〈横浜→北海道 長沼町 移住〉25歳で地方移住。「どうせ移住するなら早い方がいい」そう考えた理由とは #暮らしの選択肢

〈横浜→北海道 長沼町 移住〉25歳で地方移住。「どうせ移住するなら早い方がいい」そう考えた理由とは #暮らしの選択肢
写真提供: 江藤誠洋

近年、テレワークの普及やライフスタイルの多様化により、都市から地方へ完全移住をする人々が増加傾向にあるのはご存知でしょうか。自然豊かな環境でのびのびと生活ができる、住宅費などの物価の安さ、あるいは子育てのメリットなども魅力の地方移住。一方で、実際に移住した人たちのリアルな本音はどうなのでしょうか。自らの価値観に基づき「暮らしを選ぶ人」から、その魅力や課題、リアルな日常を深掘り。理想と現実の狭間で見えてくる移住者たちの「暮らしの選択肢」の今を伝えます。

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今回お話を伺ったのは、2023年に横浜から北海道 長沼町へ移住された江藤 誠洋さん。いつか自然豊かな場所で暮らしたい、と江藤さんが考えるようになったのは、3歳から12歳まで長野県で過ごしたから。一方で、元々心配性な性格で、これまで大きなことに挑戦してこなかったという彼が、25歳という若さで「いずれ移住するのであれば、早い方がいい」と思ったのはなぜでしょうか?江藤さんの #暮らしの選択肢に迫ります。

〈移住者プロフィール〉江藤 誠洋
神奈川県出身。2023年結婚を機に、北海道長沼町へ移住。地域おこし協力隊メンバーとして、北海道長沼町の移住コーディネーターを務める。地域おこし協力隊任期終了後、宿を開業予定。Instagram : @maoi_eto

お金、車社会、仕事...心配は山ほどあった。

札幌から車で約50分、新千歳空港から約25分の好立地に位置する自然豊かな町「長沼町」。絵に描いたような美しい田園風景が広がるこの町は、古くから農業が盛ん。美味しい農産物やジンギスカン、また、最近はおしゃれなカフェも増えてきて、北海道の中でも人気の観光スポットだ。

 

そんな長沼町へ横浜から移住したのが、江藤 誠洋さん。なんと、結婚してすぐのことだったという。

「結婚前、今の妻と付き合っている時から、いずれは地方で暮らしたいと話していました。私の出身は神奈川県になりますが、実は3歳から12歳までは長野県で育っているんです。そのため、自然が身近にある環境での生活に馴染みがあって。もちろん子供の頃の話にはなるので、美化されてる部分もあると思いますが、都心での暮らしが長くなり、改めてあの頃の生活が、すごく良かった、肌感に合っていたと思うようになりました」

江藤さんの妻もまた、北海道網走の出身。大学で札幌に、社会人になって関東に出てきたという経緯がある。お互い、子供の頃に自然豊かな場所で育ち、またそのような環境への思い入れもある。いつか移住するなら、すぐにでも移住する。それが、江藤さん夫妻の出した答えだった。

一方で、心配事が尽きないというのも本音だったという。金銭的にも余裕がない中で、転職をしなくてはいけないこと、車生活、また他所から来た人に対しての町の人の反応等、心配事を上げたらキリがない。江藤さんは、元々は心配性な性格で、あまり大きなことに挑戦するタイプではなかったそう。そんな心配事だらけの中、それでも移住に至ったのはなぜ?

「どうせ挑戦するんだったら早い方が良いと思ったからです。若いうちの方が、体力的にも余裕がありますし。また、仕事のキャリアが浅いというのも踏み切れた理由でした。と言うのも、会社の中でも立場が上がっていたっり、任される責任が大きくなってからでは、動きづらくなってしまうのではないかと。それに、ゆくゆく子供を授かった時などのことを考えてみても、いつか行くのであれば、早い方が良いと思いました」

移住をした時、江藤さんは25歳。これからいくらでもキャリアや人生の舵を切れる可能性に満ちた年齢ということが、彼の背中をそっと押してくれた。

写真: 江藤 誠洋
写真提供: 江藤 誠洋

「ワクワクして移住することって、実はハードルの高いことだと思うんです。もちろん楽しみもある。だけど、心配事がないというのは、かなり少ないのではないかと。それでも、移住してみて、ダメだったらその時考えてみるのもありかなって」

移住先の候補地は、北海道の他に長野県を考えていたという。北海道は妻が、長野県には江藤さんが、馴染みがあるというのが理由だった。全部で5-6ヶ所ほど回った中で、最終的に長沼町に決めた最大の理由は、美しい田園風景とそこに暮らす人々に魅了されたから。

「長沼町を最初に訪れたのは、冬の時期でした。長沼町は農業が盛んな町で、田園風景が広がった町です。北海道らしい雪化粧した畑の様子がとても美しかったのが印象的でした。また、田園風景が広がる中に、ぽつんぽつん、とそれぞれの価値観や暮らしが表現されているようなこだわりの詰まった個人経営のお店があって。そこで働く方々も本当に素敵な人たちなんです。長沼町には、自分でやりたいことを表現していたり、自分の言葉を持ってる方がたくさんいらっしゃって、人にも惹かれました」

 

加えて、アクセスが良いというところも、決め手の一つだったという。長沼町は、札幌市まで車で約50分、新千歳空港まで車で約25分。かなり好立地だ。せっかく地方に移住するのであれば、長くその町に根付きたい。一方で、本州に住んでいる親族にもしものことがあった時には、すぐに駆けつけられる交通の便があるというのが理想的だった。

こうして、2023年、江藤さんの長沼町暮らしがはじまった。

移住する側から、移住をサポートする側へ。一番多い相談内容は?

移住当初心配していたことは、大丈夫だったのだろうか。

「移住前に、仕事や住まいを見つけることができましたし、車生活も慣れてしまえば、とても便利です。今、地域おこし協力隊として活動してるからということもあるかもしれませんが、多くの町の方々に気にかけていただいて、長沼町での生活を楽しんでいます」

「地域おこし協力隊」とは、都市部から過疎地域などの地方へ移住し、自治体ごとに定められた地域協力活動に取り組みながら、その地域での起業・定住・定着を目指す総務省が推奨する国の制度。隊員は1年から3年の任期中、自治体から報酬や活動費を受け取りながら活動する。

 

 

20代の移住関心層がコロナ禍以降増えているという話を聞いたことがあり、せっかくなら若くして地方移住を決断した経験を生かした仕事がしたいと考えていた江藤さん。「元々心配性な私だからこそ移住を検討している方に寄り添いながらその方たちが一歩踏み出せるようなお手伝いができたらと思った」と、長沼町で地域おこし協力隊の移住コーディネーターの職に応募。そして、採用された。

移住する側から、移住をサポートする側になった江藤さん。この3年間で、日本全国各地に住む人々から移住相談を受けている。相談内容として多いのは、仕事のことだという。江藤さんの場合は、国の制度を使って報酬や活動費を受けているが、それ以外に地方で就職すること、あるいは仕事をはじめるチャンスはあるのだろうか。

「仕事は、あります!移住者さんの中には、地方で事業を始めたいという方も多くて、そういった方々にも長沼町はピッタリではないかと思います。なぜなら、長沼町には年間200万人程の観光客がいる他、ながぬま地域起業塾というローカルスタートアップを支援する町独自のプログラムも充実しているからです。実は、私も今年の秋に地域おこし協力隊の任期が終わるんです。その後は、長沼町で宿を開く予定でして、今準備中です」

写真提供 : 江藤 誠洋
写真提供 : 江藤 誠洋

自分のビジネスを開業する以外にも、一般企業に就職し、通勤する選択肢もある。長沼町は、札幌や千歳、岩見沢など、大きい市に囲まれている。そのため、車が運転できれば、その地域に通勤することが可能とのこと。また、仕事に限らず、子供の通学先、習い事の選択肢も長沼町であれば、周辺の自治体を視野に入れることができる。地方暮らしというと、選択肢が狭まってしまうことも決して珍しくないが、長沼町は30分ほどでアクセス出来る近隣市町も含めて生活圏なので、選択肢はいくらでもある、と江藤さんは考える。

「長沼町に暮らすようになって、改めて都心は便利だなと思うようになりました。長沼町では不足していると感じることも正直ありますが、都会には便利さはあっても長閑さがないように、おそらく全部が完璧な選択肢はないと思うんですよね。今はAIでもインターネットでも、容易に欲しい情報にアクセスできるので、自分でアンテナを張って足りない部分を補えばいいと思っています。足りないものばかりに目を当てるのではなく、発想や視点を変えて楽しみ方を見つけていくことが出来れば、どこに住んでも楽しんで暮らせるのではないでしょうか」

自分が選択した暮らしを楽しめるか、満足いくものにできるかは、結局のところ、自分次第、と江藤さんは話す。自分自身がどう動くかだったり、どう在りたいかをしっかりと見極めれば、どこにいても暮らしはより色鮮やかなものになるのかもしれない。

 

>> 後編へつづく

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