海外ではメジャーアイテム!?医師が解説「ウェイトブランケット(重い布団)」が快眠の鍵となるワケ
この重い寝具は不安を和らげ、睡眠を改善すると巷で話題です。しかし、科学的にはどうなのでしょうか?医師の意見を聞いてみましょう。
私たちは文化的に睡眠にこだわりを持っています。睡眠は必要です。睡眠が好きなのです。どうすればもっとたくさん眠れるか、その話題は尽きません。しかし、最近、睡眠が特にとらえどころのないものになっている人もいるようです。夜更かしのせいで睡眠不足になる人もいます。例えば、ベッドで本を読んだり、好きなドラマを夢中で見たり、あるいは就寝時間を先延ばしにすることで睡眠不足になる人もいます。
しかし、睡眠不足にはもっと深い原因がある場合もあります。米国疾病対策予防センター(CDC)は、7000万人のアメリカ人が不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害に悩まされていると推定しています。睡眠不足の原因は何であれ、疲労感、物忘れ、うつ、不安などの症状を引き起こす可能性があります。
では、どうすればリラックスして必要な睡眠をとることができるのでしょうか。ウェイトブランケットがその答えだと言う人もいます。
ウェイトブランケットとは何?
ウエイトブランケットの多くは、見た目は一般的な布団のようですが、小さなプラスチックやガラスや金属のビーズが入っており、その分重くなっています。これは、深い圧を再現するために考案された技術で、特に自閉症スペクトラム障害、注意欠陥、また感情や身体の調節に関する問題を抱える人々にとって、心を落ち着く効果があるとされる治療法です。
今日、ウェイトブランケットは、睡眠の問題だけでなく、不安、うつ、PTSDの緩和のためにも販売されています。しかし、このような主張には実際のところ、真実味があるのでしょうか。
ウェイトブランケットの科学的根拠
広範な研究はまだ進行中ですが、ウェイトブランケットが不眠症、不安症、慢性疼痛、認知症など多くの症状に有効であることが研究で示されています。また、血圧や心拍数にもわずかながら効果があるようです。私は、事実とウソを区別するために、最近のエビデンスに基づく研究のレビューを行いました。
ウエイトブランケットは副交感神経を活性化させる
体に深い圧力をかけると、リラックスする力を司る副交感神経(PNS)が刺激されることが研究により示唆されています。また、ウェイトブランケットを使用すると、「戦うか逃げるか」反応を制御する交感神経系(SNS)の活性化を減少させるという証拠も得られています。一緒に、PNSの活性化の増加とSNSの刺激の減少が、心を落ち着かせる効果をもたらします。
オキシトシンレベルが上昇する
体への広範な圧力は、リラックスと睡眠に中心的な役割を果たすオキシトシンレベルを増加させることも示されています。オキシトシンは「快感」ホルモンであり、脳に鎮静作用を及ぼすと考えられています。ウェイトブランケットを効果的に使用することで、オキシトシンの分泌を促し、ストレスや不安のレベルを全体的に低下させることができるかもしれません。
指圧やマッサージに似ている
また、指圧やマッサージのように、体のさまざまな部位に圧力を加えることで、実際に触れられているような感覚を覚える可能性についても研究が行われています。筋肉や関節に軽い重さをかけると、落ち着いた感覚になり、睡眠が促されます。また、ウェイトブランケットの分散された圧力は、身体への気づきを生み、内なる落ち着きと自信の感覚をもたらします。
ウェイトブランケットを購入すべき?
もし睡眠に問題を抱えていたり、うつ病や不安症、慢性的な痛みなどの症状を抱えたりしているのなら、ウェイトブランケットは投資する価値があるかもしれません。ほとんどの人に安全で、副作用の心配もないので、睡眠の改善やリラックスするために試してみる価値はあるかもしれません。
ウェイトブランケットは何を基準に選べば良いか?
最近、市場にはいくつものウェイトブランケットが出回っています。マットレス会社、寝具店、オンラインショップ、あるいはお近くの薬局でも手に入ります。ベーシックで機能的なベッド用ブランケットのようなものもありますし、よりラグジャリーな体験ができる高価な選択肢もあります。ベッドに敷くニット製のものや、ソファでくつろぐための小さめのブランケットなど、様々なスタイルがあります。
最初に目についたものをパッと買うのはやめましょう。ブランケットには様々な重さがあります。目安としては、自分の体重の10~15パーセントの重さのものを選ぶとよいでしょう。体重が70kgの人は、7kgの毛布を探しましょう。重すぎるブランケットは、扱いにくいだけでなく、不快に感じるかもしれません。大きめのベッドで使用する場合でも、子供用サイズのブランケットを購入することを勧める会社もあります。
自分に合ったブランケットが見つかったら、あとはブランケットに任せてくつろぎましょう。
教えてくれたのは…イングリッド・ヤン医師
イングリッド・ヤン(MD, JD, E-RYT-500, C-IAYT)は、1999年からヨガを指導し、物理医学とリハビリテーションを専門とする医師でもある。
ヨガジャーナルアメリカ版/「Are Weighted Blankets the Key to Better Sleep?」
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ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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