世の中に変化を起こしたいならまずは自分を変化させる|タイの農家が語る"真のオーガニックライフ"
——ボディーケア製品を作ろうと思ったのはどうしてですか?
まずは「なぜ不自然なものが良くないのか」というところからお話しましょう。
ご存知かもしれませんが、ボディーケア製品の多くには、化学薬品が含まれています。化学薬品を使うことで安価で入手しやすく、品質もコントロールできます。また大量に作るのも簡単です。それらの化学薬品は私たちの皮膚に入り込みます。本当に過酷で、多くのものが私たちの肌に染み込んでいくのです。それは、食べているのと変わりないと思いませんか?
化学薬品が原因で、皮膚過敏症やアレルギーなどの問題の多くを引き起こしているのです。また、ホルモンバランスの崩れ、過敏性腸症候群などの問題は、私たちが使っている製品に部分的に行き着くことができるとも言われています。悲しいことにこれらは子どもたちにも影響があります。例えば、お母さんが化学薬品の含まれたスキンケア製品を使っていればそのすべてが再吸収され、それが胎児や授乳を通じて子どもたちにも伝わります。
わたしたちは自然への回帰が求められているのです。自然とは、私たちと地球とのつながりを取り戻すこと。なぜなら、本質的に私たちと地球はひとつだからです。
そして、もし私たちが化学薬品を含む製品を使い続けると、人間だけでなく地球にも害を与えることになるのです。
全てのオーガニック製品がオーガニックというわけではない
——現在では世界中でオーガニックに対する興味が広まっていますが、16年前のタイはどうでしたか?
タイのマーケットでは、見た目だけはキレイな作物がたくさん安価に売られています。農薬や化学薬品を使った農作物にはもちろん虫はつきませんし、安く大量に生産できます。
だから、わたしたちの作った農作物は「見た目が悪いのに、どうしてこんなに高いんだ」と言われることがよくありました。
オーガニックなので虫がつくこともありますし、大きさや形も不揃いです。「なぜわたしたちの農作物が良いのか」ということを理解してもらうのににはとても苦労しました。オーガニックで作られた作物と農薬を使用した作物の違いを説明し、一部ですが少しずつ理解してもらえるようになってきました。
けれど、16年たった今もわたしたちのオーガニック製品は時に理解されないことがよくあります。オーガニックの中のオーガニックなので...
——オーガニックの中のオーガニックとは?
今は本当にたくさんのオーガニック製品があります。そして、その規定もあやふやなんです。オーガニックとパッケージに書いてあるからと言って、化学薬品が含まれている製品もたくさんあります。つまり、化学物質を含んでいてもオーガニック認定を受けている製品はたくさんあるんです。
そんなオーガニック製品がたくさんある中で、わたしたちの製品は100%ナチュラルです。
例えば「他の”オーガニック(と書いてある)”シャンプーは泡立ちが良くて良い香りがするし洗浄力が良いのに、Happy EarthのNo-poo Head to Toe Shampooは泡立たないし、洗っても髪の毛が良い香りがしないし、汚れが落ちていないような気がする」と比較されたりすることもあります。
わたしたちのボディケア製品は、100%ナチュラルで化学物質を含まない、生分解性のボディケア製品です。農園育った植物の実、葉、種のみを使用して、ボディケア製品がなかった時代の伝統的なレシピで作っています。
昔の人たちは、自然の恵みを分けてもらいながら、それらに感謝し、暮らしていました。けれど現代の人々のは残念なことにそれを忘れてしまったんです。「泡立ちがないとダメ」「良い香りがしないとダメ」「即効性がないとダメ」と言ったように。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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