「朝すっきり起きられない…」体内時計は朝食もカギ?冷凍ぶどう×甘酒豆腐の朝パフェ【管理栄養士監修】
「朝すっきり起きられない」「起きてもなかなかエンジンがかからない」「なんとなく1日のリズムが整わない」。 そんな40代からの“からだのゆらぎ”が気になるとき、見直してみたいのが、食事の「内容」だけではなく「食べる時間」です。 私たちの体には、およそ24時間周期の「体内時計」が備わっています。脳にある中枢の時計は主に朝の光によって時刻を合わせ、食事のタイミングは肝臓や消化管など全身にある「末梢時計」に影響することがわかってきました。 こうした「何を食べるか」に加えて「いつ食べるか」に注目するのが、時間栄養学です。
今回は、朝食に取り入れやすいたんぱく質と、ブドウの皮に含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」に注目。冷凍ブドウ、豆腐、豆乳、きな粉、甘酒で作る、忙しい朝にも食べやすい簡単パフェをご紹介します。
「体内時計」は食事の時間にも影響される?
人の体には、睡眠や覚醒、体温、ホルモン分泌、代謝などのリズムを約24時間周期で調節する「概日リズム(サーカディアンリズム)」があります。
このリズムを作る仕組みが、いわゆる「体内時計」です。
脳の視交叉上核にある「中枢時計」は、主に朝に光を浴びることで外界の昼夜のリズムと同調します。
一方、肝臓や脂肪組織、消化管など全身の組織にも「末梢時計」があり、そのリズムには食事を摂るタイミングも関わっています。
人を対象とした研究でも、食事時間を遅らせることで一部の末梢の概日リズムがずれたり、朝食を抜くことで体温の日内リズムや時計関連遺伝子の発現などに影響したりすることが報告されています。
だからといって、「朝食を食べれば体内時計が完全にリセットされる」という単純なものではありません。
まず朝に光を浴び、生活リズムを整えたうえで、朝食を規則的に摂る。そんな毎日の習慣が、体のリズムを整えるための手がかりのひとつになります。
ブドウの皮に含まれる「レスベラトロール」とは?
レスベラトロールは、植物が紫外線や病原菌などのストレスから身を守るためにつくる成分で、ポリフェノールの一種です。
ブドウ、特に赤や黒系ブドウの皮をはじめ、ピーナッツや一部のベリー類などにも含まれています。
「時計遺伝子をリセットする」とまでは言えない
レスベラトロールと体内時計との関係については、近年さまざまな研究が行われています。
細胞や動物を使った研究では、レスベラトロールがSIRT1などを介して時計遺伝子や概日リズムに影響する可能性が報告されています。
一方で、「朝にブドウを食べればレスベラトロールによって人の体内時計が整う」ということまで確認されているわけではありません。
レスベラトロールの研究では、食品から通常摂取する量より多い量を用いた実験も少なくありません。
そのため、ブドウは「体内時計をリセットする食品」と考えるのではなく、さまざまなポリフェノールを含む果物のひとつとして楽しむのがおすすめです。
レスベラトロールに「1日の目標摂取量」はない
レスベラトロールは注目されている成分ですが、ビタミンやミネラルのように「1日に○mg摂りましょう」という公的な食事摂取基準は定められていません。
また、食品に含まれるレスベラトロール量は、品種や産地、栽培条件、加工方法などによって大きく異なります。
そのため、「ブドウを何粒食べれば1日分」という考え方をする必要はありません。
ブドウだけから特定の成分を大量に摂ろうとするのではなく、適量の果物や野菜、豆類など、さまざまな食品を組み合わせることが大切です。
朝食で「たんぱく質」を摂るメリットは?
朝食というと、ご飯やパンだけで済ませてしまう人も少なくありません。
そんなときに意識したいのが、たんぱく質を含む食品です。
豆腐や豆乳、きな粉などの大豆製品なら、植物性たんぱく質に加えて、必須アミノ酸のひとつ「トリプトファン」も摂ることができます。
トリプトファンはメラトニンの「材料」のひとつ
トリプトファンは体内で作ることができない必須アミノ酸です。
食事から摂取したトリプトファンの一部は、体内でセロトニンなどを経て、睡眠・覚醒リズムに関わるホルモン「メラトニン」の材料になります。
ただし、
「朝にトリプトファンを食べる」
↓
「昼にセロトニンが増える」
↓
「夜にメラトニンへ変わる」
↓
「ぐっすり眠れる」
というほど単純ではありません。
メラトニンの分泌には、体内時計や日中に浴びる光、夜間の照明などさまざまな要因が関わっています。
朝食でたんぱく質を摂ることは大切ですが、「トリプトファンを摂れば眠れる」と考えるのではなく、朝食・光・睡眠時間など生活習慣全体を整えることを意識しましょう。
朝食のたんぱく質、「10g必要」ではなく不足分を補う意識で
今回のパフェでは、豆腐、豆乳、きな粉を組み合わせることで、1食あたり約10~11gのたんぱく質を摂ることができます。
ただし、「朝食では必ず10g摂る必要がある」という公的な基準があるわけではありません。
1日に必要なたんぱく質量は年齢や性別、体格、活動量などによって異なります。
大切なのは、夕食だけに偏らせるのではなく、朝・昼・夕の食事にたんぱく質を含む食品を取り入れること。
普段「朝はパンとコーヒーだけ」という人なら、豆腐や豆乳、卵、ヨーグルトなどをプラスするところから始めてみましょう。
【レシピ】皮ごと楽しむ!冷凍ブドウと甘酒豆腐のシャーベットパフェ
冷凍したブドウのシャリッとした食感と、豆腐・豆乳・きな粉で作るまろやかなクリームを合わせた朝パフェ。
豆腐、豆乳、きな粉を組み合わせることで、朝食に不足しがちなたんぱく質を手軽にプラスできます。
ブドウは皮ごと食べられるものを使えば、皮に含まれるポリフェノールも無駄なく摂ることができます。
材料(1人分)
- 巨峰、ピオーネなどの黒・赤系ブドウ……10粒程度
- 絹ごし豆腐……80g
- 無調整豆乳……80~100ml
- きな粉……大さじ1
- 米麹甘酒……大さじ2
〈お好みで〉
- 純ココア(無糖)……小さじ1
- ピーナッツやアーモンド……3~4粒程度
※ブドウは皮ごと食べる場合、よく洗って水気を拭いてから冷凍してください。皮がかたい品種や食べにくい場合は、無理に皮ごと食べる必要はありません。
たんぱく質量の目安
使用する商品や豆乳の量によって異なりますが、パフェ全体で約10~11g程度が目安です。
- 絹ごし豆腐80g……約4.2g
- 無調整豆乳80~100ml……約2.9~3.6g
- きな粉大さじ1……約2~3g
- 甘酒、ブドウなど……少量
※食品や商品の栄養成分によって異なるため概算値です。
作り方
1.甘酒豆腐きな粉クリームを作る
ボウルに絹ごし豆腐、無調整豆乳、きな粉、甘酒を入れ、泡立て器やフォークでなめらかになるまで混ぜ合わせます。
ココアを使用する場合は、ここで一緒に混ぜます。
2.冷凍ブドウを半解凍する
冷凍しておいたブドウを室温に少し置き、食べやすいやわらかさになるまで半解凍します。
半分に切る場合は、包丁が無理なく入る程度まで解凍してからカットしましょう。
3.グラスに盛り付ける
グラスに甘酒豆腐きな粉クリームを入れ、半解凍したブドウを盛り付けます。
お好みで刻んだピーナッツやアーモンドを散らせば完成です。
管理栄養士からのアドバイス
今回のレシピのポイントは、「レスベラトロールをたくさん摂ること」ではありません。
ブドウだけから特定のポリフェノールを大量に摂ろうとする必要はなく、朝食として適量の果物を楽しみながら、豆腐・豆乳・きな粉からたんぱく質を補うことを意識しましょう。
ブドウの皮にはレスベラトロールをはじめとするポリフェノールが含まれ、豆腐・豆乳・きな粉からは大豆由来のたんぱく質やトリプトファンなどを摂ることができます。
米麹甘酒を加えれば自然な甘みもプラスできるため、砂糖を加えなくてもデザート感覚で楽しみやすくなります。
純ココアを加えればカカオ由来のポリフェノールを、ナッツを加えれば食感や脂質、たんぱく質などをプラスすることもできます。
「これひとつで体内時計が整う」と考えるのではなく、いろいろな食品を無理なく組み合わせることが大切です。
「朝食+朝の光」で1日のリズムを始めよう
時間栄養学で注目されているのは、「何を食べるか」だけではなく「いつ食べるか」です。
朝起きたらカーテンを開けて明るい光を浴びる。そして、無理のない範囲で朝食を摂る。
体内時計はひとつの食品や栄養素だけで動いているわけではありません。
実際、トリプトファンを多く含む朝食と日中の明るい光を組み合わせた研究では、夜間のメラトニン分泌との関連が報告されています。一方で、トリプトファンだけを朝に摂取した研究では、夜のメラトニン分泌への明確な効果が認められなかったものもあります。
だからこそ、ひとつの「成分」に期待しすぎないこと。
朝の光、規則的な食事、日中の活動、夜の光環境、そして十分な睡眠。
そんな1日の過ごし方全体を意識しながら、まずは朝食を楽しむところから始めてみましょう。
冷凍ブドウと甘酒豆腐のパフェなら、忙しい朝でも簡単。
「朝、何も食べない」「コーヒーだけで終わってしまう」という人こそ、手軽な朝の新習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献・参考資料
- 榛葉繁紀「時間栄養学と時計遺伝子」『日本薬理学雑誌』141巻2号, 2013年
- 柴田重信『時間栄養学:時計遺伝子と食事のリズム』女子栄養大学出版部
- 香川靖雄「時間栄養学による生活習慣病の予防と改善」『日本栄養・食糧学会誌』67巻3号, 2014年
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- Wehrens SMT, et al. Meal Timing Regulates the Human Circadian System. Current Biology. 2017.
- Ogata H, et al. Skipping Breakfast for 6 Days Delayed the Circadian Rhythm of the Body Temperature without Altering Clock Gene Expression in Human Leukocytes. Nutrients. 2020.
- Jakubowicz D, et al. Influences of Breakfast on Clock Gene Expression and Postprandial Glycemia in Healthy Individuals and Individuals With Diabetes. Diabetes Care. 2017.
- Fukushige H, et al. Effects of tryptophan-rich breakfast and light exposure during the daytime on melatonin secretion at night. Journal of Physiological Anthropology. 2014.
- Resveratrol as a circadian clock modulator: mechanisms of action and therapeutic applications. Molecular Biology Reports. 2023.
※レスベラトロールには、ビタミンやミネラルのような公的な1日摂取目標量は設定されていません。また、食品から摂取するレスベラトロールによる体内時計の改善効果が確立されているわけではありません。
※たんぱく質やトリプトファンを含む特定の朝食を摂ることで、睡眠や体内時計の改善が保証されるものではありません。体内時計には光、睡眠・覚醒時間、食事時間、運動など複数の要因が関わります。
AUTHOR
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く




