オーガニック生活を"持続可能"にするために考えたい大切なこと#わたしのサステナブルウィッシュ
2021年の1年間を通して地球と人に優しい習慣を身につけるための【サステイナブルウィッシュ】。10月に掲げていたのは「オーガニック食品生活を実践する」です。 実践して思うことは「オーガニックは良いもの。けれど100%切り替えるのは現状は難しい」ということ。今回の #わたしのサステナブルウィッシュでは、どのようにすれば消費者のわたしたちにとってオーガニック食材生活が持続可能になっていくのかについて考えてみます。
オーガニック食品の定義
「オーガニックって何がいいの?」と聞かれて、なんと答えますか?
「無農薬で安心安全」
「体にやさしい」
「環境にもやさしい」
など、何となく良いものと思っていても、「良さそう」というイメージでしか認識していないかもしれません。そして、多くの方が「良さそう」というざっくりとした考え方で、間違った選び方をしているかもしれません。
『オーガニック』とは、有機肥料を使って栽培したり、農薬をはじめとした化学肥料を一切使わずに栽培した食材や製品。
有機とは、炭素の化合物のことで生物だけが作り出せるものです。例えば家畜の糞や生ごみなどを有機肥料といいます。
つまり、自然の恵みを活かした農法が有機栽培というわけですね。
そして、オーガニック食品というのは、栽培から加工まで、自然の力のみで作られた食品のことです。
オーガニック食品生活のメリット
食品の安全性
●食品添加物の問題
日本で市場に出回っている食品の多くは、食品衛生法の下で安全性が確認されたもの。ですが、注意したいのが添加物についてです。日本で使用が認められている添加物の中には、海外では危険として使用が禁止されているものが多くあると言われています。例えば、小さな子どもが食べるおやつなどは特に注意したいかもしれません。また普段からコンビニ弁当など、パッケージ詰めされたものを頻繁に食べる人も注意が必要。その点で言うと、オーガニック商品は、添加物などを含まないものも多いため、安心が増しますね。
●遺伝子組み換え技術の問題
遺伝子組み換え技術を一切使用していないこともオーガニック食品のメリット。
多くの研究機関で、遺伝子組み換え技術について、体に及ぼす影響、自然環境への影響など、問題点を指摘しています。
●残留農薬の問題
オーガニック食品では、化学肥料や農薬の使用を制限されています。つまり、残留農薬で健康を害する可能性を低減できます。
自然環境や天然資源の保護につながる
何年にもわたって同じ作物を育てることで、土の中の天然ミネラル、栄養素が不足していきます。不足したものを補うために、さらなる化学肥料の使用量を増加させる。このような負のサイクルが続くのです。つまり、有機栽培でない場合は持続不可能な農法と言っても良いかもしれません。
オーガニック食品のデメリット
高価
農薬や化学肥料に頼らないということは、それだけ害虫などのリスクが伴います。つまり、それらに対しての技術や、人員など、たくさんのコストがかかります。こう考えると、オーガニック食品は値段が一般的な食品と比べて高価になることは納得できますよね。
手に入りづらい
一般的なスーパーマーケットでは野菜売り場の隅の方にオーガニック野菜の売り場があるといった感じではないでしょうか。
日本では、まだまだ「敷居が高い」「値段が高い」「価値が分からない」と言ったことから、オーガニック食品を手に取る人も少ないこと、またオーガニック食材を生産している生産者さんの数も少ないことから、流通が限られています。そして、困ったことに手に取る人の数が少なければ、また更に価格も上がっていくことも。
国によって規定が異なる
日本国内で生産されているオーガニック食品には限りがあり、手に入りづらいといったことから、海外生産されたオーガニック食品を手に取る方もいるかもしれません。
そこで気をつけたいのが、各国によって規定が異なるということ。国によっては、化学原料の使用が○%は認められているという国もあるため、必ずしもわたしたちがイメージする「オーガニック!」ではない可能性も。
また、遠くで生産された食材を購入することで、運送にかかる二酸化炭素排出につながることも懸念材料ではないでしょうか。
圃場に撒かれた農薬や化学肥料は、川や海を汚染し、魚をはじめとした生物に被害が及びます。一方で、有機栽培は、土を修復させ、水の質と量を守り、植物、動物など生態系の多様性をサポートしてくれます。
オーガニック食品生活を持続可能にするには?
食品の優先順位を考える
コロンビア大学の栄養士デボラ・ゲーツバーグ氏によると、「一番オーガニック食品を食べて欲しいのは、幼い子供や妊娠している女性、免疫系が弱っている人」とのこと。
その他にも、食品の中でも”よく食べるもの”をオーガニックにするのも◎。食品から農薬を繰り返し摂取することは、農薬に時々触れるよりも、健康に悪影響を与える可能性あり。(例: にんじんを毎週のように食べるのであれば、にんじんはオーガニックにするなど。)
また、皮ごと食べる果物や野菜や、化学物質の残留量が多い食品をオーガニックにし、少ないものは普通の食品にするのもおすすめです。
残留物が残りやすいのはイチゴ、リンゴ、モモ、グレープ、ホウレンソウなど。残りにくい農産物は、アボカドやスイートコーン、パイナップル、キャベツ、カリフラワーなどがあります。
地元で摂れた旬のものを買う
旬のもの買うのは、オーガニック食品を安く手にする一つの方法。
スーパーマーケットではなく、ファーマーズ・マーケットや、地域密着型の農家、道の駅を利用してみるのはいかがでしょうか。
地元でつくられた食べ物は、新鮮で美味しいことが多いのも嬉しいポイント。作物は最も旬の時期に収穫されます。
まとめ買い
大手スーパーマーケットの中には、プライベートブランドでオーガニック食品を扱っているお店もあるので、まとめ売りされているオーガニック食品を購入して節約するのも一つ。例えば、イオンであれば、トップバリューのグリーンオーガニックなど。
またオンラインマーケットを利用して、オーガニック食材や生産者さんの顔と名前を確認しながら、安心安全な食材をまとめて選ぶのも◎。
各国の認証規定を知る
日本は食材の宝庫ではありますがオーガニックに関しては海外の方が認証制度に関して進んでいると言われています。オーガニック食材を選ぶときに、海外の食材や商品を手に取ることも多々あるかもしれません。そこで気をつけたいのが、国によって規定も異なるということ。
海外のオーガニック商品を手にとる際は、「どのような基準でオーガニックなのか」というのを知っておく方が責任を持った選択になるのではないでしょうか。
オーガニック食材だからと言って自分の体に合っているとは限らない
オーガニック食材を買うかどうかについては「自分が優先させたいこと」を明確にすることがとても重要になってくるなと思っています。
バランスの取れた食事をしながら、自分の選択が、地球全体や農業地域にどんな影響を与えるのかを意識することが、オーガニック食材を選ぶかどうかのキーポイントではないでしょうか。
そして忘れてはいけないのは、オーガニックであってもなくても食べものは悪ではないということ。食べることはわたしたちの体や心を作っていく行為であり、食べものを与えてくれる自然に対して恩返しするためにも、アーユルヴェーダ的な食べものと向き合い方である、自分にとって本当に”必要な食べもの=消化できる食べもの”を選んでいきたいと思いました。
いくらオーガニック食品を選んだからと言っても、自分の体が消化できない食べものを選んではお金や時間をかける意味はなくなってしまうのだから。「オーガニックである/オーガニックではない」ということ以前に、自分にベストな食べものを選べる人が増えることこそがサステナブルな地球を作っていくことなのかなと思います。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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