ハワイへの愛が生んだありのままに生きる知恵|ヨガとフラの融合Aloha Flow創始者の思い
Aloha Flowというスタイルのヨガを聞いたことがありますか?日本人としてハワイで「クムフラ」となったMiilaniさんが考案したフラとヨガの融合プログラムです。Miilaniさんによると「ヨガ」と「フラ」には驚くほど共通点が存在するそうです。Aloha Flowが生まれた興味深い経緯を伺いました。
フラとは生き方そのもの
2006年に正式にクムフラとなったMiilani(ミイラニ)さん。「クムフラ」とは一般的にフラの「指導者」「先生」のことを指しますが、その役割は単にフラの振り付けを教えるだけにはとどまりません。フラの踊りを含むフラやハワイの伝統、文化そしてスピリチュアルな側面をも弟子に伝承していく「フラ」に関わる全ての要素を体現していく存在とも言えます。
そのクムフラのMiilaniさんが考案した「Aloha Flow」というプログラムは、フラとヨガを融合させたプログラム。単にヨガのポーズをしたり、フラを踊ったりするだけでなく、スピリチュアルな側面も合わせ持っています。
このAloha Flowが生まれた背景には、Miilaniさんがずっと感じていたフラに対する間口の狭さがありました。フラを通して伝えたいことがたくさんありながらも、「フラ」というカテゴリーの中ではどうしても「ダンスの要素」に興味がある人にしか興味を持ってもらえない。なぜなら、フラは興味のない人から見ると「単なるハワイの伝統舞踊で、振り付けを通してのストーリーテリングダンス」としか映らないからです。
しかし、生涯かけてフラを学んできたMiilaniさんにとっては「フラ」=「ライフスタイル、生きる指標」。フラはハワイの人たちが長い伝統の中で後世に伝えてきたことであり、人や自然界との調和を保ちながら幸せに生きていく教えの一つ。いわゆる「スピリチャル」な目に見えないことを話せる人が増えてきた今の時代に「フラの教えは絶対にいろんな人が求めているに違いない」と思いながら、それをどうやってフラに興味がない人にも間口を広げて伝えていくかを模索していました。
クムフラとしての苦悩から生まれたAloha Flow
長くフラを学び続け、クムフラに正式に任命されてからも、自分には果たしてその資格があるのだろうかと重圧を感じてきたそうです。ハワイそのものがスピリチャルな場所で、そこで生まれた伝統や文化を継承していくには勉強不足を痛感し、スピリチャルな学びを求めてヨガのティーチャートレーニングを受けました。
トレーニング修了後、ヨガインストラクターとしてヨガを教え始めました。ところがだんだんとヨガインストラクターとしての自分に、違和感を覚えるようになりました。自分はヨガを深く学んだこともない、インドにも行ったこともない、単にティーチャートレーニングを終えただけであたかもヨガを知ってるかのように教えている、そんな着慣れないシャツを着たような居心地の悪さが常につきまとっていました。
でも、それと同時に、心のどこかでなんとなく「これ知ってる」と思っていた部分もありました。ヨガで教えてきた精神性は、単に伝え方が違うだけでフラでずっと学んできたことと何ら変わりがないということにも気付き始めました。
フラもヨガと同じで目に見えてないことを表現する学びであるなら、自分が知っていることで自分の学んできた経験から伝えられることがあるに違いないと思い始めた頃に、ふと「Flow」という言葉が思いつきました。その当時、ヨガのスタイルでもVinyasa Flowなど「Flow」という言葉が世の中に浸透し始めた頃でした。「Flow」という言葉は、まさに自然界、そして私たちの身体や心にも万物に共通して存在しているものであることに気付きます。
その「Flow」と言う言葉にハワイらしい意味を付け加えたいと思った時に浮かんだのが「Aloha」でした。おそらくハワイの言葉として最も知られているこの「Aloha」には、おなじみの「こんにちは」「ありがとう」などの他のも実はたくさんの意味があります。この多くの意味を要約すると「ありのままのエネルギー」「その人の本質」「ありのままの姿」「魂」など、Alohaはハワイの人にとって全ての生きとし生けるものが大事にしてきた要素が、このAlohaという一つの言葉に詰まっているのです。
全ての物の中にAlohaが循環するのがよしとする状態を作っておくことが、Miilaniさんがフラを通して伝えたかったこと。AlohaのエネルギーをFlowさせ、ありのままの自分をジャッジせずそのまま受け入れ、そしてそれさえも流れていく。それを実現するのが「Aloha Flow」です。
ハワイへ導かれた道のり
幼少の頃から踊りをやっていて、中学生の頃からフィギュアスケートを始め、その後ローラースケートのフィギュアに転向。高校時代にはアメリカのコーチについてフィギュアに没頭する生活へ。
大学卒業後にハワイにいる叔母を尋ねてハワイに留学。フラをやってみたいと思いながらも機会のないまま帰国。日本に戻ってからフラを学べるところを探して行ってみたら、当時はフラは社交ダンスを卒業したシニアに人気の趣味と言う位置付けでした。
フラを習うにはやはりハワイへ行くしかないと2年間OLをしながら資金を貯め、英語力もつけて、自分でハワイへフラを求めて留学を決意。1992年にハワイ大学ヒロ校へ入学。その期間にハワイ島でのフラの大きな大会「メリーモナーク」に出場する機会も得ました。その後全てのプログラムをハワイ語で教える学校で日本語を教えた後、ハワイ大学マノア校大学院で2年間言語学を専攻。ビザが切れる直前のタイミングで現在のご主人と出会い、結婚しハワイに永住することになりました。
クムフラへと導かれる経緯
フラを真剣に学ぶ人は通常一つの「ハラウ」にとどまり一人の指導者から長きにわたって学んで行くのがよしとされていますが、Miilaniさんは引越しなど様々な理由から一つのハラウにとどまることができませんでした。
様々なハラウを渡り歩いていた時に、ご主人の友人のクムフラからにハラウに入れて欲しいとお願いしてみたものの一度は拒否され、しばらくはどこのハラウにも属さない期間がありました。
半年ほどたった頃に突然「今日練習があるから来なさい」と連絡があったのをきっかけにそのハラウに入り、アラカイ(クムフラの弟子)まで上り詰めました。ハラウに身を粉にして貢献しようとしましたが、実際は上手いように使われているのではという猜疑心が生まれ、結局そのハラウからも離れることになりました。
その後、ご主人に紹介されたクムフラに今までの全て話を打ち明けたところ「うちのハラウの練習に来なさい」と言われました。当日行ってみたらフラの世界でも著名な人たちばかりのクラスに振り分けられ、それはなんとクムフラになるためのクラスでした。当時、Miilaniさんはクムフラになる気は全くなく、かなり動揺したそうです。それにその訓練を受けたからとは言え、必ずクムフラになるかの保証はどこにもなし。でもそこにいなければ、自分が入れるハラウは他にありません。その時から、自分の意志でコントロールできない、委ねるしかない学びが続きました。
その仲間たちと3、4年学びを続け、2006年にクムフラのタイトルを頂くことになりました。しかし、クムフラとして独り立ちし、自分が教えてもらった伝統を後世に伝えていくことができるだろうかというプレッシャーが大きかったのは前述した通りです。
Hula choose you.
よく自分が学んだクムフラから言われたのが「Hula choose you.」自分がフラを選んだように思っているかも知れないが、実際はフラの方があなたを選んでいる。この学びは導かれたもので、永遠に終わることはない。魂が肉体から離れてもその学びは継続して行きます。つまりこれは人の生き様そのものと言えます。
「クム」とは文字通りの意味は「大木の幹」。根を張って地面から栄養を吸い取り、クムという体を通し、枝葉を伸ばし身を結ぶ。花が咲いて身を結び、地面に落ちてまた芽が生える(生徒がフラになる)
フラは単にフラの振り付けを教える人ではなく、全ての生きるための知識を持っていて、フラを構築できる、そしてフラができる人を後世に遺すこと。フラの伝統をフィジカルとスピリチュアル両方の面から伝えていくことができる存在です。それはまさにフラに選ばれたと言えるでしょう。
Aloha Flowを体験してみましょう
日本にはMiilaniさんが主宰する「ハラウ」があります。コロナ前は定期的に日本に戻り生徒さんにフラを伝承していましたが、現在はオンラインで学びを伝えています。
Aloha Flowもオンラインで教えているので、世界中のどこにいてもMiilaniさんから直接教えてもらうことが可能になりました。
クラスで行うフラのステップは基本的なもの。脚を動かすことにより、呼吸を高めて体温を上げていくと、体の中にエネルギーが循環し始めて、Flowが始まります。
クラスはヒーリング的な意味合いも込めて、ありのままの自分を見つけて受け入れるスピリチャルな要素を重要視し、フィジカルな動きはどんな方でもできる動きを取り入れています。
根底の部分では大地に根付く、地球や宇宙と繋がる。全てのものにマナ(ハワイ語でエネルギー)が宿ること。自分自身もマナであること。
エクササイズ、ヒーリング、メディテーションの要素がバランスよく構成されています。
<クラススケジュール(日本時間)>
ズームフラベーシック(初級者向け):土曜 8:00am~(45分)
フラアウアナ(モダンフラ):土曜 9:00am~(45分)& 日曜 9:00am~(45分)です。
instagram : @miilani_hawaii Facebook : Aloha Flow
ライター/寺岡早織
2003年からヨガを始め、その後ピラティスを始める。2010年BASIピラティスインストラクター資格(マット、マシン)を取得し、ピラティス指導を開始。結婚を機に2013年ハワイに移住し、その後もピラティス指導を続ける。2015年よりハワイでの日本人向けRYT200の解剖学講師を務める。2018年よりヨガ・ピラティスインストラクターに特化したプロフィール写真のカメラマンとしても活動を開始。趣味は絵を描くこと。 Instagram (ピラティスアカウント):@saori_pilates、Instagram(ハワイ写真アカウント):@saori_hi_photography
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