人生最大のピンチをチャンスに変えたフラダンサー|カプアナニ由美子グリーン

Photo by Kapuanani Yumiko Greene

人生最大のピンチをチャンスに変えたフラダンサー|カプアナニ由美子グリーン

寺岡早織
寺岡早織
2020-10-04

ハワイには苦境の中でも前向きに努力して道を切り拓いている日本人女性がたくさんいます。側湾症というダンサーにとっては負担の大きい背骨の病気を抱え、シングルマザーでありながらフラのソロダンサーとしてハワイで成功してきたカプアナニ由美子グリーンさん。フラダンサーとして順調にキャリアを築いてきた由美子さんが、今年コロナで新たな苦境に立たされることとなりました。その中でも自分のできることを探し続け、ハワイへの愛とクムへの感謝から生まれた新しい挑戦とは?

ハワイで日本人プロ・ソロフラダンサーとして活躍するカプアナニ由美子グリーンさん。フラネーム「Kapuanani」=「美しい花」という意味の通り、輝く美しい笑顔が印象的な女性です。2019年に50歳の誕生日を迎えハワイ在住25年という節目で、今年はフラのキャリアにも人生にとっても大きな意味のある一年となるはずでした。2020年も例年通りワイキキでフラショーに忙しく出演する忙しい日々でスタートしましたが、今年3月にコロナウイルスが原因で全てのフラショーがキャンセルされ、ダンサーとしての仕事がなくなるという思いもよらない苦境に立たされることになります。

フラを学ぶためにハワイに

25年前のまだ日本在住中、毎日の生活に何か物足りなさを感じていた時、通勤途中の満員電車の中で突然「このまま日本にいてはダメ!」というひらめきが降りてきました。日本から脱出したいと理由を模索し、当時お母さんが習っていたフラダンスを理由に「ハワイにフラ留学をしたい」とご両親を無理に説得し、ハワイに来ることになりました。

その当時は「フラ」という言葉が日本ではまだ浸透しておらず「フラを学びにハワイに行く」と周りに伝えると「フラってなあに?」と尋ねられるほどの認知度の低さ。ところがそれから数年後、日本でフラブームが大爆発しフラ人口もハワイにフラ留学する人も一気に増えました。

フラダンサーとして順調なキャリアを築いて行く由美子さん。ハワイとカリフォルニアで数々のフラ大会に出場。2001年にはオアフ島で開催されたフラの大会に出場し、ハワイ語、現代フラ、古典フラの全部門での総合優勝を勝ち取り、ミス・ワールドフラに選ばれます。フラのオリンピックとも言われる「メリーモナーク」にも3年連続で出場し、その後も数々の有名ミュージシャンと共演し、多くのイベントに出場。フラを踊っている美しい写真が雑誌や広告にも取り上げられました。

日本でのフラブームが到来してからは日本のフラ雑誌でのライターとしての活動も始め、ハワイと日本のフラとの橋渡しをしてきました。まさにフラとともに生きてきた25年でした。

決して簡単ではなかったハワイでの生活

ダンサーとして売れっ子の生活。フラ雑誌のライターを兼業し、ハーフの息子さんがいて、素敵なご主人とのハワイ生活。今となっては人から羨ましがられるものをたくさん持っている由美子さんですが、25年を振り返って見ると決して順風満帆とは言えない人生でした。

ハワイに来て間もなく本土出身の男性と結婚。カリフォルニアに引越し、長男が誕生した後に訳あって離婚することになりました。数年暮らしたカリフォルニアから幼い息子さんとたった二人でハワイに戻ってきた時には、まさにゼロからの再出発となりました。シングルマザーとしてソロフラダンサーの仕事をしながら、収入の助けにしようとハワイ州認定のマッサージ師の資格も取得。再出発のきっかけにとフラとロミロミでハワイと日本を繋ぐ会社Puanani Connection LLCを設立。

その当時は息子さんが学校に行く前の早朝、自宅近くにあったホットヨガスタジオに通っていたのが忙しい中での唯一の息抜きでした。子育てと仕事との両立でがむしゃらに走ってきたあっという間の25年間でした。

Photo by Kapuanani Yumko Greene
息子さんと共に。ラブバードのマオちゃんも一緒です。

ハワイへの感謝によって生まれたYouTube

コロナの影響で、観光業が主な産業であるハワイ全体が大打撃を受けることになりました。観光客を相手にワイキキのホテルのフラショーで踊っていた由美子さんも、ホテルが休業に追い込まれ観光客が激減したため、ショーの出演が実質ゼロ。25年間ハワイで生活してきてこんな苦境は初めての経験でした。

その頃、由美子さんが長くフラを習っているクム(師匠)も苦境に立たされていることを知ります。昨今の日本のフラブームで、ハワイから多くのクムたちが定期的に日本に行きフラ指導をしていましたが、コロナのために日本で仕事をする機会が途絶えてしまいました。

25年ハワイでフラダンサーとしてのキャリアを築いてきた自分が今できることは何だろうと自問し始め、たどり着いたのがYouTubeを通してハワイへの愛やクムへの感謝の気持ちを発信することでした。

 

YouTubeを始めるにあたり、大きなハードルとなったのがスピーチ。元々人前で話すことが大の苦手で、だからこそフラは言葉を介さなくてもフラの踊りで自己表現をできるところが由美子さんの個性にぴったりと合っていました。スピーチは未だに得意とは言えないそうですが、自分がてハワイから発信する使命を感じて、分かりやすいスピーチができるようにと日々努力を続けています。

今年5月から始めたYouTubeチャンネル「KAPUANANI HAWAI’I HULA TV」は、由美子さんの51歳の誕生日の前日に目標としていた登録者数が1,000人、動画の総再生時間数が4,000時間を達成し、人気のチャンネルへと急成長を遂げています。チャンネルは由美子さんの美しいフラダンス、クムへのインタビューなどフラファンにとっては興味のある内容はもちろん、ロックダウン中のハワイの様子などハワイ好きの方にも楽しめる内容が盛り沢山です。

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