「なぜウェアのブランドがジャーナルを?」kelluna.前川裕奈さんが“書く習慣”を通して伝えたいセルフラブ
スリランカの女性たちと作るフィットネスウェアを通して「Beauty comes from self-love(美とは、自分を受け入れ愛すること)」を伝えてきたアパレルブランド、kelluna.。ブラトップやレギンスを始め、マスクや靴下などの身に着けるものを「セルフラブのリマインダー」として、日本の女性たちに届けてきました。そんなkelluna.が、この春新しく生み出したのがジャーナルです。
「書く瞑想」としても注目されるジャーナリングは、頭に浮かんだことや心の状態を言葉にして書き出すメソッド。気持ちの整理やストレスの軽減に効果があるとされており、内省ツールとして取り入れる人が増えています。書き出す紙はなんでもOKですが、世の中には専用のノート「ジャーナル」もさまざまな形で販売されています。
今回は、アパレルブランドであるkelluna.がジャーナルを作った理由や、書く習慣を通して伝えたいメッセージを伺いました。
愛を持って「セルフラブ」を伝えられる商品
——新商品がジャーナルだと知って、まず「アパレルブランドがなぜ?」と思った方も多いのではと思います。今回、ジャーナルを作ろうと思った経緯を教えてください。
もともとkelluna.がフィットネスウェアを商材に選んだのは、私自身が運動が好きであることと、「痩せるためではなく、自分を愛するために運動しようよ」というセルフラブのコンセプトを伝えやすかったことが理由です。アパレルブランドを起業するのが目的だったわけではないので、セルフラブを伝えられるのであれば、ウェアだけであることにこだわる必要はないと思ったんです。実際、2年前にkelluna.の工房見学などを含んだスリランカツアーを開催したときに、ウェアという商品じゃなくても、ブランドのメッセージがちゃんと伝えられることを実感しました。
——フィットネスウェアだけでなく、さらに別の形でも伝えられると。
そうです。ただ、なんでもいいわけではなくて、やっぱりそこに私自身の愛情がなければ伝えられません。私自身がフィットネスやスリランカを愛しているのと同じように、別の商材にするのであれば情熱を込められるものにしたいと考えていました。もちろん、器用に「今はこれが売れるから」というやり方も一つの正解だとは思うのですが、私は性格的にそういう経営が向いていなくて(笑)。じゃあ、自分がウェア以外でも「自分ごと」として伝えられるコンテンツってなんだろうと考えてたんです。
そんな時に、別のスタッフから「裕奈さん、書くことを日常的にしてますよね?ジャーナリングとかしてるんですか?」と聞かれたことがあって。みんなが歯磨きみたいに当たり前にしていることだと思っていたので、そこで初めて、書くことが「自分がいつの間にか身につけていた習慣」だと気づいたんです。実際にスリランカツアーを開催したときも、参加者に配布した旅のしおりにはミニジャーナルを組み込んだりしていました。
——前川さん自身が、ずっとジャーナリングを続けてきているんですね。
私自身は高校生くらいからずっとジャーナリングが習慣になっていて、その価値や効果も実感してきました。だからこそ、単純に「売れそうだから」「かわいいから」という理由ではなくて、kelluna.としてジャーナルを販売したいと思えたんだと思います。ブランドの理念に共感してくれるファンが増えてきた今だからこそ、次のステップとしてジャーナルを選ぶことができました。
自分の一番の理解者は、自分だと思うから
——ジャーナリングに興味はありつつ、なかなかやり方がわからないという人もいると思います。前川さんは、ジャーナリングを日常でどのように活用していますか?
私の場合は、とにかく「自分に声をかける」という使い方です。なんだか落ち込みそうだなと思ったときに「落ち込んでいる(であろう)明日の自分へ」といった形で、感情を言葉にしてアウトプットしていきます。人からもらう前向きな言葉も嬉しいけれど、やっぱり自分で自分に言ってあげられるのが大事だなと思っているので、それをジャーナリングで形にしていますね。もちろん自分への褒め言葉とか労りの言葉を書くときもありますが、私にとって一番効果的なのは、数日後の自分への手紙みたいな使い方です。
——自分自身に向き合うことが「セルフラブ」に繋がっていくと。
そうですね。人から褒められたり慰められたりしたいこともありますし、そういう関係性の人がいることはすごく大切。一方で、そこだけに依存してしまうと、自分で自分を起きあがらせてあげることができなくなってしまうと思います。自分の一番身近なところにいるのは自分だし、自分を一番理解しているのも自分なんですよね。
私は一人で飲みに行ったり遊びに行ったりすることも多いですが、孤独じゃなくて自分自身と遊びに行っているような感覚なんです。それはジャーナリングをしているときも同じで、自分自身からの声が一番信頼できるなって思えますね。
——そこまで自分自身を擬人化してあげられたら、強い味方になってくれそうです。
そうですね、私自身の圧倒的な味方は私でありたいと思っています。自分自身が、私の数少ない親友の一人。ただ、その感覚をすぐにつかむのは難しいとも思いますし、私も20代は自責のどん底にいたので、やっとという感じです。なので、そう思えるまでのお供として、このジャーナルを使ってもらえるような仕掛けを作っています。例えば、オリジナルのキャラクターをガイド役として入れているんですが、あえて名前はつけていません。使ってくれる人が自分自身を投影しても良いですし、自分の味方として名前をつけてくれても嬉しいなって。そういう存在がいてくれるだけで、救いになったりしますよね。AIに名前をつけて相棒感覚でやりとりしている人も多いですが、自分で考えてそれを作っていくような感覚かな。使う人によって、このキャラの性格も違うはずなので、いつかポップアップなどで、みんなのキャラとの思い出を少しでも教えてもらえたら嬉しいです。
正解のないジャーナリングを、少しずつガイドしたい
——ジャーナルを作る上での難しさはありましたか?
やはり中身の作り込みが一番悩みました。ジャーナリングって、私のように慣れている人は白紙の状態のほうが書きたいことが書けると思うんですね。ただ、私は「今までジャーナリングをしたことがない」という人にも届けたいと思っていたので、そういう方々に向けたガイドは入れたかったんです。でもガイドを入れすぎると、慣れてる人からしたら使いづらくなるし...…と、しばらく右往左往してました。塩梅が難しくて、いろんな人にヒアリングさせてもらいながら作りましたね。
——kelluna. journalには、どのようなガイドが入っているんでしょう?
前半は少しガイド多めで「こんなことを書いてみたらどう?」「今日の気分は?」などジャーナリングする上でのヒントや問いを置いています。とはいえ、好きなように使ってほしいのでガイドは少なめかも。すっごい小さい薄い字でいれていたり。例えば、「なんでもいいから、3つ書き出してみよう」という項目を作ったのですが、それは「今日よかったこと」でも「今日観た映画の感想」でも、なんでもいいんです。「よかったこと」と限定したくなかったのは、私自身がそういう気分じゃない日もあるから。よかったことがない日に、よかったこと書けって言われるのがすごく嫌で(笑)
——問いに答えるだけではなく、書くことを考えるところから、自分に向き合っていくんですね。
そうやって少しずつ自分の気持ちを言葉にすることに慣れてきたら、補助輪を外すように、後半はフリースペースを多めに取っています。絵を描くのが好きな友人は、文章で書くよりも絵で描いたほうが表現しやすい、とも言っていました。そういう人は絵で残していくのがいいと思うので、罫線の有無や濃淡もこだわりました。本当に“正解はないんだよ”っていうことを強調したいです。
——最後に、このジャーナルをどんな人に届けたいですか?
kelluna.では、フィットネスウェアも運動している人だけをターゲットにしたものではなくて、ウェアをきっかけに運動し始めるような方が多いです。ジャーナルも、サイズ感やガイドなど、今までジャーナリングの習慣がなかった人でも習慣にしやすい工夫を散りばめています。全部しっかり書き込まなくても、寝る前に10分開くだけで自分に優しくできる。旅先だけ、月初だけ、そんな気軽な感じで良いんです。そういうハードルが低めなお守りとして、このジャーナルが生活に寄り添えたら嬉しいです。
7月21〜27日、西武渋谷でPOPUP開催!ジャーナルも含む商品を手に取る機会に
kelluna. https://www.kelluna.com/
前川裕奈さん
慶應義塾大学法学部卒。民間企業に勤務後、早稲田大学大学院にて国際関係学の修士号を取得。独立行政法人JICAでの仕事を通してスリランカに出会う。後に外務省の専門調査員としてスリランカに駐在。2019年8月にセルフラブをテーマとした、フィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業し代表に就任。ブランドを通して、日本のルッキズム問題を発信。現在は、日本とスリランカを行き来しながらkelluna.を運営するほか、「ジェンダー」「ルッキズム」などについて企業や学校などで講演を行う。著書に『そのカワイイは誰のため?ルッキズムをやっつけたくてスリランカで起業した話』(イカロス出版)。yoga jouranal onlineコラム「ルッキズムひとり語り」。
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