汗をかいた後の「水だけ補給」が危ないことも?低ナトリウム血症を招く飲み方とは|医師が教える

汗をかいた後の「水だけ補給」が危ないことも?低ナトリウム血症を招く飲み方とは|医師が教える
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-08-06

熱中症対策として「こまめに水分を補給しましょう」とよく言われます。しかし、水分補給は「たくさん飲めばよい」というわけではありません。熱中症を予防するための水分補給が、かえって体調不良を引き起こしてしまうこともあるのです。原因や症状、正しい水分補給の方法について医師が解説します。

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低ナトリウム血症とは?

大量の汗をかいた後に、水だけを一度にたくさん飲み続けると、「低ナトリウム血症」という状態になることがあります。

ナトリウムは、体液のバランスや神経・筋肉の働きを維持するために欠かせないミネラルです。

汗をかくと、水分だけでなくナトリウムも失われます。

この状態で水だけを大量に飲み続けると、血液中のナトリウム濃度が薄まり、「低ナトリウム血症」が起こることがあります。

つまり、体内の水分量は十分でも、電解質のバランスが崩れてしまうのです。

どんな飲み方が危険なの?

特に注意したいのは、

短時間に大量の水を一気に飲む

長時間の運動や屋外作業後に水だけを補給する

発汗が多いのに塩分を全く補給しない

「熱中症予防のため」と必要以上に水を飲み続ける

といったケースです。

健康な腎臓は余分な水分を排出できますが、短時間に大量の水を飲むと処理が追いつかず、血液中のナトリウム濃度が急激に低下することがあります。

こんな症状は低ナトリウム血症のサイン

初期には、以下のような症状が現れます。

・頭痛
・吐き気
・食欲低下
・強いだるさ
・手足に力が入りにくい
・集中力が低下する
・ぼんやりする

熱中症の症状と似ているため、見分けが難しいこともあります。

さらに悪化すると、

・意識障害
・けいれん
・呼びかけへの反応が悪い
・昏睡状態

に至ることもあり、命に関わる場合があります。

体ナトリウム
イラスト/Adobe Stock

高齢者や持病のある人は特に注意

低ナトリウム血症は誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要なのは、

  • 高齢者
  • 長時間運動をする人
  • 屋外で作業する人
  • 腎臓病や心不全がある人
  • 利尿薬を服用している人

です。

高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分補給のタイミングが偏りやすいため、一度に大量に飲んでしまうことがあります。

また、持病や服薬によって体内の水分・電解質バランスが崩れやすい人では、より注意が必要です。

正しい水分補給のポイント

熱中症を予防するためには、「水」と「塩分(ナトリウム)」の両方を補給することが大切です。

日常生活で軽く汗をかく程度であれば、水やお茶でも十分な場合が多いでしょう。

しかし、

・炎天下で長時間過ごした
・スポーツをした
・大量の汗をかいた

このような場合は、経口補水液やスポーツドリンクなどを状況に応じて利用し、ナトリウムも補給することが重要です。

また、水分は一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに補給することが基本です。

こんな時は医療機関を受診しましょう

大量に汗をかいた後、水分補給をしているにもかかわらず、

頭痛が続く

吐き気や嘔吐がある

強いだるさが改善しない

ぼんやりして会話がおかしい

意識がはっきりしない

このような症状がある場合は、低ナトリウム血症や重症の熱中症が疑われます。

自己判断で水だけを飲み続けるのではなく、早めに医療機関を受診してください。

意識障害やけいれんがある場合は、ためらわず救急車を要請することが重要です。

「水だけ飲めば安心」は思い込み

近年は熱中症予防への意識が高まり、「とにかく水を飲もう」という考えが広く浸透しています。

もちろん、水分補給は非常に大切です。

しかし、大量の汗をかいた状況では、水だけを補給すると電解質のバランスが崩れ、体調を悪化させることがあります。

大切なのは、「水分を補給すること」ではなく、「失ったものを適切に補うこと」です。

まとめ

熱中症予防では水分補給が欠かせませんが、大量の汗をかいた後に水だけを飲み続けると、低ナトリウム血症を起こすことがあります。

頭痛や吐き気、ぼんやり感、強い倦怠感などは、単なる暑さだけでなく、体内のナトリウム不足が原因となっている可能性もあります。特に長時間の運動や屋外作業をした後は、水分だけでなくナトリウムも意識して補給することが大切です。

「水を飲んでいるのに体調が悪い」という場合は、水だけを飲み続けるのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。適切な水分・電解質補給が、熱中症や低ナトリウム血症を防ぐ鍵となります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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