ヨガが世界を変える|ヨガによって救われたリアルストーリー

ヨガが世界を変える|ヨガによって救われたリアルストーリー
YJUS

大統領選挙後の抗議運動や不安が渦巻くなか、ヨガティーチャーのダニエル・セルニコラが人も世界も確かに変わることができるという元気の出る話をふたつ紹介する。自身のゲイカミングアウトの話、そしてヨギが世界を変える4つの方法を語る。

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ヨガを実践している私たちは、もっと平和でまとまった世の中を切望しているはずだ。家族愛に包まれ、安全な地域、生き生きとした共同体のなかで暮らしたいと願っているだろう。すぐに根本的な結果を求めて集結し続けても、進展の遅さに失望しがちだ。変化には時間がかかることを覚えておかなければならない。

「人間の自由のなかで最後の自由は、自分の態度を選択することだ」精神科医のヴィクトール・フランクルは『Man’s Search for Meaning (生きる意味を探して)』にこう記している。私たちはこの言葉をけっして手放してはならないし、変化は起こりうるし、希望があると信じることを諦めてはならない。私は心も精神もけっして変わらないだろうと思っていた人が変化するのを目の当たりにしてきた。皆さんがこの話に奮い立って、この道を進む気持ちを確かにして、ヨガの実践に全力を注ぐ意欲を新たにすることを願っている。

ゲイであることをカミングアウト

私は1996年、17歳の時にオハイオ州の小さな町でゲイであることをカミングアウトした時に私をいじめたサッカー選手のことを覚えている。その少年に見つかると、名前を呼ばれて壁に押し付けられたあと、ひとり取り残されて床に散らばった本やノートを拾わなければならなくなることがわかっていたので、高校の廊下でこの少年を見かけると心が沈んだ。数年前、この男性がSNSを通じて私に連絡を取ってきた。彼にいじめられた記憶が蘇ってきた。彼の言葉など聞きたくなかったが、私のなかの何かが私に聞くべきだと命じた。かつて私をいじめた男性は、こんな素敵な話をしてくれた。この男性はひとりの女性に出会って心を開くことができたのだという。その女性は、ホームレスの生活を余儀なくされていた時にゲイのカップルの家に招き入れられ、10代の間ずっと親代わりを務めてもらったのだそうだ。男性はさらにこうも言った。もしこのカップルの寛容さがなければ、自分たちは結婚していないだろうと。そして高校時代に私にしたことについて謝罪し、今でも後悔の念に取り憑かれると打ち明けた。この男性の心は変わっていたのだ。

先月、私はLGBT歴史月間を祝って、Yogajournal.comに自分のカミングアウトについての記事を書いた。これまで書いた記事のなかで最も書くのに苦労したもののひとつだった。これを書くに当たって、過去のトラウマと向き合い、これまで歩んできた道のプラスの面と残忍な面の両方を詳細に書くことを求められた。私の物語を読んだ人が、本当の自分になろうと思い、ひとりぼっちでないことを知ってくれればと願って書いた。

トランスジェンダーの子供を持つ親の苦悩

先週、SNSで共通の友人を通じて、トランスジェンダーの7歳児と高校生の女の子をもつ夫婦が私の記事を読んだことを知った。この高校生は、弟が高校生になった時に思いやりのある寛容な共同体の一員になれるように、自分の通う高校でゲイ・ストレイト・アライアンス(同性愛者/非同性愛者同盟)を開始するべく活動していた。高校の理事は当初、この考えに反対していたそうだが、Yogajournal.comの記事を読んでこのプロジェクトに協力することに合意したということだ。理事たちの心が変わったのだ。

私はこの話を聞いて、圧倒的な自尊心を感じずにはいられなかった。友人はこうも言っていた。「素晴らしい仕事を続けてくれ。君もこの高校生も(あえて言われてもらうと)神の仕事をしていて、文字通り世の中を良くしているのだから」

ヨギが確かに世界を変える4つの方法

世界をよい方向に変える。それは、ヨガを行っている人たちが、指導者もそうでない人も含めて誰もが切望していることであり、気付いていてもいなくても今成し遂げつつあることだ。無秩序な混乱の時代には、世界の意味を理解しようとしても、答えよりも疑問の方が残るものだ。ジム・レンドンは『アップサイド』のなかで、衝撃的な出来事による苦しみが人生を劇的に変える力となり得ることを示した。人はそのような苦しみによって、さらに深いレベルで人生の意味を探り、自分自身や他人を助けようと思うようになる。もしどこから始めたらいいかわからなかったら、今から紹介する4つのシンプルな方法を試してみよう。私たちがヨギとして世界を変えるために毎日できる方法を紹介する。

1.「ナマステ」の精神であらゆる人に接しよう

ゲイナイトクラブ「パルス」での乱射事件の翌日、パートナーと私はカレイドスコープ・ユースセンターでヨガを教え、若者たちが何を考え何を感じているか共有するために自由に話す機会を与えた。恐怖心や不安を表した人がいた一方で、変化への希望を口にした人も数人いた。その人たちは、ヨガでは全員で「ナマステ。私のなかの光、愛、エネルギーが、あなたのなかの光、愛、エネルギーに対して敬意を表し、尊敬の念をもち、頭を垂れる」と言ってレッスンを終えていることを思い出させてくれた。どうやったらこれをマットの上から世界へ持ち込めるだろうか。若者たちはこの言葉を簡単に言い表した。「ただ親切にすればいいんだ。そして自分がして欲しいようにあらゆる人に接することさ」自分以外の人のなかに美しさを見つけ、その人の崇高なエネルギーを探し出し、その人のなかに生きている生命を見つけ出して、そこにつながればいいのだ。

2. 平和を生む人になろう

私たちはひとつになることもできるし、分裂することもできる。それは選択の問題であり、心と知性を合わせて平和をもたらすのは人類の義務だ。銃を持ったひとりの男が邪悪な心で何千人もの人生を変えることがあるが、ひとりのヨギが思いやりで何千人もの人生を変えることも可能だ。これは不安に揺れる時代には忘れられがちな力強い事実だ。私たちは自らの言動によって、人を傷つけることも癒すこともできる。苦しみを生むことも喜びを生むこともできる。扉を閉めることも開くこともできる。歌にもあるように「地の上に平和あれ、私から始めよう。」

3.自分の能力や天賦の才を気前よく差し出そう

変化は起こりうる。そしてそれは皆さんから始まる。皆さんは自分のなかに、世界を根本的に変える力と才能を秘めているということを知っていただきたい。ブッダの言葉に「この真理を皆に伝えるのだ。寛容な心、親切な言葉、奉仕と思いやりの精神が、人間性を再生させるものだ」というものがある。また、ガンジーは「この世で見たいと思う変化にあなた自身がなりなさい」という言葉を残している。すぐに結果を見ることはできないかもしれないが、皆さんは行く先々で、生き生きとした本当の自分自身であることによって変化の種を植えているのだからどうか安心して欲しい。
皆さんはどんな才能をお持ちだろうか。世界が傷ついている時、皆さんは自分の何を喜んで差し出そうとするのだろうか。自分を生き生きとさせることを見つけ、それを実行しよう。世界は生き生きとして自分の力を喜んで差し出そうとする人をもっと必要としている。

4. この道を進んでいくためにヨガの手法を使い続けよう

呼吸法、瞑想、ヨガのポーズがもたらす利益は、ヨガの指導者と生徒がともにヨガスタジオから世界へ持ち出していけるものだ。ジーン・ホールの著書『Breathe, Simple Breathing Techniques for a Calmer Happier Life(呼吸しよう。穏やかで幸せな人生を送るためのシンプルな呼吸法)』に着想を得た以下の呼吸法が、最も重要な例だ。穏やかで単純な呼吸法だが、頭部から心臓までさまざまな働きを調和させるのにきわめて効果的だ。


呼吸と心と精神をひとつにする練習
まず心地よく座れる椅子を探そう。背筋を無利なく伸ばして引き上げる。胸郭を開いて、肩をリラックスさせる。静かに目を閉じて顔の筋肉を緩める。右手を下腹部に当てて、呼吸に意識を向ける。息を吸うたびに腹部が膨らんで手のひらを押し、息を吐くたびに後退していくのを感じよう。ここで、左手を心臓に当てる。手のひらで鼓動を感じ、そのリズムに耳を傾けよう。呼吸を柔らかくして、呼吸を鼓動に合わせ始める。心臓が5回打つ間息を吸って、1回打つ間息を止め、6回打つ間息を吐き、1回打つ間息を止める。これを5~10分続けて、鼓動と呼吸が同調するのを楽しもう。この練習を終えながら、自分が世界を変えるためにできる方法について考え始めよう。

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Translated by Setsuko Mori