医師がOM(オーム)を唱える日は近い | 米国における医療とヨガセラピーの未来
現代における古代の治療
インドでは長年、ヨガマスターたちがデイビッドのような人たちとヨガを行って慢性病の治療を助けており、特別なポーズを勧めることも多い。だが西側諸国でヨガが医療に取り入れられたのはつい最近のことだ。ただ、ヨガに注目している医療従事者は増えている。ヨガセラピーは、臨床的に実行可能な治療法であると見られていて、テキサス大学MDアンダーソン癌センターやスローン・ケターリング癌センター、クリーブランドクリニックなど、大規模な病院ではプログラムが確立している。2003年の国際ヨガセラピスト協会(IAYT)のデータベースには、ヨガセラピーの講習プログラムがわずか5件しかなかった。今では世界全体で130件以上のプログラムがあり、そのうち20件は新たにIAYTの正式認定を受けた数年に及ぶ厳格なプログラムだ。現在、認定の審査を受けているプログラムも20件以上ある。2015年の調査によると、IAYTの会員の多くが病院で働いており、外来クリニック、理学療法、腫瘍病棟、リハビリ病棟、開業医などで働いている人もいる。
医療現場への受け入れが増えているのは、腰痛、不安、うつ病、不眠などさまざまな症状に対するヨガの効果を示す臨床研究が数多くあり、心臓血管疾患や高血圧の危険因子を減少できるからでもある。ヨガは癌の治療の副作用を和らげる効果があることも報告されている。
「ヨガセラピーの臨床試験は、特にこの5年間に、規模も件数も質の意味でも飛躍的に伸びました」。長年ヨガを研究してきたサット・ビール・シング・カルサ博士(ハーバード大学医学部の助教であり、同医学部の指導書『Your Brain on Yoga』の共著者)はこう述べた。実際、論文審査のある科学誌にヨガセラピーに関する研究報告が500件以上発表されていて、現代医学の標準となっている無作為化二重盲比較対照検試験の結果も報告されている。この分野では、カルサ博士、ロレンツォ・コーエン博士、シャーリー・テレス博士とヨガジャーナルの医学編集者のティモシー・マックカール医学博士によって編集された初めての専門的な教本『Principles and Practice of Yoga in Health Care』(Handspring Press,2016)が出版されている。「この本が出版されたことは、ヨガとヨガセラピーがどれほど遠くまで到達したのかを示しています」。
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