拒食と過食を10年以上くり返した元アイドルが76kgの今「痩せ信仰」に悩む女性たちに伝えたいこと
158㎝76㎏でぽっちゃりインフルエンサーとして活躍する藤田シオンさん(33)。50㎏だった過去と、最近の写真を並べた「逆ビフォーアフター」は注目を集めました。藤田さんのもとには痩せ信仰に悩まされてきた女性たちから多くの声が届きますが、藤田さん自身も「痩せなければ」と思い、摂食障害に悩まされた経験があるとのことです。2026年から再開した自炊のこと、フリルやレースの服を着ることについて伺いました。
摂食障害を経て伝えたいこと
——体型のことで、アイドル活動以前から悩まれてきたのですよね。
高校生の頃は38kgほどしかなく、多くて41kgという、いわゆる痩せ型でした。そこまで痩せ型だったのは、あまり悪くは言いたくないのですが……きっかけは母の言葉でした。おやつを食べているときや夕食のときに、「そんなものばかり食べているから太るんだよ」「また食べている」と、少しからかうように言われることが続いて。思春期の多感な心に強く響いてしまい、ご飯を食べることが怖くなってしまったんです。「食べたらまた怒られる」「また痩せろと言われる」という思いがずっとありました。
しばらくして、私がご飯を食べられなくなったのは自分が原因だったことに母は気づいたようで、逆にサポートしてくれるようになりました。週に一度、美味しいご飯屋さんに連れて行ってくれて、「なんでも好きなものを食べていいし、残していいからね」と言ってくれる。当時の私は全然食べられず、カトラリーを持つのも怖かったのですが、そういう時間を積み重ねてもらえたことで、少しずつ食への貪欲さが育まれていきました。
——それでも摂食障害と長く向き合ってこられたのですね。
摂食障害はずっと同じ症状ではなく、拒食だった方が過食や過食嘔吐に、といった形で繰り返すことも珍しくないんですよね。私自身も高校時代からその波が始まり、10年以上、拒食と過食を行き来してきました。ようやく今の落ち着いた状態にたどり着けたので、本当に長い闘いでした。
最近、ご自愛に関するエッセイを書いたこともあって、自分の愛し方に気づけた感覚があります。痩せ信仰は今でこそ議論の的になっていますが、どの時代にもあってその時代ごとに苦しめられている子たちがいる。そういう子のために、“太っているおばさん”である自分が立ち上がろうと思えたことが、私にとって大切なターニングポイントになりました。
——体型をめぐって、日常で不快な経験をされることもあるのでしょうか。
街を歩いたり電車に乗ったりしていると、「すごいね」「やば」と冷笑されることが今でもあります。ただ、そもそも他人の体型や容姿にとやかく言うほうが問題だと思うんです。体型や体質、肌の状態など、すぐに変えられないことに対して文句を言うのは、あまり品のある行為ではないと思います。好きなものを貫いて楽しく生きている人と、そういった人たちを嘲笑している人と、どちらが豊かな人生を送るかと聞かれたら、私は前者だと思います。
——SNSに「ぶつかりおじさんを弾き飛ばせる」と書かれていましたが、何があったのでしょうか。
大阪帰りにお土産の551の豚まんを片手にタクシー乗り場の列に並んでいたら、知らないおじさんが体当たりしてきたんです。
——それは大丈夫だったのでしょうか。
私は屈強なボディを持っているのでビクともしなかったのですが、持っていた紙袋が吹き飛んで地面に落ち、拾ったらズタズタになってしまっていて。おじさんはそのまま通り過ぎていって、もしかしたら酔っぱらっていたのかもしれないですけれど、紙袋が飛ばされるくらいの衝撃でぶつかったのに、無言で通り過ぎるのはちょっとひどいですよね。タクシー待ちの列は邪魔にならない場所に形成されるものですし、時間帯も夜7時頃で人がたくさん並んでいたので、「なぜ自分だけ」という気持ちはありました。中身は551さんがしっかり包装してくださっていたおかげで無事で、帰って美味しくいただきました(笑)。
自炊で見つけた「ご自愛」の時間
——2026年の春頃から、自炊を再開されているそうですね。
いわゆる「ていねいな暮らし」は、心も豊かにしてくれると感じています。ご飯を作るのは、ただフライパンを振ることではなく、食器を選ぶこと、グラスを選ぶこと、飲み物を選ぶこと、たくさんの選択の連続なんです。自分の心の声に耳を傾けながら料理をしていくうちに、自分自身を見つめ直せる感覚もあります。
——料理と心の状態が結びついていく感覚でしょうか?
そうですね。忙しくて余裕のない日は、「今日はめんつゆと生姜で夏野菜の焼き浸しを作ろう」と切り替える。料理へのモチベーションが、自分の心身の状態を測るバロメーターになると気づきました。ちょっとしたご自愛でも、自分と向き合う機会としてすごくいいのではないかと思っています。
最近は元気がない日のためにストックをしっかり用意しておくようにしています。すぐに使えるパスタソース、多めに炊いておくご飯、冷凍しておく生パスタや角煮。あらかじめ整えておくことで、余裕のない日でも自分の食事を諦めずに済むんです。
年齢に縛られない「好き」を貫く生き方
——フリルやレースの服を、いつ頃から好んで着ていらっしゃるのでしょうか。
中学生の頃からロリータファッションが好きでした。当時、映画『下妻物語』が大ヒットして、その流れで嶽本野ばらさんや大槻ケンヂさんの小説を読むようになって。同じ時期に流行っていたロリータ系のファッション誌『KERA』を毎月楽しみに読むうちに、ファッションブランドについてもどんどん詳しくなっていって、フリルやレースの服を好んで着るようになりました。
最近では地雷系ブランドの服を、ロリータっぽくコーディネートして着ることが多いです。地雷系とロリータは、似ているように見えて、精神性や思想は少し違うところにあるんです。だから両方のジャンルへのリスペクトを込めて、今着ているのは地雷系ブランドの服なので、「自分は地雷系」と名乗るようにしています。
——かわいらしい服を「何歳まで着ていいのか」と悩む方も多いように思います。
「30代になって好きな服を着ていいのか悩んでいたけれど、シオンちゃんのおかげで着る勇気が出ました」というメッセージをよくいただきます。自分が好きなことを好きなようにやっている活動が、誰かの勇気につながるのはすごく嬉しいですし、活動を続けて、いつまでも好きなファッションを続けることで、応えていきたい気持ちがあります。
世の中の風潮として、「○歳を過ぎたらツインテールは卒業」「フリルは何歳まで」「地雷系は○歳までに卒業しないと痛い」などといろいろ言われますよね。でも自分の人生は一度きりで、今日より若い日はなくて、今の人生が終わったら二度と自分になることはない。それなら、やりたいことを全部乗せして生きたほうが楽しいと思うんです。「気にしていない」の一言だとあっさりしすぎているのですが、貫いているほうが楽しいよね、という気持ちで生きています。好きなものだらけの人生を歩みたいので、やりたいと思えるかぎり、この道を続けていくつもりです。
【プロフィール】
藤田シオン(ふじた・しおん)
2026年始動「大大嬢」のボーカル。
歌、作詞、エッセイ等
158cm76kg。総フォロワー20万人
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