【快眠対談】眠ろうとする意識を手放したときに、眠りは自然と訪れる。そのやり方は?

 【快眠対談】眠ろうとする意識を手放したときに、眠りは自然と訪れる。そのやり方は?
Sayaka Ono

今までぐっすり眠れていたのに、最近になって睡眠に悩みを抱える人が増えています。ここでは眠りたいのに眠れないつらい状況を抜け出し、深い眠りにいざなうヨガの実践法をご紹介します。

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ざわつく心を落ち着ける寝る前ヨガ&瞑想

眠れずに悩んだ経験があるという綿本彰先生と、コロナ禍で不眠について考える機会が増えたという野沢和香さん。おふたりに実体験をもとにした不安の静め方、眠らなければというプレッシャーを手放す方法を語っていただきました。 

コロナによる生活習慣の変化が不眠の一因に

和香さん(以下、和)最近インスタライブをしたら「眠れない」「夜中に起きてしまう」というコメントがたくさん届き、睡眠に悩む人が増えているのを実感しました。以前は「夢をどうやって叶えればいいか」といった前向きな質問が多かったのに……。不眠解消のヒントになればと思い、先生との対談を楽しみにしていました!

綿本先生(以下、綿)私のユーチューブも睡眠動画の再生回数が増えていて、不眠解消のニーズを肌で感じていたところです。

和 急に睡眠の悩みが増えたのは、リモートワークになって外に出なくなり一日の運動量が減ったことが関係していると思います。人に直接会わなくなり、刺激というか心のムーブメントが減ったことも影響しているのでは。

綿 確かに、人に会うときの緊張感や運動によって心身は覚醒します。シャキッとするから休息したくなる。このメリハリが必要。ストレスに関して言うならば、自分の持っている世界が少ない人ほどストレスの発散が難しく不眠の傾向が強いと感じます。職場や家庭で嫌なことがあっても発散できる別の世界、別の居場所があるほうが精神的な健康を保ちやすいのではないでしょうか。

和 そうですね。というのも、私はモデルの仕事で壁にぶつかった時にヨガの指導者資格を取ったんですね。モデル業一本のときは「この仕事を失ったらどうしよう」という危機感がストレスでしたが、生きる世界がふたつになり、片方がダメならもう片方を頑張ろうと思えた瞬間、心が楽になれました。どちらの仕事に対しても真剣だけど深刻さが減った感じです。

綿 なるほど。あとは社会情勢が安定せず、先の見えない不安が不眠を引き起こしているとも考えられます。和香さんは不安とどのように付き合っていますか?

和 私は呼吸法を取り入れることで不安になっている自分を客観視できるようになり、そうした感情に巻き込まれなくなりました。呼吸に集中し一旦不安から離れると、再度向き合ったときに距離が生まれて「この状況はずっと続かない」「考えるのは明日にしよう」と冷静になれます。ほかには浮かんでくるモヤモヤを1つずつ紙に書き出すジャーナリングという手法もおすすめ。人は正体のわからない対象に恐怖を感じますが、文字にすると不安の原因がクリアになって、実はそんなに心配する必要はないと気づけることが多いです。

ざわつく心を落ち着ける寝る前ヨガ&瞑想①
「呼吸に集中すると不安との間に距離ができ、巻き込まれなくなります」
photo by  Sayaka Ono

眠れなくてもヨガがある そう思うと心が楽に

和 これまで不眠とは無縁だった私も、コロナで生活が変わり寝つきが悪くなりました。これではいけないと思い生活サイクルを見直し、睡眠に良いことを忠実に実践しました。たとえば朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びたり、寝る90分前にお風呂に入って深部体温を上げたり。次で紹介するイメージ瞑想や呼吸法も実践したところ改善できました。先生は不眠に悩んだことはありますか?

綿 20代半ばに睡眠の研究を始めたんですね。どうしたら人は眠くなるか眠りの瞬間に興味を持ったところ、寝そうになると「キタッ!」と覚醒し睡眠に過剰な興味を持ったことで眠れなくなった(笑)。翌日にクラスを控え、ベストコンディションで臨もうとすると余計に眠れませんでした。

和 どのようにして克服を?

綿 経験から言えるのは、眠ろうと思っていると絶対に眠れません。その意識を手放すと「眠りは自然と起きる」と確信しました。ですが私たちは欲しい情報があればスマホですぐにキャッチするし常に自分から「DO」する傾向にあります。追いかけて掴んで満足を得ることが常態化し、現象が自然に起こるのを待つのが苦手。睡眠は「DO SLEEP」しようとせず、眠くなるのを見守ることが大事です。

和 なるほど。でも眠れずに悩んでいる人が、眠ることを意識しないのは難しそうですね。

綿 そう。だから睡眠の目的を「眠る」から「脳と体を休ませる」に切り替え、眠れなければ一晩中ポーズや瞑想を行い、次の日を乗り越えられる程度の休息をヨガで賄えればいいと思うようにしたのです。ヨガという睡眠の代替法を見つけたことで安心し、眠らなければいけないという気持ちから解放された結果、眠れるようになりました。

和 瞑想だけでなくポーズも実践されたんですね。体からアプローチする発想は興味深い!

綿 眠れなかった私がたどり着いたのが、眠りとは逆で体を動かし、睡眠への執着を手放すことでした。具体的には、リセット・リフレッシュ・リラックスを目指すポーズを、順番にボディスキャンしながら行うメソッドです。

和 気になることを考えないようにすると余計に意識しがちですが、動きながら体の感覚に意識を向けると心が静まりますよね。私も先生のメソッドを試してみます!

ざわつく心を落ち着ける寝る前ヨガ&瞑想①
「眠ろうとする意識を手放したときに、眠りは自然と訪れる」
photo by  Sayaka Ono

綿本 彰先生
日本ヨーガ瞑想協会会長、世界各地でハタヨガラージャヨガパワーヨガなどさまざまなヨガを学ぶ。現在はヨガや瞑想を指導。マインドフルネス瞑想や快眠ヨガを配信するYouTube「綿本彰オフィシャルチャンネル」も人気。

野沢和香さん
モデル&ヨガインストラクター。雑誌『STORY』(光文社)やCMなどで活躍中。2007年にRYT200、18年6月にRYT500を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍。ウェルネスブランド「ヘレイアム」 ディレクターも務める。

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photos by Sayaka Ono
styling by Yuko Hachiya(野沢和香さん)
hair&make-up by KIKKU
text by Ai Kitabayashi
yoga Journal日本版Vol.77掲載

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ヨガジャーナル日本版編集部

ヨガジャーナル 日本版編集部



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