夏の脳疲労とアーモンドミルク。甘酒・シナモン・生姜で始める、朝のコンディショニング&リカバリー習慣|管理栄養士のレシピ

夏の脳疲労とアーモンドミルク。甘酒・シナモン・生姜で始める、朝のコンディショニング&リカバリー習慣|管理栄養士のレシピ
松田 真紀
松田 真紀
2026-08-19

プロサッカー選手の三笘薫さんは、筑波大学の平島和樹さんとの解説動画内で「朝練のあとにアーモンドミルクを飲んでもらっています」と語っており、トップアスリートも実際に取り入れている選択肢です。運動後の栄養補給のタイミングは、日中のコンディションを左右する大切な要素。今回は、各種ミルクの成分データや朝の体内リズム、そして米国で支持されている "ローフード(raw food diet)" の視点を交えながら、朝のコンディショニング(ヨガや運動)の後にアーモンドミルクベースのドリンクを飲むポイントを、栄養学的なデータの範囲内で整理します。

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1. 朝の体は「エンジンがかかり始めている時間」

私たちの身体は、時間帯や環境の変化に応じてさまざまな生理的反応を起こしています。これらに合わせた栄養補給を行うことは、効率的なリカバリーにつながります。

コルチゾールで体がスタートする

朝、目が覚めると、体の中では「コルチゾール」というホルモンの分泌が一気に上がります。これは Cortisol Awakening Response(CAR)と呼ばれる、体が "夜のモードから昼のモード" に切り替わる自然な反応。血圧や血糖を少しだけ押し上げて、活動を始めやすくしてくれる、いわば「体のエンジンスタートスイッチ」です。

つまり朝の体は、副交感神経から交感神経へグラッとギアチェンジしている時間帯。ここで無理に押さえつける必要はありませんが、このタイミングで体をいたわる栄養素を一緒にとっておくと、午前のパフォーマンスが安定しやすいといわれています。

朝のヨガやストレッチのあとに、ひと息つきながらコップ1杯の栄養を摂るのは、理にかなったタイミングです。

午前中の酸化ダメージにそなえる

朝のコルチゾール上昇にともなって、代謝は活発化し、酸化反応も一時的に増えます。さらに昼に向かって紫外線を浴びる機会も増えるため、肌の表面や細胞膜には酸化ダメージが蓄積しがち。

そこで頼りになるのがビタミンE(α‐トコフェロール)です。ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンで、経口で摂ると皮膚や細胞膜に届き、脂質過酸化を抑えることが基礎研究で報告されています。「日焼けを防ぐ化粧品」のような直接的な効果はさすがにありませんが、"日中の酸化ダメージにそなえる土台作り" には心強い存在です。

2. "ローフード" の視点で見るアーモンドミルク

アメリカでは、加熱しない食事法 "raw food diet"(ローフード)が支持を集めてきました。Link & Potter(2004)らが発表した疫学研究をきっかけに、健康意識の高い層で広がった考え方です。

ここで大事なのは「熱に弱い成分を、できるだけそのまま摂りたい」という視点です。

たとえば自家製のアーモンドミルクなら、アーモンドを砕いて水で漉すだけ。市販品は UHT 殺菌など加熱工程が入っていますが、それでも普通の牛乳や豆乳にくらべればシンプルで、加工の度合いが低い部類に入ります。

3. 他のミルクとくらべてみると…アーモンドミルクの強み

アーモンドミルク
photo by Adobe Stock

ここでは200mlあたりの数値で比べてみます。文部科学省『日本食品標準成分表 八訂 増補 2023年』と、各メーカーの成分表示をもとにした代表値です。

ミルク(無糖・200ml) エネルギー 糖質 ビタミンE
アーモンドミルク(商品例) 約39 kcal 約0.9 g 約7.0 mg
普通牛乳 約122 kcal 約9.6 g 約0.4 mg
無調整豆乳 約92 kcal 約3.6 g 約0.2 mg

ビタミンEがたっぷり

厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』によると、18〜29歳女性のビタミンE目安量は5.0 mg/日。

江崎グリコの「アーモンド効果 砂糖不使用 200ml」は200mlあたり7.0 mg(メーカー成分表示)。

つまりコップ1杯で、1日目安量の約1.4倍が摂れます。

商品によってはもっと高めの数値をうたっているものもありますが、「1杯で1日分の2倍以上」と大きく言い切るより、"1杯で1日目安量の半分以上をしっかりカバーできる" という表現くらいが、商品によるぶれもなく安心感があります。

カロリー・糖質が控えめ

「アーモンド効果 砂糖不使用 200ml」は、エネルギー約39 kcal・糖質0.9 g。ヨガや軽い運動のあとは、筋肉が糖を欲しがるので、糖質の多いジュースを一気に摂ると血糖がジェットコースター状態になり、眠気・だるさのもとになることがあります。

アーモンドミルク(無糖)なら血糖を乱しにくい"やさしい一杯"として、悪くない選択肢。運動後30分〜1時間以内のたんぱく質補給は別で意識してくださいね(アーモンドミルクだけだと、そこは補えません)。

4. 「甘酒 × シナモン × 生姜」を足す理由

無糖アーモンドミルクは栄養バランスがよいものの、エネルギー源は控えめです。そこに発酵食品・スパイスを足すと、

  • 運動で減ったエネルギーを補う
  • 巡りを良くして栄養を届けやすくする
  • 深部体温を後押しする

という3つの役割が上乗せされます。

甘酒(米麹):やさしい即効エネ

お米のでんぷんがブドウ糖まで分解されているので、消化吸収がスムーズ。100mlあたり130〜180 kcal・糖類20〜30 g程度はありますが、"軽めの運動後の素早いエネルギー補給"という目的に合っている発酵ドリンクです。ただし甘さはしっかりあるので、飲みすぎには注意。

シナモン:末梢のめぐりを後押し

主成分のシンナムアルデヒド(桂皮アルデヒド)には in vitro(試験管レベル)の研究で血管拡張作用、赤血球の流動性改善などが報告されています(あくまで in vitro と一部小規模のヒト試験)。「Tie2受容体活性化」といった細かいメカニズム解説は学術的にも確証が薄いので、ここでは "末梢レベルの血流(微小循環)を助け、栄養素を隅々まで届けやすくするスパイス" と理解しておけば十分です。

生姜:深部体温をじんわり上げる

生姜を加熱・乾燥すると、ジンゲロールの一部が脱水・転化してショガオール(shogaol)が生まれてきます。ショガオールは温度感受性 TRP チャネル(TRPV1など)を刺激する報告があり、「体の内側からじんわり温まる」感覚の主役成分です。エアコン冷えを感じた朝や、軽めのストレッチで体を動かしたあとにぴったり。

5. 朝のヨガ後に最適な「ロー&発酵アーモンドチャイ」レシピ

ローフードとしてのアーモンドミルクの栄養素と、甘酒の風味や一部の栄養素をムダにしないよう、温度管理にこだわったおすすめのリカバリードリンクです。

材料

  • アーモンドミルク(砂糖不使用):150ml
  • 米麹甘酒(ノンアルコール):50ml
  • シナモンパウダー:2〜3振り
  • 生姜パウダー(またはすりおろし生姜):少々

作り方 小鍋にアーモンドミルク、甘酒、生姜を入れ、弱火で混ぜながら温めます。

温度のポイント アーモンドミルクの素材本来の栄養素や甘酒の風味を活かすため、沸騰はさせず、45℃前後〜50℃未満(50℃を上回ると風味や香味成分が飛び始め、人により心地よいと感じる温度も差があります)で火を止めます。

カップに注ぎ、仕上げにシナモンパウダーを振って完成です。

甘酒の自然な甘みにスパイスの香りが加わり、砂糖を使用しなくても満足感のある豊かな味わいになり、運動後のリラックスタイムをより上質なものにしてくれます。

参考文献・公的データ

  • 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』 ── ビタミンE 18〜29歳女性目安量 5.0 mg/日 など。
  • 文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補 2023年』 ── 普通牛乳・無調整豆乳のエネルギー・栄養素値。
  • 江崎グリコ「アーモンド効果 砂糖不使用 200ml」商品ページ・成分表示 ── エネルギー 39 kcal、糖質 0.9 g、ビタミンE 7.0 mg/200ml。
  • 筑波大学 平島和樹氏による解説記事(tsukubadairy.shop) ── 三笘薫選手の朝のアーモンドミルク習慣。
  • Pruessner, J. C. et al.(1997)"Free cortisol levels after awakening…" Life Sciences 61(26):2539–2549 ── CAR(コルチゾール目覚め反応)の古典研究。
  • Link, L. B., & Potter, J. D.(2004)"Raw vs. cooked vegetables and cancer risk." Cancer Causes & Control 15(10):1079–1096 ── ローフード関連の研究。
  • Whitaker, J. R.(1994)"Principles of Enzymology for the Food Sciences." CRC Press ── 食物酵素・熱に弱いビタミンの熱失活に関する作用機序。
  • Azimi, H. et al.(2014)"Cinnamon, an effective anti-inflammatory agent: A review." J. Tradit. Complement. Med. 4(4):230–234 ── シンナムアルデヒドの血管拡張・抗炎症作用。
  • Iwami, M. et al.(2011)"Extracts of ginger and gingerol and shogaol, enhance temperature-sensitive TRP channels." J. Nutr. Sci. Vitaminol. 57(5):345–351 ── ショウガオールと TRP チャネル。
  • Spiers, J. G. et al.(2015)"Stress, glucocorticoids, and glucocorticoid receptors: their roles in oxidative stress." Int. J. Mol. Sci. 16(11):27515–27533 ── コルチゾールと酸化ストレスの機序。
  • Thiele, J. J. et al.(2001)"The antioxidant network of the stratum corneum." Curr. Probl. Dermatol. 29:26–42 ── 表皮の脂質とビタミンEの抗酸化ネットワーク。

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