【未来へ手渡すプロダクト】自然に任せて、できる量だけ。SAICHAがリブランディングで選んだ“然美”という在り方〈後編〉
私たちの日常を支えてくれるモノは、一体どこからやってきて、どこへ向かうのでしょうか。「未来へ手渡すプロダクト」では、廃材や不要資源から新たな価値を生み出すアップサイクルのものづくりや、持続可能な循環を大切にする生産者の想いを紹介します。一つひとつのプロダクトに込められた理念やストーリーを通して、“買う”を単なる消費ではなく、次世代へ未来をつなぐ“応援”へ——。そんな想いから生まれた連載プロジェクトです。
耕作放棄された茶畑のお茶の実のポテンシャルに着目し、そのパワーを最大限生かしたスキンケアブランド「采茶~SAICHA」。後編では、ものづくりだけでなく、サーキュラーエコノミーを見据えたリブランディングについてお話を聞きました。

ブランドデビュー3年目でリブランディングをおこなったわけとは
――2023年にデビューし、サステナブルコスメアワード2025ではBRONZE賞も受賞する中、2026年5月には、リブランディングを発表したとのこと。なにか方向性が変わったのでしょうか。
北川:ブランドメッセージに「然美―然るべくして、美しい。 Beauty, as it is.」を掲げ、その人本来の美しさに寄り添うことをより伝えるブランドとして、リブランディングすることにしました。「SAICHA」は、耕作放棄地などから採れるお茶の実が原料ということで、オーガニック認証はありません。オーガニックで育てているのではなく、ワイルド、いわゆる野生だから日本でのオーガニック認証の対象にならないのです。オーガニックコスメだから環境に配慮していると選ぶ場合もあると思いますが、そこは、ものづくりの姿勢で示し、伝えていきたいと考えています。「エティーク」のイズムを受け継いで作ったブランドでもあるため、「SAICHA」を知ることで、耕作放棄地について、また、就労支援についても知ってもらって、それらが水の波紋のように広がっていくことで、作り手の思いやエシカルコスメがあることについてもより多くの人に知ってもらいたいです。
我々は、輸入商社であることから、海外でいいものも多く見てきましたが、日本のポテンシャルの高さも強く感じています。ただ、「SAICHA」の場合、原料ありきで生産しているため、大量生産はできません。欲しいと思っていただいたときに、欠品していることもあると思いますが、自然に任せて、できる量を作り、あるものを大事に、みなさまに届けていきたいです。また、このようにお茶の実の新たな可能性があることをほかの茶畑の人にも知ってもらうことで、耕作を放棄せず、新たな活用方法を考えてくれるきっかけになるかもしれないという期待もしています。
――確かに、ほかの耕作放棄地でもなにかしらの取り組みが始まると、いろんな展開がありそうですね。そして、手入れをせずに、自然に実がなるとはいえ、お茶の実の出来高も天候に左右されるということは、気になる場合、「SAICHA」に出会ったときに買っておくのが安心ですね。私は、香りも好きで、ブースターのように使うことが多いのですが、自分に還るオイルということで、どんな人に使ってもらいたいですか。
北川:年齢・性別問わず使っていただけますが、乾燥による小じわを目立たなくしたり、ツヤ、ハリなどのケアをしたりということなら、30代後半から使ってもらうと、ライフスタイルに取り入れやすいかもしれません。ヨガやトレーニングの後、さっと使えるのもおすすめです。女性は、インナードライになりがちな夏に老けるなんて言われているので、うるおいを保つためにもケアしてもらいたいです。
パッチテストを実施(すべての人に刺激が起こらないというわけではありません)していますし、スキンケアで面倒なことや大変なことは、植物と作り手の私たちが行ったので、思いっきり香りも楽しんで、ありのままの自分に戻っていくように使ってもらいたいです。これひとつでスキンケアができるということで、時短ケアになり、自分時間が増えます。私自身、子育てと仕事で忙しい毎日ですが、自分時間を少し捻出できるようになって、ちょっとゆっくりコーヒー1杯を飲む時間ができました。

――確かに、スキンケアでいくつものステップがあると、自分時間がどんどん少なくなりますね。ちなみに、お茶の実という原料ありきでの生産のため、今後、ラインアップが増えることはないのでしょうか。
北川:フェイシャルオイルを気に入っていただいた方から、そういったお声もありますが、現在のところ、新しい商品が出ると発表できるものはありません。申し上げたように、約400粒からようやく、1瓶分のオイルを採ることができます。まあ、フェイシャルオイルの場合、茶の実オイル100%ということで原料を多く使用しているということもあるので、今後、茶の実オイルを配合したスキンケアアイテムでなにか作ることができればいいなとは思っています。
――本来のポテンシャルを活かし、肌だけでなく地域や社会にも良い循環を生み出していく姿勢にとても感銘を受けました。忙しい日常のなかで“本来の自分”に戻れる「SAICHA」のオイルは、私たちにとっても心強いお守りになりそうです。素晴らしいプロダクトストーリーをありがとうございました!
今回(vol.5)の「未来へ手渡すプロダクト」は…
采茶~SAICHA「耕作放棄された茶畑で育った、ワイルドな茶の実オイル」
耕作が放棄されることによって実るというお茶の実。放置すると周囲の環境にも悪影響を及ぼすことから、新たな可能性を求めて開発されたフェイシャルオイルが「SAICHA」です。茶畑の土地と人、自然の循環をぎゅっと詰め込んだ肌に寄り添ってくれるオイルです。
采茶~SAICHA https://www.saicha.jp/

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