深い孤独の果てに…共に"独り"を生きるためのインスピレーション
ボブがたった独りで過ごした島は他の人間から限りなく遠く離れた場所にありました。彼の小屋からは砂、海、岩、木々、雲、山々、氷河以外は何も見えませんでした。ボートが近くを通り過ぎることは決してありませんでした。漁師も狩猟者もバックパッカーも彼を邪魔することはありませんでした。彼の様子を一度見に来た政府当局者が来た以外、まるで月に暮らすように誰も訪れることはありませんでした。
孤独な日記
ボブは徹底的に孤独な実体験を日記に綴りました。彼はすぐに「毎日書き綴ることは孤独を壊すように感じる」と認めました。
孤独の声というのは、ある意味では沈黙を守らなければなりません。 孤独な人がいざ話し始めると、たとえ想像上の読者に対して書いたのだとしても、彼(または彼女)はもはや本当の意味で独りではありません。
書くことが問題ではありません。「問題は、何を書こうか予め考えることです。今この孤独な時間に存在せず、自分の書いたものを誰かが読んでいる未来を想像することなのです」。しかしながら、彼は書かないことを想像するとき、「孤独と寂しさに襲われました」。その日記では、彼の小屋の工事とメンテナンス、風力発電機とソーラーパネル、そして薪ストーブ、ボート用の船外発電機に関する目の前の問題、淡水と薪とブヨの問題、肩の痛み、コンドル、ワシ、アヒル、イルカ、アザラシ、カサガイの生態観察、読んだ本の感想と釣りの成功談が綴られています。
たった独りの時間が進むに連れて、海、風景、天候はより細かく予想できるようになり、気持ちに変化が生まれ、子猫は「キャット(猫)」として人格化されていきました。そして、ボブにとって、瞑想、哲学的な内省、詩の執筆、写真撮影がルーティンとなっていきました。6週間後、彼はこのように綴れるようになりました:「昨日初めて山の上空にジェット飛行機雲を見ましたが、それを見ても動揺しませんでした。あまり孤独感はありませんでした。ただ、ここに存在しているのです。ここが今、私の暮らす場所なのです」。
ボブは眠ることのない辺境の地に暮らしています。彼はそこで、エマーソン、ソロー、ウィリアム・ジェームス、そしてウォルト・ホイットマンたちの時代の開放的なアメリカの精神を感じていました。
彼は、易経、荘子、ジャラール・ウッディーン・ルーミー、トマス・マートン、ジッドゥ・クリシュナムルティ、アラン・ワッツ、ケン・ウィルバー、ジェフ・ゴールドスタイン、マリー・オリバー、ミハイ・チクセントミハイなどの宗教家や思想家からもインスピレーションを得ています。彼は熱心になんとかエゴを阻止し、精神的に満たされようとしました。彼はこう綴っています。「完全な人間になるためには、他人との関係だけではなく、人間ではない世界、そして深い自分自身–そして何かもっとすごい存在と繋がる必要があります。私にとって、その非物質的な存在というのは神秘的で神聖です。それは経験することは可能ですが、定義することはできません」。彼の文章には、かつて神と呼ばれいていた存在である自然と日々のつながりを取り戻したいという想いが描かれています。
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