのピザがある。とはいっても、アウトドアで焼くピザには、何か特別なものがある。そして、このニュースは広まりつつあるようなのだ。ヨガのリトリート、福祉センター、近所の公園、学校、カフェ、そして自宅の裏庭でさえも、誰もが外でピザを焼くことに夢中になっている。

「ピザの焼き上がりを待つ時間」は人と人とを結びつける

野外での調理は新しいことではない。地域で共有する野外オーブンは1000年も前から存在しており、現在でも地中海から中東に至るまでの小さな村々で使われている。村の人々はオーブンに集まり、ストーリーやレシピをシェアしながら一緒に並んで料理をし、習慣や食文化を守りながらコミュニティをつくり出していた。最近では、アメリカとカナダでこのようなオーブンが流行し、さまざまなところで見られるようになってきている。地域で共有するオーブンに地元の人たちが集まってピザやパンを焼いたり、オーブンの数時間熱を保つ性質を利用して、ゆっくりと火を入れるキャセロール、スープ、シチューなどをつくったりしているのだ。
ミネアポリスの詩人、マイク・ローリンは数年前、パウダーホーンのそばの空き地に、れんが製の共有オーブンをつくるのを手伝った。「人々が気軽に集まるためにつくったんだよ」とローリンは言う。「ピザを焼いている間は好きなときに立ち寄れるからね。人々が結びつく可能性を広げたんだよ」
野外のオーブンは、重要な教材ともなっている。レストラン「シェ・パニース」のオーナー、アリス・ウォータースは、子供たちが学校の庭で農作物を育て料理することを学ぶプロジェクトを、バークレーのマーティン・ルーサー・キング中学校で始めた。ここでは、野外のオーブンが15年もの間使われている。生徒たちは、そのオーブンを使って自分たちで植え、育て、収穫した野菜をのせたピザを焼いているのだ。
キング中学校の生徒たちは、多くの忙しい大人たちが、本能的にもう知っていることを学んでいる。野外で友人たちと料理することは得がたい喜びであり、美しい農産物に感謝の気持ちを示すよい方法なのだ(それに、暑い夏の夜に、キッチンが暑くなることもない)。友人たちと火を囲み、おしゃべりをしたり、笑ったり、つくった料理を味見し合ったりする様子を思い描いてほしい。これを実現するのに、地域の共有オーブンも、自分用のオーブンを置くスペースも必要ないのだ。
ワールド・ピザ・チャンピオンに9度輝いたトニー・ジェミンナーニは、自宅のグリルですばらしい結果が出せると言う。「ピザを焼くことに関して言えば、いちばん大切なのはピザの生地なんだ」と、サンフランシスコのトニーズ・ピザ・ナポリターナと、インターナショナル・スクール・オブ・ピザのオーナーであるジェミンナーニは言う。「生地は、できたてのフレッシュなものであることが絶対だ」
ジェミンナーニはまた、できるだけ先の準備までしておくこともすすめる。ズッキーニやナス、パイナップルなどのトッピングはアルミホイルに包み、準備の間に焼けるようグリルにのせておくように、と彼は言う。外のテーブルに、ソース(トマト、ペスト、アルフレード、スパイシーピーナッツなど)、チーズ、フレッシュな野菜などを入れた丸い器を置いて、ピザのカウンターをつくろう。手書きのカードで全部にラベルをつけ、友人がトッピングを持って来てくれたときのために、カードを数枚手元においておく。
必ず用意したいのは、オリーブ、マリネしたアーティチョークの芯、砕いたフェタチーズ、スライスしたマッシュルームなどの“グレイテスト・ヒッツ”だが、新しい試みをするのもためらわないように。農場でとれた卵を真ん中にのせて焼くピザのおいしさには、きっと驚くだろう。白身が固まり、黄身はやわらかに完璧にポーチされる。コーンとミント、レモンの皮、松の実のコンビネーション、あるいはイチジク、ヤギのチーズ、バルサミコ酢などを組み合わせた白いピザも試してみよう。
それとは別に、グリルから取り出したピザにゲストが各自でのせるものを置く場所を設けるのもいいだろう。最後に加える材料は最初にのせるものよりも重要なくらいだと、ジェミンナーニは言う。トウガラシのフレーク、おろしたパルメザンチーズ、一つかみのフレッシュなアルギュラ、少々のチェリートマト、カラブレーゼペッパー、刻んだハーブなどを散らしたり、オリーブオイルをひとたらししたりして、最後の仕上げをするよう友人たちにすすめよう。

安らぎを与える食べ物

アイルランドの西海岸沖のクレールアイランド・ヨガリトリートセンターで、チアラ・カレンとクリストフ・ムーズは、自らの経験から、ピザはなじみのない素材を生徒たちに紹介するのにとてもよいことを発見した。ヨガと、食への気づきのコースを教えるカレンとムーズは、自分たちで農作物を育て、収穫した穀物を粉にし、地域でチーズを調達して、リトリート最後の夜によく、外にある丸いオーブンを使ってピザをつくる。リトリートに来る人の中には、ベジタリアンでない人もたくさんいるの」とカレンは説明する。リトリートの期間中は、参加者の味覚の幅が広がるように食物を変わった組み合わせにしたり、初めて口にするような野菜を使ったりしているから、彼らはコースの締めくくりにピザを食べるととてもほっとする。ピザがどんなものかを知っているからリラックスできるのね。でもそれは、確かにピザではあるけれど、フレッシュな、想像していなかったような素材を使う、ひねりをきかせたものなのよ」。そういうピザの主役はトッピングだ、とカレンは言う。「緑の野菜は必ず使うし、たくさんのフレッシュハーブをのせただけのものもある。チーズは軽くふりかける程度だから、ほかの素材がよく見えるのよ。トマトは全く使わないこともある。自家製のペストソースか、チャード、ホウレンソウ、ケールなんかをピューレにしてベースにするの」
ピザづくりの夜が終わりに近づいたとき、「生地をのばし足りない」「もっといろいろなピザをつくれるのに」と感じたりしたら、デザートのピザで友人たちをもてなそう(マーティンは、これを「スウィーザ」と呼んでいる)。ピザ生地にシナモンシュガーをふりかけ、塩味のトッピングをヌテラ(チョコレートのスプレッド)、フレッシュベリー類、リコッタチーズ、ハチミツなどに替え、甘い夏を祝うのだ。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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Photos by Sheri Giblin
Food styling by Erin Quon
Translation by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.24掲載

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