ヨガとスープの共通点って?ヨガ友と行うキッチンプラクティスのススメ

 ヨガとスープの共通項って?ヨガ友と行うキッチンプラクティスのススメ
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小さなキッチンが教えてくれた本当の「自由」

以前の家では、ディナー・パーティを開くのが楽しみだった。けれども、そこにパフォーマンス的要素があったことも否めない。ところが、今となっては、そのときにある材料で素朴なスープを作り、友達を招待するのも突然だった。「いらっしゃいよ、服装なんて誰も気にしないわ。いいえ、手ぶらでいいのよ、そうね、ビーツ・サラダの残りがあるのなら それを持って、とにかく来てちょうだい」 ――その小さなキッチンは、一時期だけしか使わない仮のところだったから、どういうわけか、そこでのディナーも正式なものには「入らない」のだった。私は、ディナー・パーティはこうあるべきだ、という考えをすべて手放した。すると突然、小さなキッチンの持つ「限界」が、 まるで自由のように感じられるようにな った。

その小さなキッチンでつくるスープの量は、どんどん増えていった。私はもっと多くの友達を招いた。誰かと分けて食べなくてはいけなかったからだ。スープをかき混ぜながら、私は家で料理をすることについて、そしてそれがいかにシェアすることと強く結びついているのかについて、考えた。食べ物を分け合うことで、私たちはたたえ合い、慰め、励まし合うのだ。

ヨガとスープの共通項って?ヨガ友と行うキッチンプラクティスのススメ
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「シェアする食べ物」の世界は、スープから始まる。どんな人にとっても、家で料理をやってみるとっかかりになるのだ。たとえキッチンが小さくても、鍋がたったひとつしかなくても。そんな夜を過ごしていたある晩、私は、次に出す料理の本では、スープについて書こうと決めた。コンロの上でぐつぐつ煮えている、このシンプルで栄養があって、ひとつの鍋でできる食事が、望んでいた生活を引き寄せてくれたのだ。

本が形になっていくにつれて、小さなキッチンでの「スープ・ナイト」は、一 晩で2~3種類、ときには4種類ものスープを味見する試食会になった。寒い時季には、ゴールデン・バターナットスクウォッシュ・スープ、モロッコのスパイスをきかせた根菜のシチュー、素朴なスプリットピー・スープをつくった。春になり、空気が暖かくなってくると、アスパラガスやグリーンピース、ミントを使ってスープをつくった。夏にはトマト・スープ、スイートコーン・スープ、コショウのきいたバジル入りズッキーニのスープ。大きな鍋に入ったスープを地域のホームレスのための施設に持っていくこともよくあった。小さなキッチンは活気づいた。

そうこうしているうちにも、隣の家の工事は続いていた。6カ月の予定だったのが1年になり、そして2年、3年になった。すると、一時だけ使うつもりだった仮のキッチンが新たな日常となり、自分がずっと少ないものでやっていけることがわかった。そして、ついに新しい家に引っ越すときが来たら、小さな仮のキッチンが恋しくて胸がはりさけそうだった。けれども、新しい大きなキッチンには白い壁と大きな窓がついており、アイランド型で、開放的で落ち着いたリビングのなかにあった。この新しいキッチンは、何か家具以上のものを待っているようだった。

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Text by ANNA THOMAS
Translated by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.23掲載



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