キッチンから始めるエコな暮らし|初心者のためのコンポスト101 #わたしのサステナブルウィッシュ
2021年の1年間を通して地球と人に優しい習慣を身につけるための【サステイナブルウィッシュ】。8月に掲げていたのは「コンポスト勉強+選ぶ」ということ。暮らしの中でどうしても出てくる生ゴミ。「臭いが気になる」「なるべく減らしたい」と思っている方におすすめなのがコンポスト。生ゴミや落ち葉を発酵させて堆肥に変え、再利用することが可能になります。今回は『コンポスト101(ワン・オー・ワン)』(”101”とは「初級」や「基礎」、「入門編」などを意味するフレーズ)として学んだことをシェアしたいと思います。
コンポストって?
主におうちのキッチンから出てくるゴミの中でも「厄介…」と思わずにいられないのが、生ゴミ。同じように思われる方も多いかもしれません。
皆さんはどう処理していますか?
日本のように、ごみの分別がしっかりとしていて回収日が決まっている国では、どうしても溜めざるを得ませんよね。臭いがしたり虫がわいたりして「減らせるのであれば減らしたい」という方も多いでしょう。
筆者の住むシンガポールでも、ごみは「一般ごみ」と「リサイクルごみ」に分別していますが、わたしの住むコンドミニアム(外国人が多く住む集合住宅)では、ダストシュートから捨て地下につながる集積場の大きなゴミ箱に毎日捨てることが可能なので生ゴミをためることはありません。
そんなこともあり、正直そこまで生ゴミに煩わしさを感じていませんでした。
けれど、命ある野菜からわたしたちは命をもらっているわけで、わたしたちの命をつなぐことができています。それは食べなかった野菜の皮や芯なども同じ命だと、私は考えています。
コンポストとは、堆肥のこと。堆肥を作る容器のことをコンポスターと言います。
コンポストは命の循環を可能にしてくれます。
コンポストは生ゴミを減らすよりももっと簡単に、問題の解決をしてくれるのです。
初心者がこれだけは知っておきたい、コンポスト&コンポスターのこと
コンポスターの種類
- 密閉式
しっかりと密閉するため、虫がわきにくいのが『密閉式』の最大のメリットではないでしょうか。また、かき混ぜる手間がないので手軽に作れます。発酵の過程で生まれる液体は、欠かさず抜くのがポイント。ただし、酸っぱい臭いが気になることもあるため要注意!
- 回転式
ハンドルを回してコンポストを作るタイプが『回転式』。密閉式と比べると少し手間はかかるような気もしますが、自分で育てているという感覚を味わいたい方には楽しいはず。また容器が大きいため置く場所が必要、費用がかかることが懸念ポイント。
- ダンボール式
『ダンボール式』は、わざわざ新しいものを購入する必要なし!身近なダンボールで簡単に作れるのが嬉しいポイント。コストが抑えられるので、初めて挑戦する方におすすめです。ただし、中身は毎日かき混ぜる必要があります。
- ミミズ式
『ミミズ式』は、その名前のとおりミミズが生ゴミを食べて体内で分解し、排泄することで良質な土が生まれます。ミミズが住める環境を整えて、毎日生ゴミを与えるだけでコンポストができるので、ミミズ任せ。臭いが出ないのもメリットのひとつです。ただし虫が苦手な方には難しいかもしれません。
コンポスターに入れてよいもの
食べ物や飲み物を作るときに出る植物性のゴミは、コンポストのメインの原料です。そのほか、庭の草木の落ち葉や枯れ草なども利用可能。市販の堆肥を作る際に使われている牛や豚、鶏などのフンも利用できます。
※使用するコンポストの取り扱い説明書を必ず参照してください。
- 黒土落ち葉
- 病気にかかっていない刈り取った草花
- 乾燥させた芝や雑草
- 野菜くず
- 卵の殻
- 茶葉
- コーヒーかす(少量のみ)
- 牛・豚・鳥のフンなど
コンポスターに入れてはいけないもの
肉や残飯などは分解されにくく、悪臭の原因になる恐れがあります。また、塩分や油が多い食品なども悪臭の元に。特に塩分はコンポスト作りに欠かせない微生物の働きを鈍らせたり死滅させたりする可能性あり。人間や犬猫の排せつ物は悪臭の原因になるほか、伝染病の原因となることもあるので利用するのはやめましょう。
※使用上は必ず使用するコンポスターの取り扱い説明書を参照してください。
- 肉
- 骨
- 貝殻
- 調理された食品
- 竹の子の皮
- 石炭や木炭の灰
- 犬猫や人の糞尿
- 病気におかされた植物コンポストをやる前にある素朴な疑問
虫はわく?
生ゴミがあるとどうしても小バエなどの虫がやってきますが、きちんと対策をすれば心配無用です。
準備の段階で虫の卵が混入しやすいのは腐葉土と言われています。使う前に熱湯をかけて処理しておくと虫の発生が防ぐことにつながるので、必ず実践することをおすすめします。
また、本体とフタの間に不織布などをしっかり張っておくのも◎
順調に発酵が進むと内部の温度が50℃程度まで上がりますが、この温度になると虫や虫の卵も死んでしまうので、しっかり発酵するように手入れをするようにしましょう。
臭くない?
コンポストの種類によって発酵が進んだ際の匂いは異なります。
段ボールコンポスターやミミズコンポスターは、発酵が進むと腐葉土のような匂いがします。密閉式は乳酸菌などの働きによって、やや酸っぱいようなに匂いが伴います。段ボールを選んだ場合は、酸素を好む微生物の働きで生ゴミを分解しますが水が多かったり、かき混ぜが少なかったりすると酸素が不足し、有用ではない菌が増えて悪臭を発生させます。
さまざまな原因が考えられますが、悪臭の発生は「水分量が多すぎるorかき混ぜる頻度が少ない」こと。また、投入する生ゴミの量が多すぎる場合も、有用な微生物の分解が追いつかず腐敗臭が発生してしまうことも。
ただし、順調に発酵が進んでいれば悪臭が発生することはないので、それぞれのコンポストの種類の特徴を把握してケアしておくことが肝心です。
コンポストを成功させるポイントは?
- ゴミは小さく切ろう
生ゴミは微生物によって分解されます。分解が進んでも固い繊維質などは残りやすくなります。また、生ゴミの表面積が多いほうが微生物が繁殖しやすく分解も早くなる効果み期待できます。包丁やフードプロセッサーを使って、できるだけ細かく刻んでおくことがコンポストを成功へと導いてくれます。
- 生ゴミの水切りを忘れない
生ゴミの水気が残っていると、有用な菌が繁殖しにくく悪臭発生につながる恐れアリ。野菜くずなどの生ゴミは、重さの80%程度が水分とも言われていますが、重さが20%くらいになるまで乾かしたほうがうまく発酵します。よく乾燥した落ち葉や枯れ草、土などがあれば、それらと混ぜ合わせて全体の水分を調節するのもおすすめ。
コンポストで循環型社会を目指そう
自然の力で、命を新たな命へとつなぐことができるコンポスト。敷居が高いイメージもありますが、家庭菜園などをしている方はきっと楽しめるはず!
筆者は1年中温かい気候の国にいるため「虫や悪臭問題はこれから出てくるのでは…」と懸念もしていますが、今後はわたしとコンポスト生活のあれこれもシェアしていけたらと思っています!兎にも角にも、コンポストは微生物の働きをお手伝いする感覚で、トラブルも一緒に楽しみたいです。
身近なところから、一緒に環境のためになる暮らしができる仲間ができたら嬉しいです。
AUTHOR
桑子麻衣子
1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。
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